今季初戦で4年・鳥井が2本塁打、流れを決めるポイントで2発 仙台六大学野球の春季リーグ戦が7日、開幕した。昨秋1位の仙台…
今季初戦で4年・鳥井が2本塁打、流れを決めるポイントで2発
仙台六大学野球の春季リーグ戦が7日、開幕した。昨秋1位の仙台大は10-3で同6位の宮城教育大に勝利。4番・鳥井凌外野手(4年・尽誠学園)が2本塁打でチームを牽引した。
ドラフト1位で阪神入りした最速155キロ右腕・馬場皐輔投手、ゲームメイクが上手くエース格だった岩佐政也投手(JR東日本東北)が卒業した仙台大。昨年は投手陣が注目されたが、この日は4番・鳥井のバットが流れを引き寄せた。
初回2死一塁。内角高めの直球にバットを振り抜いた。打球はレフトの頭上を大きく越えてスタンドイン。先制2ランに「弾道が低かったけど、手応えがあったので行ったかなと思いました」と喜んだ。
3回には先頭打者としてショート内野安打で出塁。指名打者の5番・松本胤紀捕手(1年・取手松陽)の右安で三塁に進むと、併殺の間に5点目のホームを踏んだ。ところが、仙台大打線はその後、好機を生かせず。先発・稲毛田渉投手(3年・帝京)が安打を集められ、守備のリズムも悪く、7回が終わって5-3と追い上げられた。
そんなムードを払拭したのも鳥井だった。8回、先頭打者で打席に入ると、3球目の真ん中直球を強振。大きな弧を描いた打球は左中間スタンドに入った。「次の1点をどちらが取るか、という中で、あの1点は大きかった」と森本吉謙監督。息を吹き返したように打線が繋がり、この回、3得点。9回にも2死から2点を加えた。
3月には楽天2軍とオープン戦、戸村から左翼へ本塁打放つ
冬場は「ボールとバットの接触時間を長くすること」を意識して打撃練習に励んだという。ティー打撃やロングティーでボールを打ち込み、感覚を養った。オープン戦で手応えをつかみ、「アウトになっても内容のある打席もあった」と話す。楽天生命パークで3月15日に行われた楽天2軍とのオープン戦では、7回に戸村健次投手からレフトへ本塁打を放った。9回には久保裕也投手から中安をマーク。「プロのピッチャーは大学生とボールのキレが違った」と感じる中で結果を残し、自信をつけた。
仙台大は2014年春に67季ぶりのリーグ優勝を果たして以降、15年春、16年秋、17年秋を制している。攻撃力もさることながら、現DeNAの熊原健人投手や阪神・馬場など、好投手を擁しての優勝だった。今年はまだ投手陣に不安が残るため、攻撃が鍵を握る。鳥井は「オープン戦でも先制されて追いついて、勝ち越されて逆転した試合も多かった」と振り返り、「去年よりも点を取られるのは覚悟している」と気を引き締める。
リーグには、阪神・金本知憲監督や大魔神・佐々木主浩氏(現野球解説者)ら多数のプロ野球選手を輩出し、68回の優勝を誇る東北福祉大がいる。かつては34季連続優勝などもあった東北福祉大だが、近年、その牙城を崩しているのが仙台大。しかし、リーグ49年の歴史の中で仙台大の連覇はまだない。
「仙台大は連覇ができていない。去年の秋に優勝し、この春、連覇のチャンスがある。1年春、先輩たちに大学選手権に連れて行ってもらったので、今年は自分たちの力で後輩を連れて行きたい」と鳥井。秋春のリーグ連覇、そして3年ぶりの大学選手権に向け、バットを振り続ける。(高橋昌江 / Masae Takahashi)