初ブルペンで見えた復活への可能性 復活への可能性、兆しを、少し感じた。中日に入団し、高い注目を集める中で沖縄キャンプを送…
初ブルペンで見えた復活への可能性
復活への可能性、兆しを、少し感じた。中日に入団し、高い注目を集める中で沖縄キャンプを送っている松坂大輔投手。キャンプ2日目の2月2日、初めてブルペンに入っての投球練習を行った。この日の北谷は快晴。気温も上昇した絶好のコンディションで、平成の怪物が腕を振った。
ウォーミングアップ、キャッチボールを終えると、真っ先にブルペンに姿を見せたのは背番号99だった。ホームに向かって一番左側に陣取ると、まずは後方のプレートから9球。そして18.44メートルの正規の位置にあるプレートへと移ると、セットポジションで21球。その後、ワインドアップに移行して11球を投げ込んだ。フォーム確認のためのカーブだけを交えた。100人超の報道陣に、多くのファン。ブルペンの観覧席が人でごった返す異様な熱気の中での、32球の初ブルペンだった。
「ちょうど気候も良くなりましたし、予定していたよりも少し多めにはなりましたけどね。いつキャッチャーに座ってもらうかは分からないですけど、前回のブルペンよりは、そこに向けてのステップになった」。キャンプ初日はまず新天地の流れに慣れることを重視し、ブルペン入りはせず。1日経って、満を持してブルペンへ。右腕から投じられたボールは、力強いキャッチャーミットの音を響かせていた。
北谷で投じた32球。これが復活へ向けた第一歩となるだろうか。1つのポイントが見えた。ソフトバンク3年間との違いは密かに、だが、確実にフォームの中に現れていたと感じた。
松坂自身が語る。
負担がかからないように投げた結果、狂いが生じた―
「たまに痛めていた時のかばう動作っていうのがちょいちょい出るので、自分の体に大丈夫だよと言い聞かせながら投げていました。たまにやっぱり無駄な力が入ってしまうというか、痛めた時の動作、無理矢理投げてしまうというのが、たまにありました」
右肩を痛めていた時のかばう動作。それは下半身、左足を振るような動作、そして、上半身の反動を使うような動きだ。ソフトバンク時代の松坂のフォーム。3年間の中でも変遷はあったものの、1つの問題点は体が横振りになる点。左足を大きく外旋させてくることで、その勢いで体を振り、腕を振るような動きがあった。そして上半身。上体や首を大きく振ることによって、右腕を引っ張り出していた。右肩の痛みをかばい、負担がかからないように投げているうちに狂った形だった。
この日のフォームはどうだろう。左足を下ろすと、体はそのまま前方にスウェーし、左足も振り回すことなく踏み出していた。上体を振って腕を出す動きも抑えられている。これまでは上体を振って腕を出すことで、腕が早く抜け、頭から離れた位置を右腕が通過していたが、頭に近い位置から右腕が抜けてくるようになった。まだまだ悪癖が顔をのぞかせることはある。この日も「あぁッ」と不満げな声を上げることもあったが、「今のところ、去年よりかは(良い)」という言葉は、ある程度は本心なのではないだろうか。
森監督も評価、「満足いくボールは投げたと思うよ」
練習を終えたところの松坂本人に、その動きについてたずねてみたところ、「出来るだけ(横振りや反動を使う動きは)無くしたいですね。去年はいい状態になりつつというのはありましたけど、上体を振ったり、首を振ったりというのはあった。それはまだ残っていますけど、去年よりはその動きは抑えられている」と返ってきた。形としては、着実に、間違いなく前進している。そして、一番懸念されていた右肩の不安はかなり解消され、イメージしているフォームへのブラッシュアップを続けていることを感じさせた。
投球を見守っていた森繁和監督はこの日のボールに満足感を示しつつ、投球を終えたばかりの松坂に声をかけた。その時の内容を「痛みなく、楽をしたいというところが何球か見えた。それはアイツも自分で分かっていたと思うけど、痛みが出ない方法、楽な方法、そういうところが出てきた時のボールはそういうボールだなと。最後に投げた1球と、その前の1球の違いはそこじゃないかと言ったら、そうなんです、分かりましたか、と。そういうところは出てくると、ボールは素直」と明かし、「多少なりとも苦しい投げ方、キツイ投げ方、我慢するところは我慢しながら投げていかないとボールには伝わらない。それは本人も分かっていると思う。その中でアイツは今日満足いくボールは投げたと思うよ」と評していた。
まだまだキャンプは始まったばかり。まだキャッチャーも座らせていないし、そこからバッティングピッチャー、実戦登板など踏むべき段階は数多い。キャンプ中に期待を抱かせたのは、過去3年間もそう。どうこう論じるのは時期尚早で、全ては結果次第だ。まだ信じることは出来ない。ただ、この日、力強くボールを投げる右腕の姿に、少しばかり復活への期待が湧いてきた。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)