フィリーズ加入の右腕が米メディアに明かす「オファーを出してきた」 昨オフにカブスからFAとなり、フィリーズと契約したジェ…

フィリーズ加入の右腕が米メディアに明かす「オファーを出してきた」

 昨オフにカブスからFAとなり、フィリーズと契約したジェイク・アリエッタ投手。新天地では5試合登板で3勝1敗、防御率3.49と上々のスタートを切っているが、地元紙「シカゴ・サンタイムズ」の取材に対して、同じくFAだったダルビッシュ有投手がカブスと正式契約する前夜に同球団の最終オファーを固辞していたことを告白している。

 記事によると、2015年に最多勝とサイ・ヤング賞に輝いた男は、冷え切ったFA市場で移籍先の決まらなかった2月のある夜、カブスのセオ・エプスタイン球団社長から電話を受けたという。古巣への“出戻り”の最終オファーだった。

「彼はオファーを出してきた。でも彼は僕がノーと言うか、もしくは交渉を望んでいることを知っていたと思う。そうすれば、ダルビッシュと彼が契約しやすくなるだろうからね」

 ダルビッシュは6年総額1億2600万ドル(約138億円)でカブスに加入。その前日に、カブスの強化責任者はエース慰留のために6年総額1億2000万ドル(約131億5000万円)のオファーを出していたというのだ。

「彼(エプスタイン)はダルビッシュがサインするまさに前夜、電話してきたんだ。これがオファーだ。受け取るか、受け取らないか。もしも、これを受けないなら、我々はすぐさまダルビッシュと契約するだろう、と」

 アリエッタは記事の中でこう明らかにしている。アリエッタはカブスに年平均2830万ドル(約31億円)の長期契約を求めていたという。だが、エプスタイン球団社長が提示した額は年平均2000万ドル(約22億円)。アリエッタはこの最終オファーを断り、フィリーズと3年総額7500万ドル(約82億円)の契約を結んだ。年平均は2500万ドル(約27億4000万円)で、成績次第では5年総額1億3500万ドル(約148億円)まで契約内容は上昇する内容になっている。一方、ダルビッシュも出来高をすべて獲得すれば最大で6年総額1億5000万ドル(約164億3000万円)となり、2年後に契約を破棄してFAとなれる「オプトアウト」の権利も盛り込まれている。

フィリーズで上々のスタート、ダルビッシュを称賛「圧倒的な活躍を見せるんじゃないか」

 アリエッタにとっては、古巣がダルビッシュと電撃契約に至ったことはショックだったという。カブス以外のオファーがこの時点でなかったからだ。

「セオが電話してきて、翌日に彼はダルビッシュと契約した。また振り出しに戻ってしまったんだ。キツかったよ。マジかよ。これで戻る場所が確実になくなってしまったんだ、という感じだった」

 昨オフの移籍市場は例年にないほどに冷え込んだ。アリエッタ、ダルビッシュらマーケットの目玉の新天地ですら決まらず。当初、ロイヤルズのクオリファイングオファーを断ったマイク・ムスタカス内野手が、それよりも1190万ドル(約13億円)も低い550万ドル(約6億円)で古巣と再契約するという異常なケースもあった。

「2月になぜ自分が?と思うこともあった。なぜ今年に起きてしまうんだと。でも、自分よりも酷い目に遭った選手はたくさんいたんだよ」

 2017年オフにFAとなったMLBプレイヤーが抱えた苦悩について、アリエッタはこう代弁している。そして、自らがオファーを断った翌日にカブスのユニフォームに袖を通すことが決まったダルビッシュの今年のピッチングは見ていないという。

「彼は5試合から10試合ぐらいまで連続で圧倒的な活躍を見せるんじゃないかな。それぐらいのボールを持っているんだ」

 実際には、ダルビッシュはここまで0勝3敗、防御率6.00と苦戦。2日(同3日)の本拠地ロッキーズ戦で4回1/3を投げて6失点(自責5)でKOされ、本拠地のファンからブーイングも浴びたが、アリエッタは記事の中で日本人右腕のポテンシャルを高く評価していた。(Full-Count編集部)