WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 AT&Tバイロン・ネルソン(5月17日~20日/テキサス州)を制したのは、今季からPGAツアー参戦を果たしたルーキーのアーロン・ワイズ(アメリカ)。21歳10カ月29日でのツアー初優勝で、久しぶりの若手の勝利に「新星誕生!」と米ゴルフ界は大いに沸いている。



ツアー初優勝を飾った21歳のアーロン・ワイズ

 ワイズは、2週間前のウェルスファーゴ選手権でも最終日に「68」をマークしてトップも猛追。最終的には優勝したジェイソン・デイ(オーストラリア)に及ばなかったものの、2打差の2位となってPGAツアーでの自己ベストの成績を残したばかりだった。

 その翌週は、「第5のメジャー」と呼ばれるプレーヤーズ選手権への出場権がなく、お休み。満を持して臨んだ今大会、最終日に首位タイで一緒にスタートした34歳のマーク・リーシュマン(オーストラリア)にも3打差をつける圧勝劇を演じた。

 その勝利には、ワイズ自身、驚きを隠せなかった。

「デイには届かなかったけど、2位に入ったウェルスファーゴ選手権で学んだことが大きかった。近い将来、『きっと勝てる』と自信ができた。でも、まさか次の試合で勝てるなんて……」

 ワイズは、南アフリカのケープタウンで生まれた。3歳のとき、両親とともにアメリカに移住。オレゴン大学に進み、法学を学びながらカレッジゴルファーとして、その実力を磨いていった。

 2016年6月には、同校を全米学生選手権(NCAA)での勝利に導いて、個人戦での優勝も飾った。このことが、ワイズ自らに「法律家になるよりも、ゴルフコースを自分のオフィスにしよう」と決心させ、すぐさまプロ転向の道を選択した。

 PGAツアーにとっては突如現れた”新星”ではあるが、ワイズはここまで、一歩ずつ、着実にプロの階段を上がってきている。実はプロ転向直後、オークモントで開催されたメジャーの全米オープン(2016年)に、ワイズは予選会から勝ち上がって出場しているのだが、そこでの経験がその後に生かされているという。

 その際、大会の結果は予選ラウンド敗退に終わったが、練習ラウンドではフィル・ミケルソン(アメリカ)、ジム・フューリック(アメリカ)とプレーしている。ワイズが当時を振り返る。

「(2年前の全米オープンでは)決勝ラウンドに進めなかったけど、あの1週間で学んだことは本当に大きかった。

 僕は『もうプロで戦う準備はできている』、そう思ってプロに転向した。そうして、(全米オープンでは)自分ではそれなりにいいプレーをしたと思っていたけど、予選ラウンド通過には届かなかった。

 でもそれは、当然のことだった。

 あのとき、フィルやジムのプレーを見て、彼らがどれくらいのエネルギーをゴルフに注いでいるのか、目の当たりにしたんだ。それに比べたら、僕はぜんぜん”(戦う)準備”なんてできていなかった。それからは、もっともっと必死でゴルフをするようになった」

 ミケルソンやフューリックらの姿を見て、プロの本質を知ったワイズ。ゴルフへの向き合い方を改めると、その翌月にはマッケンジーツアー(カナダPGAツアー)でプロ初勝利を挙げた。そして、2017年には下部ツアーのウェブ・ドットコムツアーに参戦。ここでも勝利を挙げて、今季(2017-2018シーズン)のPGAツアー出場権を獲得した。

 こうしてプロ転向からわずか2年ながら、着実に階段を上がってきたワイズは、今やトップツアーでも目覚ましい活躍を見せるようになり、ついにツアー初勝利まで手にした。

 ちなみに、タイガー・ウッズ(アメリカ)のツアー初優勝は20歳9カ月、ジョーダン・スピースは19歳11カ月だった。松山英樹は22歳3カ月。これらの面々との比較からも、ワイズの未来への期待は膨らむばかりだ。

 今回の勝利で、ワイズは優勝賞金138万6000ドル(約1億5000万円)を獲得。来年のマスターズの出場権も得た。

「夢が叶って本当にうれしい。同時に、この勝利でメジャー大会にも出場できるし、今後のツアー転戦のスケジュールが大きく変わってくる。少しはお金の心配もしなくてよくなった(笑)。これから、もっともっと勝ち星を増やしていきたい」

 まだあどけなさが残るワイズは、そう語って満面の笑みをこぼした。

 華奢な体つきだが、身長185cmで、平均飛距離は300ヤードを超える。フェデックスカップランキングは、今回の優勝で一気に18位まで浮上。今季、ワイズの名が聞かれる機会がますます増えそうだ。