「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月15~28日/ハードコート)の9日目となった1月23日、ラファエル・ナダル(スペイン)が準々決勝のマリン・チリッチ(クロアチア)戦のファイナルセットで途中棄権した。第4セットでメディカル…

「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/本戦1月15~28日/ハードコート)の9日目となった1月23日、ラファエル・ナダル(スペイン)が準々決勝のマリン・チリッチ(クロアチア)戦のファイナルセットで途中棄権した。

第4セットでメディカルタイムアウトを取った1ポイント後、ナダルはコートの後方へ行き、スクワットとニーレイズをして、痛めた右脚をストレッチしようとした。

その3ゲーム後、再びトレーナーを呼んだ1ポイント後となる第5セット開始時、ナダルは痛みを振り払おうとしながら歩き回り、サーブを打とうとしているチリッチを待たせた。

足を引きずり、顔をしかめながらさらに2ゲームプレーしたものの、6本目のブレークポイントをしのげなかった時、グランドスラム16度優勝のナダルは「全豪オープン」から姿を消した。

第6シードのチリッチは、火曜日の3-6、6-3、6(5)-7、6-2、2-0のこの勝利により、2010年以来となる「全豪オープン」準決勝進出を果たした。次の試合では、世界ランク49位のカイル・エドマンドーー世界ランク3位のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)を6-4、3-6、6-3、6-4で倒し、初めて4大大会準決勝に駒を進めた23歳の新鋭と対戦する。

「辛い瞬間だ。『全豪オープン』で初めてでもないが」とナダルは言った。「僕はポジティブな人間だが、今日はグランドスラムの準決勝に進出して、僕にとって大切なタイトルのために戦う機会を逸した」。

「この事実を受け止めるのはむずかしい」。

スター選手の怪我に関する見出しが、大会開始前から各紙を賑わせていた。全豪オープン5度準優勝のアンディ・マレー(イギリス)は、臀部の手術を受けるために欠場。ナダル は右膝、6度の優勝を誇るノバク・ジョコビッチ(セルビア) は右肘、2014年の覇者スタン・ワウリンカ(スイス)は左膝に不安を抱え、大会開始前夜まで体調の決断を遅らせた。彼ら全員が大会から姿を消したのは、驚くに値しない。

人間の忍耐力には限界があるが、ナダルは自身の限界を火曜日に発見した。

「ツアーを運営している誰かが、今起きていることについてちょっと考えるべきだ。負傷者が多すぎる」と、足を引きずり、顔をしかめながら試合後の記者会見に現れたナダルは指摘した。「選手の健康について、ちょっと考えるべきなんじゃないか」。

「こんなものすごく硬いサーフェスでプレーし続けたら、僕らの身になにが起きるかわからない」。

スケジュールされているトーナメントの数やタイミングと、ハードコートの増加が問題だと、ナダルは言う。他の選手もこれまでに同様の見方を示してきた。

ナダルは第4セットで4-1とリードされた時と第4セット終了時に、メディカルタイムアウトを取った。

サービスゲームをチリッチに破られた時、31歳のナダルは主審とチリッチと握手を交わすと、ヘッドバンドを苛立たしげに自身のバッグに投げつけた。

痛めたのは右脚の上のほうだが臀部ではないと言うナダルは、怪我の場所と程度を特定するために水曜日に検査を受けると述べた。

ナダルは右膝の怪我のためにシーズン開始を遅らせたものの、4回戦までは調子は良好に見えた。ナダルが最後に「全豪オープン」準々決勝に2年連続で勝利したのは、2008年と、唯一の「全豪オープン」タイトルを獲った2009年のことだ。

「二人とも驚異的なプレーをした。ラファにとっては非常に不運だった」と過去に6回の対戦で1度しかナダルに勝てていなかったチリッチは語った。「ラファは驚異的な選手だ。常にベストを尽くす...こんな形で終わらなきゃならないのは、ラファにとってとても不運だ」。(C)AP(テニスデイリー編集部)

※写真はマリン・チリッチ戦を棄権し「全豪オープン」を去ったラファエル・ナダル

(AP Photo/Dita Alangkara)