勝敗には表れない投手の安定感をチェック 投手の優秀さを表す指標に、K/BBというものがある。奪三振数(K)を与四球数(B…

勝敗には表れない投手の安定感をチェック

 投手の優秀さを表す指標に、K/BBというものがある。奪三振数(K)を与四球数(BB)で割った単純な数字だが、MLBでは重要な指標とされている。

 セイバーメトリクスでは「本塁打以外の安打は偶然の産物」という考え方がある。内外野へ飛んだ打球が安打になる確率(BABIP)は、平均すればどの投手でも3割前後に落ち着くことが統計で分かっているからだ。投手が意識して被打率を3割から下げるのが不可能だとすれば、被本塁打が少なく、奪三振が多く、与四球が少ない投手が優秀ということになる。K/BBが重視されるのはこのためだ。

 今季NPBの主要な投手をK/BB順で並べてみよう。まずはパ・リーグから。

○先発投手(規定投球回数以上)
1岸孝之(楽)4.97(奪三振189与四球38)
2野上亮磨(西)4.71(奪三振113与四球24)
3則本昂大(楽)4.63(奪三振222与四球48)
4菊池雄星(西)4.43(奪三振217与四球49)
5美馬学(楽)4.06(奪三振134与四球33)
6二木康太(ロ)3.66(奪三振128与四球35)
7バンデンハーク(ソ)3.45(奪三振162与四球47)
8千賀滉大(ソ)3.28(奪三振151与四球46)
9東浜巨(ソ)3.16(奪三振139与四球44)
10金子千尋(オ)2.52(奪三振141与四球56)
11山岡泰輔(オ)2.46(奪三振133与四球54)
12有原航平(日)2.26(奪三振88与四球39)
13涌井秀章(ロ)2.17(奪三振115与四球53)

 今季、西武から楽天に移籍した岸は打線の援護に恵まれず、8勝10敗と負け越したが、K/BBは堂々たる1位だった。安定感のある投球をしていたことがわかる。以下、5位までが西武と楽天の投手。この2球団がポストシーズンに進出したのは当然の結果だったと言えよう。

 ソフトバンクの先発陣は中位に並んでいる。先発投手陣は傑出していたとは言えなかった。今季不振だった日本ハム有原、ロッテ涌井はK/BBでも下位に沈んでいる。

救援投手はMVPサファテが驚異的な数字

○救援投手10傑(40試合以上登板)
1サファテ(ソ)10.20(奪三振102与四球10)
2増井浩俊(日)7.45(奪三振82与四球11)
3牧田和久(西)7.00(奪三振35与四球5)
4マーティン(日)5.67(奪三振34与四球6)
5森唯斗(ソ)5.00(奪三振60与四球12)
6増田達至(西)4.46(奪三振58与四球13)
6ハーマン(楽)4.46(奪三振58与四球13)
8嘉弥真新也(ソ)4.27(奪三振47与四球11)
9平井克典(西)4.20(奪三振42与四球10)
10岩嵜翔(ソ)4.13(奪三振66与四球16)
10公文克彦(日)4.13(奪三振33与四球8)

 サファテが驚異的な数字を残した。今季リーグ2位の66試合に登板しながら与四球はわずか10個。めったに走者を出さなかったことが、NPB新記録となる54セーブにつながった。ソフトバンクは森、嘉弥真、岩嵜も10傑入り。優秀な救援投手陣が優勝の原動力だったことがわかる。

 独走するサファテに次いで、今オフ日本ハムからオリックスにFA移籍した増井、西武牧田までがK/BBが7以上という優れた成績。例年であれば1位でもおかしくない数字だ。

 サファテとセーブ数を争った楽天・松井裕樹のK/BBは2.38(奪三振62与四球26)だった。松井はサファテと対照的に、走者を出しながら何とか切り抜けるタイプの守護神だった。

 西武のシュリッターは40試合以上登板した投手28人の中で、唯一K/BBが0.79(奪三振23与四球29)と1を割った。打たせて取るタイプの投手で奪三振は少なく、後半に与四球が増えて成績が大きく下落した。

 この結果を見ると、K/BBが優秀な投手を揃えることが、勝利には極めて重要であることがわかる。

 来季はどんな顔ぶれが、このランキングに並ぶだろうか?(広尾晃 / Koh Hiroo)