ホークス、ジャイアンツを知る男 ソフトバンクの2軍打撃コーチ、大道典良。選手、コーチとして2チーム4球団(巨人、南海、ダ…

ホークス、ジャイアンツを知る男

 ソフトバンクの2軍打撃コーチ、大道典良。選手、コーチとして2チーム4球団(巨人、南海、ダイエー、ソフトバンク)に在籍。四国、宮崎、沖縄で春季キャンプを体験してきたスペシャリストに聞いた。

 日本ハムがアリゾナでキャンプインした以外、18年も他11チームは国内からのスタートとなった。以前は四国・高知でキャンプを張るチームもあったが、現在は沖縄と宮崎が主流となっている。

 そんなキャンプ真っ盛りの2月10日、宮崎でジャイアンツとホークスのOB戦が開催された。ジャイアンツは宮崎キャンプ60周年記念イヤー。そしてホークスは南海、ダイエー、ソフトバンクOBが一堂に介したことで大変な盛り上がりをみせた。

 大道コーチは、ホークスとジャイアンツ、両チームの国内キャンプを知る数少ない球界関係者。今回のOB戦には選出されなかったものの、歴史を知る一人である。

「まぁ僕の場合、南海はプレーしたとはいえ2年だけどね。キャンプの環境は比べられないくらい今より悪かった。球場もホテルも。練習も厳しくてね。昔ながらの方法もまだ残っていた時代だから」

 1987年のドラフト4位で南海に入団。ホークスのダイエーへの球団譲渡初年度となる89年にプロ初安打。以降、勝負強い打撃で通算906安打を放った。

 その後ホークスはしばらく高知でキャンプを行っていたが、2003年の秋からキャンプ地を宮崎に移した。

宮崎の人々に感謝、「ありがたいこと」

「ダイエー時代も最初の頃キャンプは高知だった。やっぱり劇的に変化を感じたのは宮崎に移ってから。まず練習施設がまったく違った。打撃練習をやるトリカゴなんかも増えた。今なんてトリカゴだけで10箇所くらいあるでしょ。高知の時からは考えられないよ。昼も夜もいくらでも練習できる環境なんだからね」

 10年限りで現役を引退後、巨人のコーチを経て、13年からホークスへ戻った。

「コーチの立場としては生目(=ホークス・キャンプ地)ではしっかり腰を据えて練習することができるのが大きい。歩いて移動できる距離にメイン、サブ、室内などすべてがあるので雨の日も効率的にできる。1軍から3軍まで同じ敷地内だから、キャンプ中の選手入れ替えもスムーズになる。本当に恵まれていると思うよ」

「巨人の時はサンマリンでキャンプをやった。あそこは同じ宮崎でもまた少し事情が異なって敷地が広すぎる。選手もそうだけど見るファンの方の移動が大変なんじゃないかな。それに海のすぐ横だから風がすごいんだよね。寒いくらい」

「でも宮崎の人が本当に努力してくれている。天気が悪くても練習できるように大きな木の花ドームを建設してくれた。ファンの方々ためにも移動しやすいようにバスを走らせたりね。ありがたいことだよ」

 近年は巨人、広島など、宮崎から途中で沖縄へ移動してキャンプを行う球団もある。

「沖縄でもキャンプをやったことがある。2月の気温が高くて身体が動くのは間違いない。各チームのキャンプ地が近いから練習試合が組みやすいのもある。そういった意味ではいい環境だと思う。でも結局は使い方次第だよね。どっちも一長一短はある。効率的にしっかりと使用することができればレベルアップできるわけだし」

 ホークスとジャイアンツ両チームのキャンプを経験した大道。実際にプレーしていた身として感じることもあるという。

今も脳裏に浮かぶ盟友の姿、「宮崎に来るとより強く感じる」

「ホークスとジャイアンツの差は感じる時もある。もちろんジャイアンツの選手も練習するよ。最近では(坂本)勇人なんかよく練習するらしいよね。そういった選手がどんどん出てくれば若手も引っ張られる」

「ホークスは特にベテランがすごい。内川(聖一)やマッチ(松田宣浩)なんてバリバリのレギュラーで実績もあるのに本当、遅くまでやっている。そりゃあ、若手選手がサボるわけにはいかない。それが相乗効果になっている。強くなるわけだよ」

 宮崎と言えばやはり聞かなければならないことがある。巨人にコーチとして在籍した2010年、試合前練習中に倒れ帰らぬ人となった木村拓也さん。盟友でもあった木村さんの地元は宮崎。キャンプ中には食事にもよく行ったそうだ。

「いつでも忘れることはないよ。でも毎年、キャンプで宮崎に来るとより強く感じるよね。タクに負けないようにしっかりとしコーチにならないといけないよね」

 補強のみでなく育成選手の活躍など、選手強化に定評のあるホークス。練習量、そしてファーム組織がその原動力となっているのは間違いない。かつての友のように、宮崎の地に大道コーチの声が連日、響き渡っている。

「なんか今回の試合、盛り上がっているね。天気が心配だけど……」

 当日は天気もなんとか持ちこたえ、OB戦は最後まで行われ、盛り上がりを見せていた。大物OBの参加などで話題になったが、このイベントを支えたのは両チームの伝統と間違いなく宮崎の地元力だ。

「宮崎の野球環境は最高だよ。これからも毎年、ここに戻ってきたいね。それでもっともっと強いチームを作り上げたい」

 そう語ると大道コーチはグラウンドへ飛び出して行った。(山岡則夫 / Norio Yamaoka)

山岡則夫 プロフィール
 1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。