昨年9月にロシアW杯出場を決めて以降、7試合を戦ってきたハリルジャパン。各試合には国内外でプレーする新たな選手が召…

 昨年9月にロシアW杯出場を決めて以降、7試合を戦ってきたハリルジャパン。各試合には国内外でプレーする新たな選手が召集され、代表入りをかけたテストが行なわれた。一方で、これまで主力組とされてきた香川真司は召集されず、本人もショックを隠さなかった。

 香川のようにビッグクラブで主力級としてプレーする、ドイツでも名の通った選手が代表から外れたことは、ドイツメディアの記者たちにも大きな驚きだった。また、香川ほどのインパクトをもって捉えられはしないが、武藤嘉紀が代表に入らないことも、彼らにとっては不思議なことのひとつだ。



2017年最後の第17節ブレーメン戦で1カ月ぶりに先発復帰した武藤嘉紀

 9月のW杯予選には呼ばれたが、チャンスはなかった。アピールのチャンスだった10月、11月の親善試合には招集されなかった。特に11月のブラジル戦、ベルギー戦は、フランスとベルギーでの試合であり、武藤にとっては体力的にも無理なく合流できる絶好のチャンスだったのに、呼ばれなかった。本人は「まあ、察してください」と口をつぐんだが、その様子は悔しさにあふれていた。

 今季の武藤のテーマは、まずは何よりケガをしないことだった。

 ドイツに来てからの2シーズンは、それぞれ半分近い期間をケガで棒に振っている。だからこそ、シーズンを通して活躍するために、専属トレーナーを日本から呼び寄せてサポート体制を整え、「足の裏の細かい筋肉まで意識して」トレーニングを行なった。

「どんな小さなところも妥協せずに、突き詰めたい。何もやらずに後悔したくない」と、武藤は語る。考えすぎないタイプの選手もいるが、武藤は理詰めで、すべてを納得したうえで突き詰めようとしているようだった。専属トレーナーを通年で呼び寄せることまでしたその行動力に、W杯への思いと意志の強さを感じた。

 その甲斐あって、マインツでの今季は第12節までは全試合に出場した。ドイツ杯2試合を含めて14試合中、途中出場は3回。他はほぼフル出場だった。だが、それでも日本代表には呼ばれなかった。皮肉にも、今季初めて負傷したのは、11月の代表ウィーク明けのケルン戦だった。相手選手との接触で腰を痛め、炎症を起こして4試合を欠場する。

「腰、やっちゃったことあります? 腰っていう漢字は『にくづき(部首)に要』って書くじゃないですか。本当にそうなんですよ。もう他は完璧でも、腰がだめだと何もできない!」と、腰の故障特有の難しさともどかしさを口にもした。

 12月に入って復帰はしたものの、状況は悩ましかった。ケガの完治のためにはしっかりと実戦から離れたほうがいい。だがチームは15位、16位あたりを行ったり来たりする窮地に置かれ、武藤が出ていない4試合は1試合も勝てなかった。当然、チームの力にはなりたい。

 結局、リーグ戦前半の最終節に先発したが、出場は60分のみ。2017年最終戦のドイツ杯シュツットガルト戦は、後半12分からの途中出場だった。そのシュツットガルト戦後、武藤はまだ状態が完全ではないことを明かしている。

「だいぶよかったんだけど、試合中、やっぱり徐々に疲れてきて、違和感みたいなものが出てきた。でもまたそこで痛めたわけでもないので、しっかりここで休めれば……。トレーニングしながらしっかり休んで、とにかく体の疲労をしっかり取れればいいかなと思います」

 腰の影響か、思い切ったプレーができないシーンもあった。

「例えばサイドに流れたときに、思いきり1対1を仕掛けるとか、そういうのがちょっとしにくい。ちょっと消極的になってしまう部分もあるけれども、そこは怖さがどんどん取れていけば問題ないと思うので、大丈夫かな、と」

 いずれにせよ、オフの期間に回復とトレーニングを両立させ、後半戦の開幕とともにリスタートしたいところだ。

「本当にそうですね。本当に爆発しないと間に合わないですね」
 
 それは「このままではワールドカップに間に合わない」という意味かと、念を押すように確認してみた。

「もちろん。そこがすべてじゃないですし、そのためにサッカーをやってるわけじゃないけれど、まずは自分の価値を高めるために、ゴールを獲るために意識改革というか、貪欲なところはもっと出していかなきゃいけないと思いますね」
 目標は誰よりもクリアで、道筋も見えている。

「呼ばざるを得ない状況を作るしかない」と、代表入りには圧倒的な結果が必要だということもわかっている。

 ブンデスリーガ後半戦、武藤の逆襲が始まる。