今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)も、いよいよ26日(日本時間27日)のファイナルを残すのみとなった。 レアル・マドリーがCL史上初の3連覇を成し遂げるのか、それともリバプールが2005年の”イスタンブールの奇跡…
今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)も、いよいよ26日(日本時間27日)のファイナルを残すのみとなった。
レアル・マドリーがCL史上初の3連覇を成し遂げるのか、それともリバプールが2005年の”イスタンブールの奇跡”以来となる6度目の欧州制覇を果たすのか。キックオフは日本時間27日の早朝3時45分。深夜とも早朝とも言える時間だが、待ちわびている人は少なくないだろう。
世界中が注目するこの一戦について、多くのプレビュー記事が出ている。なので、ここではちょっと趣向を変えて、賞金についておさらいしてみたい。
昨年、CL2連覇を達成したレアルは約117億円3600万円を手にした
UEFA(欧州サッカー連盟)の発表によると、今シーズンのCLの分配金の総額は13億1890万ユーロ(約1729億円4800万円)。これが”定額賞金”(7億6190万ユーロ)と”マーケットプール”(5億5700万ユーロ)と呼ばれる2つに分けられ、そこから参加クラブに渡ることになる。
定額賞金とは、出場チームの成績によって決まるものだ。
まず今季のリバプールのようにプレーオフから出場して本戦に勝ち上がったチームには、200万ユーロ(この時点ですでに天皇杯優勝賞金よりも高い、約2憶6200万円)、負けたチームには300万ユーロ(約3憶9300万円)が支払われる。負けたチームのほうが高額になっているのは、それ以上の収入が見込めなくなるからだろう。
次にグループステージに出場する全32チームは、それぞれが1270万ユーロ(約16憶6500万円)を手にする。ここでの6試合には、勝利につき150万ユーロ(約1憶9700万円)、引き分けにつき50万ユーロ(約6600万円)。さらにグループを突破して16強に入ると、一律で600万ユーロ(約7憶8700万円)が支払われる。
以降、準々決勝で650万ユーロ(約8憶5200万円)、準決勝で750万ユーロ(約9憶8300万円)、決勝で勝って優勝すれば1550万ユーロ(約20憶3200万円)、負けて準優勝となれば1100万ユーロ(約14憶4200万円)が加算されていく。
一方のマーケットプールとは、UEFAが定めた各リーグのテレビマーケットの価値に準じて、協会単位で分配されるものだ。
スイスで金融業に携わるイングランド人の人気ブログ『The Swiss Ramble』の試算によると、最も価値があると見られているイングランドのプレミアリーグには総額1億3840万ユーロ(約181憶4800万円)が充てられるという。今季のCLにはプレミアリーグから5チームが出場したため、それら各チームの昨季リーグ成績や今季CLの出場試合数によって、協会内での分配金が決まる。
その出典の計算によれば、今季のファイナルでリバプールが勝った場合、彼らは総額8270万ユーロ(約108憶4300万円)を受け取ることになるという。逆にレアルが勝てば、8720万ユーロ(約114憶3300万円)となる。
ちなみに昨季は、優勝したレアルが8950万ユーロ(約117億円3600万円)、準優勝のユベントスが1億110万ユーロ(約132億円5700万円)を手にした(イタリアからの出場チームが少なかったうえ、それらのクラブが早期敗退したために、ユベントスはマーケットプールから多額の分配金を得ている)。
CLがフットボールにおける世界一の国際大会であることは、賞金の額からも証明されている。たとえば、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の優勝チームが手にする賞金は、最大でも480万ドル(約5億3300万円)ほどだ(遠征費などを除く)。また、ワールドカップの優勝チームが受け取る報酬の合計は3950万ドル(約43億円8400万円)ほど。これらと比較しても、CLが桁違いの経済的価値を持つ国際大会だということがわかる。
ただし、これ以上の賞金を誇るフットボールのコンペティションがある。そう、欧州各国のトップリーグである。その代表格は、テレビ放映権の高騰により世界で最も裕福なフットボールリーグとなったイングランド・プレミアリーグだ。そこでは優勝したチームに、総額およそ1億5000万ポンド(約224億円800万円)が渡される。優勝賞金そのものは、3880万ポンド(約57憶9600万円)ながら、諸々の均等分配金などを含めると、そんなとてつもない額に上るのだ。
一方、スペインのラ・リーガの昨季の優勝賞金は4000万ユーロ(52億4500万円だったが、こちらもそのほかのシェア分を含めると、レアルは昨季、国内リーグからおよそ1億5000万ユーロ(196億円7000万円)を受け取ったという。これもまた、総額ではCLを軽く上回るものだ。
リバプールは今季のプレミアリーグを4位で終え、レアルはラ・リーガを3位でフィニッシュ。昨季の同じ順位のチームに照らし合わせてみると、前者は国内で1億4610万ポンド(約218億2600万円)、後者は国内で1億4600万ユーロ(約191億円4500万円)ほどの報酬を得ると概算できる。
それに加えて、8000万ユーロ超(約104億円)をCLから受け取る。さらにグッズ販売などマーチャンダイズの莫大な利益もあるのだから、欧州のトップクラブはますます力をつけていくのである。今年1月に発表された『デロイト・フットボール・マネーリーグ』の最新版で、2位となったレアル・マドリーの総収益は6億7460万ユーロ(約884億円4900万円)だった。
モダンフットボールはこのようにして、強者と弱者を隔てていく。一般的な感覚からすれば、もはやどの金額に驚けばいいのか、わからないくらいだけど。
さて、強者の極みに立つ2チームは、今週末のキエフでどんな試合を見せてくれるだろうか。その豪勢な賞金に見合うようなスペクタクルなものになると信じたい。