カナダのノースベイで開催されたカーリング女子の世界選手権。日本代表の富士急は、ラウンドロビン(総当たりの予選リーグ)5勝7敗の10位という成績で初の世界挑戦を終えた。

 ドイツやデンマーク、イタリアといった欧州の中堅チームには競り勝ったものの、平昌五輪にも出場したロシアや韓国、さらにはランキング上位国のスウェーデンやカナダなどには力負けした結果だ。



初の世界選手権で経験を得た富士急。左から小穴、石垣、小谷優、小谷有

 それでも、初めての世界戦で5勝を挙げたのは、大きな収穫だった。妊娠で欠場となった西室淳子の穴を埋める形でスポット参戦した小野寺佳歩(北海道銀行フォルティウス)を含め、5人がそれぞれの仕事を果たした。負けたゲームでも、主導権を握っていたエンドは多かった。

 特に、初の世界舞台でありながら、リード・バイス小谷有理沙のパフォーマンスは出色だった。

「日本選手権から見ていましたが、(小谷有選手は)単純に投げがうまい。今後、体力的にも、技術的にもスイープ面が成長すれば、チームの大きな武器になってくる」

 そう賛辞を惜しまないのは、平昌五輪男子代表だったSC軽井沢クラブのスキップ両角友佑(もろずみ・ゆうすけ)だ。

 海外渡航自体が初めてという17歳は、大会を通して82%という及第点とも言えるショット率で、チームの晴れの舞台での戦いに貢献した。

 もちろん収穫は、小谷有の活躍だけではない。

 世界戦特有のよく曲がるアイス、大会中に研磨されるストーン、本場カナダの目の肥えたファンの声援など、国内では経験できない環境の中で、小谷優奈はスイープの重要性を体感し、石垣真央は攻守のバランサーとしての片鱗を見せ、小穴桃里はプレッシャーのかかるショットを何本も決めた。

 そうした経験を通して、選手それぞれが世界で通用するポイント、さらに勝ち星を重ねるための課題を、身をもって得たことだろう。

 チームは3月27日に帰国。選手たちは一定の手応えを得た一方で、目標としていたクオリファイ(決勝トーナメント進出)を果たせず、悔しさをにじませた口調で、それぞれが今後の課題を語った。

「ゲームごとに波があったので、地力をつけていきたい」(小穴)

「クロスゲームでしっかり勝ち切ること。世界戦のような長丁場で、集中してゲームに挑める体力も必要」(石垣)

「個の技術、投げも、スイープもレベルアップが不可欠」(小谷優)

 世界のアイスで得た新たな課題を力に変えて、富士急は5月にロコ・ソラーレ北見(LS北見)との代表決定戦に挑む。勝ったチームが来季、日の丸を背負って11月のパシフィック・アジア選手権に出場する。

 代表決定戦に向けて、小穴は「ショットの精度を上げながら、結果につなげたい」と抱負を語った。彼女の言う「精度」とは、今回の世界戦で経験したような、石半分のズレで相手につけ込まれてしまう、シビアな”世界レベル”のものだろう。

 LS北見、北海道銀行、中部電力などに続いて、世界のアイスを経験したチームが生まれたことは、間違いなく日本カーリング界にとって大きなプラスだ。今回、富士急の選手が肌で感じた経験と悔しさが、本人たちだけでなく、ライバルをも刺激し、国内の競技力アップにつながっていくだろう。

 来季、世界へ羽ばたくのはどのチームなのか。新たな戦いが再び始まる。