新ヘッドコーチにヨハン“ラシー”・エラスマスが就任し、チーム再建を目指す南アフリカ代表“スプリングボックス”は、6月にテストマッチ4試合を予定しており、43人(FW 24、BK 19)からなるスコッドを組んだ。 6月2日にアメリカの首都ワ…

 新ヘッドコーチにヨハン“ラシー”・エラスマスが就任し、チーム再建を目指す南アフリカ代表“スプリングボックス”は、6月にテストマッチ4試合を予定しており、43人(FW 24、BK 19)からなるスコッドを組んだ。

 6月2日にアメリカの首都ワシントンで開催されるウェールズ代表戦はLOのピーター=ステフ・デュトイがキャプテンを務め、翌週から自国でおこなうイングランド代表とのテストシリーズ3戦では、FLシヤ・コリシが第61代目のキャプテンとなってチームをけん引する。スプリングボックス127年の歴史で、真剣勝負のテストマッチにおいて黒人選手が主将になるのは初めて。2006年の世界選抜戦で黒人HOのチリボーイ・ラレペレがキャプテンを務め歴史に名を刻んだが、その試合はテストマッチではなかった。

 コリシのリーダーシップはストーマーズで証明済み。昨年の南ア代表欧州遠征では副将を務めていた。選手としてもワールドクラスのオープンサイドFLに成長しており、彼がストーマーズのアカデミー生だった18歳のときから指導しているエラスマス ヘッドコーチは、コリシのリーダーシップとハードワークを高く評価している。「謙虚で、口数少なく行動で示すタイプで、派手ではないプレーも黙々とこなす彼が好きだ」

 アンドリース・クッツェー前ヘッドコーチのもとでキャプテンを務めていたNO8ワーレン・ホワイトリー(ライオンズ)とLOエベン・エツベス(ストーマーズ)は負傷で6月テストシリーズのスコッドには入らなかったが、8月に開幕するザ・ラグビーチャンピオンシップ(南半球4か国対抗戦)で復帰する見通しで、キャプテンが変わる可能性はある。

 南アラグビー協会は来年のワールドカップではスプリングボックスの黒人(カラードを含む)と白人の比率を50:50にするとしているが、今回は43人中、黒人選手は19人で44%となっている。

 エラスマス ヘッドコーチは6月の戦いへ向け多くの選手にチャンスを与え、17人が代表キャップを持っていないニューフェイスだ。セブンズの舞台を離れ15人制専念でスプリングボックスの夢を追いかけたクワッガ・スミスもついに初選出。スーパーラグビーのタックル成功部門でトップ10に入るなど運動量豊富なクワッガ・スミスは、ウェールズ戦で6番をつけて先発が決定した。また、宗像サニックスブルースでも才能を伸ばしたCTBアンドレ・エスターハイゼンと、トヨタ自動車ヴェルブリッツの一員でもあるLOジェイソン・ジェンキンスもワシントンで念願の初キャップ獲得となる。ホンダヒート所属のRG・スナイマンも代表に招集され、イングランド戦でデビューを目指す。

 そして、ウェールズ戦では元南ア代表SHだったロバート・デュプレア(シャークス現ヘッドコーチ)の同名息子が歴史に名を刻むかもしれない。すでに代表デビューしている双子のデュプレア兄弟(FLジャン=ルック、NO8ダン)に続いて兄のSOロバート・デュプレアも今回初招集となってウェールズ戦でベンチ入りし、出場すれば、親子4人がスプリングボックスという初のケースが誕生する。

 WTBは世界最高のトライゲッターと呼ばれたブライアン・ハバナが引退したが、アピウェ・ディアンティなどエキサイティングな新鋭ランナーが揃う。20歳になったばかりのシャイニングスターであるSOダミアン・ヴィレムセ(ストーマーズ)は、現在フランスで開催中のワールドラグビーU20チャンピオンシップに参加しており、スプリングボックス招集は同大会での役目を終えてからになりそうだ。

 実力者のうち、HOマルコム・マークス(ライオンズ)、PRコーニー・ウーストハイゼン(シャークス)、PRリゾ・ゴボカ(ブルズ)、LOルード・デヤハー(ブルズ)は負傷しておりセレクションの対象にはならなかった。

<6月テストマッチ スプリングボックス>

【PR】
テンダイ・ムタワリラ(シャークス/98 caps)、トレヴァー・ニャカネ(ブルズ/37 caps)、スティーヴン・キッツォフ(ストーマーズ/23 caps)、フランス・マルハーバ(ストーマーズ/17 caps)、ウィルコ・ロウ(ストーマーズ/5 caps)、トーマス・デュトイ(シャークス/uncapped)、オクス・ンチェ(チーターズ/uncapped)

【HO】
ビスマルク・デュプレッシー(FRA・モンペリエ/79 caps)、チリボーイ・ラレペレ(シャークス/23 caps)、ボンギ・ンボナンビ(ストーマーズ/14 caps)、アッカー・ファンデルメルヴァ(シャークス/uncapped)

【LO】
ピーター=ステフ・デュトイ(ストーマーズ/32 caps)、フランコ・モスタート(ライオンズ/18 caps)、ジェイソン・ジェンキンス(ブルズ/uncapped)、RG・スナイマン(ブルズ/uncapped)、マーヴィン・オリー(ライオンズ/uncapped)

【FL/NO8】
デュアン・フェルミューレン(FRA・トゥーロン/39 caps)、シヤ・コリシ(ストーマーズ/28 caps)、オウパ・モホジェ(チーターズ/18 caps)、ジャン=ルック・デュプレア(シャークス/10 caps)、ニザム・カー(ストーマーズ/5 caps)、ダン・デュプレア(シャークス/3 caps)、クワッガ・スミス(ライオンズ/uncapped)、シクンブーゾ・ノーチェ(ストーマーズ/uncapped)

【SH】
ファフ・デクラーク(ENG・セール/11 caps)、エンブロス・パピエー(ブルズ/uncapped)、イヴァン・ファンセイル(ブルズ/uncapped)、キャメロン・ライト(シャークス/uncapped)

【SO】
ハンドレ・ポラード(ブルズ/26 caps)、エルトン・ヤンキース(ライオンズ/23 caps)、ロバート・デュプレア(シャークス/uncapped)

※ Elton Jantjies については、これまで「エルトン・ヤンチース」と表記していましたが、正確な発音を確認して修正し、弊サイトでは今後「ヤンキース」と表記します。

【CTB】
ジェシー・クリエル(ブルズ/29 caps)、ダミアン・デアリエンディ(ストーマーズ/28 caps)、ルカンヨ・アム(シャークス/1 cap)、アンドレ・エスターハイゼン(シャークス/uncapped)

【WTB】
トラヴィズ・イスマイエル(ブルズ/uncapped)、アピウェ・ディアンティ(ライオンズ/uncapped)、マカゾレ・マピンピ(シャークス/uncapped)、シブシソ・ンコシ(シャークス/uncapped)

【FB】
ウィリー・ルルー(ENG・ワスプス/41 caps)、ウォリック・ヘラント(ブルズ/2 caps)

【Utility BK】
フランソワ・ステイン(FRA・モンペリエ/56 caps)、カーウィン・ボッシュ(シャークス/1 cap)