「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月15~28日/ハードコート)大会11日目の1月25日、マクラクラン勉(日本)/ヤン レナード・ストルフ(ドイツ)ペアはダブルス準決勝で、今大会第7シードのオリバー・マラック(オーストリア…

「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月15~28日/ハードコート)大会11日目の1月25日、マクラクラン勉(日本)/ヤン レナード・ストルフ(ドイツ)ペアはダブルス準決勝で、今大会第7シードのオリバー・マラック(オーストリア)/マテ・パビッチ(クロアチア)と対戦。マクラクラン勉ペアは6-4、5-7、6(4)-7で惜しくも敗れ、決勝進出はならなかった。試合時間は、2時間26分。

マクラクラン勉ペアは、日本勢として実に63年ぶりとなるグランドスラムのダブルスベスト4進出を果たしていた。準々決勝、ダブルス世界ランキング1位のルーカシュ・クボト(ポーランド)/マルセロ・メロ(ブラジル)をフルセットで破っての勝ち上がり。

マクラクラン勉はニュージーランド出身だが、母親が日本人。2017年から日本国籍でプレーすることを選択していた。試合前のインタビューでは英語で「ストルフとはペアを組んでまだ4試合目だけど、本当に仲が良くて楽しくプレーできている。準決勝も攻撃的に自分たちを信じて試合を楽しみたい」と語り、日本語でも「みなさん応援ありがとうございます。セミファイナルもがんばります」と笑顔で話していた。◇   ◇   ◇

試合は終始、両ペアが主導権を争うシーソーゲームだった。

マクラクラン勉ペアのサービスから始まった第1セット。両ペアはどちらも序盤から「アイフォーメーション」と呼ばれる陣形を要所に用いて、相手のリターンにプレッシャーをかける。さらにマクラクラン勉ペアはサービスリターン時、二人とも後ろのベースラインまでポジションを下げ、強力なリターンショットで応戦しようという作戦。

お互いサービスキープで一歩も譲らずゲームカウント5-4だった中、第10ゲームにマクラクラン勉ペアに理想的なタイミングでチャンスが訪れた。相手のダブルフォルト2本から40-15に。その直後にマクラクラン勉がサービスリターンを相手の前衛に打ち込み、第1セットを先取。

続く第2セット、今度はマクラクラン勉ペアが第1ゲームにいきなりのピンチを迎えた。相手のブレークポイントでは、マクラクラン勉が相手の前衛にスマッシュを直撃させるハプニングもありつつ、ここをなんとかキープ。第3ゲームにも相手にブレークポイントを握られるピンチがあったが、マクラクラン勉の巧みなボレーで再び凌ぎ切った。

すると直後の第4ゲーム、今度はマクラクラン勉ペアが猛攻を見せる。コースを突いたサービスリターンからスマッシュを決めるなどし、ブレークポイントへ。しかしこのゲーム今度は相手に凌がれ、第2セットは流れがあっちに行ったりこっちに来たりという展開に。

ところが第11ゲーム、マクラクラン勉ペアはダブルフォルトから再びピンチを迎えた。デュースまで戻したあとマラックペアにブレークポイントを奪われ、このセットは先に相手にリードを奪われる。続く第12ゲームをキープされ、このセットは奪い返された。

勝負の最終第3セットも、再び一進一退の攻防に。第2ゲーム、相手のサービスゲームでマクラクラン勉ペアの40-30とするも、第2セット同様相手の粘りでブレークはならず。すると直後の第3ゲームに、今度は0-30のピンチ。しかし、そこからストルフが連続での強烈なサービスエースでキープ。試合は最後まで余談を許さない展開となった。

第1セット・第2セット同様、山場が来る注目のセット後半。会場の観客からは「幸せなら手をたたこう」による応援も起こっていた。両者は勝負どころで集中力を増し、一歩も譲らない。一体勝負はどちらに転ぶのかという白熱の最終セットは、結局タイブレークにまでもつれ込んだ。

運命のタイブレーク、先に先行したのはマクラクラン勉ペア。しかしマラックペアも土壇場の意地で、途中3-3のイーブンに盛り返した。すると今度は形勢が逆転し、3-5とマクラクラン勉ペアが追いかける展開に。そのまま最後は惜しくも敗れ、日本勢として63年ぶりのダブルス決勝進出はならなかった。

マクラクラン勉は試合後にスタジオのインタビューにも登場し、日本語で自身の試合について振り返った。「今日の試合はチャンスがいっぱいあるなか勝てなかったが、準決勝まで来れてすごくうれしいです。大会前はベスト4まで来れるとは思ってなかった」また、パートナーについては「ストルフはサーブもリターンも強い」と自身との相性の良さを語った。他方、試合のダイジェスト動画を観ながら「(最終セットのタイブレーク)3-1のポイントは、もう一回やり直したい」と悔しさも滲ませていた。

スタジオでは、2月2日から行われる男子の国別対抗戦「デビスカップ」の話題にも。マクラクラン勉は、日本代表選手として戦う事について聞かれ「選ばれてすごくうれしいです。みんな調子いいし、杉田も去年からトップ選手になったし、みんなチャンスあると思う。一緒に戦うのを楽しみにしてる」と語り、最後はファンに向けて「(デビスカップ)みんな応援してください。すごくいい試合になると思います」とコメントした。今大会を充実した形で終え、すでにしっかり先も見据えている様子。

敗れはしたものの、日本勢として63年ぶりにグランドスラムのダブルス準決勝を戦い抜いてくれた、マクラクラン勉ペア。その素晴らしい戦いぶりに、心からの拍手を送りたい。(テニスデイリー編集部)

※写真は「全豪オープン」ダブルス準決勝で惜しくも敗れたマクラクラン勉(「楽天ジャパンオープン」の時のもの)

(Photo by Matt Roberts/Getty Images)