待望の1号だ。5回に4点リードで迎えた内田蓮(総4・三重)の第3打席。ここまでの打席で2度ともライトフライに終わっていたが、「林助監督から『もっとリラックスしていつも通りやれ』という風に言われた」。ボール先行から8球粘って、ど真ん中に来た球…

待望の1号だ。5回に4点リードで迎えた内田蓮(総4・三重)の第3打席。ここまでの打席で2度ともライトフライに終わっていたが、「林助監督から『もっとリラックスしていつも通りやれ』という風に言われた」。ボール先行から8球粘って、ど真ん中に来た球を振り抜くと打球は伸びてライトスタンドに吸い込まれ、リーグ戦第1号ホームランとなった。

高校時代は第96回全国高等学校野球選手権大会で準優勝という実績を残したが、大学では苦しんだ。2年から試合には出場するものの、エラーや走塁ミスを犯してしまう場面もあり、上級生が占める内野陣の中でなかなかチャンスを掴めないでいた。それでも大久保監督が「一生懸命やっている」と評価するほど、泥臭くプレーする姿を見せ続けてきた。そして今年は副将に就任。「言葉で引っ張っていくという感じではなくて、姿勢などで見せるというタイプ」と自らの役割を分析している。試合中にはサードからピッチャーへの声かけを絶やさない。地道な働きではあるが、経験も少なくかつ上級生の少ない内野陣で唯一の4年として頼もしさも見せている。

最終学年を迎え、「とにかく思い切って悔いのないようにやりたい」と話した内田。これまでの努力がまず一つ形に現れた。その結晶が日本一という結果に現れるその日まで、頂を目指す慶大の土台を、彼らしいがむしゃらなプレーで支えてもらいたい。

記事:尾崎崚登