ワールドカップ(W杯)が2カ月後に迫ったところで、サッカー日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督が突如解任され、後任には西野 朗(あきら)技術委員長が就くこととなった。その理由を様々なメディアが報じているが、数ある理由の中でもっともらしいのは…
ワールドカップ(W杯)が2カ月後に迫ったところで、サッカー日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督が突如解任され、後任には西野 朗(あきら)技術委員長が就くこととなった。
その理由を様々なメディアが報じているが、数ある理由の中でもっともらしいのは「選手との不仲説」だろう。そこから「選手からの解任要請」があったかもしれない、というのは確かに想像がつくところでもある。
この解任事件があった直後、各メディアの報道がこの事件一色となったが、なかには「そもそも自分に意見した選手をメンバーから外したりしていたんでしょ?そんなことするなら解任されてもしょうがないんじゃないの?」といった意見も少なからず見かけたし、私のサッカーに詳しくない知人の多くは同意見であったように見えた。
そういったサッカーに詳しくない人は、今回の件は「何が問題だったのか」が分かりにくく、SNS上などで見かけるサッカーファンが「なぜ怒り狂っているのか」が見えてきにくい状態にあったのだ。
そんな中、自身を「サッカークラスタ」と位置付けるライターの中村慎太郎(ツイッターアカウント名)氏が『ハリルホジッチ解任でサッカークラスタが発狂している理由』と題しnoteに公開した文章が、注目を集めている。
ハリルホジッチ解任でサッカークラスタが発狂している理由|中村慎太郎|note(ノート)https://t.co/CitzyUnuFn— 中村 慎太郎 (@_Shintaro_) 2018年4月13日
「ハリル解任でサッカークラスタが発狂している理由を箇条書きでゼロから説明してみる」という趣旨で綴られた文章は、各キュレーションメディアでも取り上げられ、「サッカークラスタではない」多くの人々の目にも止まった。中村慎太郎氏の投稿によると、4月16日昼過ぎの時点で27万PVを記録しているという。
同氏のツイッターには、「サッカークラスタ」からの「代弁してくれてありがとうございます」といった共感の声だけでなく、一般の人からの「サッカーには興味がなかったがこれを読んで問題を理解した」といった驚きの声も多く寄せられた。
詳しくはnoteに記されているが、同氏によると現状はサッカークラスタにとって「勝っても負けても意味がないというどうしようもない絶望」だという。
ありがとうございます。(垢はアイドルクラスタですが)ガキの頃からのサッカークラスタとして今回の件は憤懣やるかたなかったので、言いたいこと全て代弁していただいたような気分です。勝手も負けても偶然の結果論でしかなくなってしまった今回のワールドカップ、ほんと執行部に腹が立ちます。— ミポリンスペシャル (@Miporing_SP) 2018年4月13日
勝っても負けても意味がないというどうしようもない絶望に加えて、勝ったあげく、誰かが英雄になってしまうと、結局カオスでいくのが一番というどうしようもない経験則が出来てしまうという。地獄ですね、ハハハハハ!— 中村 慎太郎 (@_Shintaro_) 2018年4月13日
サッカーに興味は無いのだが、日本を象徴してるようで興味深い。 “@_Shintaro_: ハリルホジッチ解任でサッカークラスタが発狂している理由|中村慎太郎|note(ノート)https://t.co/mceNXG4qlc”— 浜松のカッパ (@Kappayh) 2018年4月13日
ハリルホジッチ解任でサッカークラスタが発狂している理由|中村慎太郎|note(ノート) https://t.co/n4Hgbxneeh 自分、サッカーが好きではないので、まさしく「何で発狂してるんだろう……」と思ってた有象無象のひとりなんですが、これを読んで理解しました。そりゃ発狂するわ。つらい。— 亀やん (@KamedaKeisuke) 2018年4月14日
同氏は、続けて『サッカー協会会長の発言を解読してみた【NHK生出演】』というタイトルのnoteも更新。論理的な切り口で、田嶋幸三会長が出演し、ハリルホジッチ監督の解任理由を述べた会見の発言を「解読」している。
気をつけてあなたの会社もサッカー協会サッカー協会会長の発言を解読してみた【NHK生出演】|中村慎太郎|note(ノート)https://t.co/RTUDr3L3QM— 中村 慎太郎 (@_Shintaro_) 2018年4月16日
同氏によると、田嶋会長の会見内容はサルトルやニーチェといった、歴史上の哲学者たちが語ったことよりも「難解」で、高度な日本人的コンテクストへの理解が求められたため、特殊な方法で解読を試みたということだ。
2つのnoteからは、同氏含め日本の「サッカークラスタ」が現在抱えている怒りと絶望がうかがい知れる。
サルトルよりも、ヴィトゲンシュタインよりも、ハイデガーよりも、ニーチェよりも、マックスウェーバーよりも、ロランバルトよりも、あなたの言っていることは難解ですよ、田嶋会長!日本人的文脈への深い理解が必要なので、海外の人はびたいち理解できないはず。— 中村 慎太郎 (@_Shintaro_) 2018年4月16日
しかし、サッカー協会の会長の発言を考えるのに、大学で小森陽一教授に学んだテキスト分析学的なアプローチをするとは思わなかった。何かが役に立つかわからないから、教養はつけるべきなんだな。— 中村 慎太郎 (@_Shintaro_) 2018年4月16日