序盤は2番ペゲーロの超攻撃的オーダーが的中 8月上旬まで首位に立つ快進撃を見せながらも、夏場以降に2度の大型連敗を喫する…
序盤は2番ペゲーロの超攻撃的オーダーが的中
8月上旬まで首位に立つ快進撃を見せながらも、夏場以降に2度の大型連敗を喫するなど失速した楽天。ソフトバンクとのマッチレースを展開しながら、最終的には西武にもかわされて3位に終わった。クライマックスシリーズではファーストステージで西武に雪辱。進出したファイナルステージでも2連勝スタートを切り下克上を期待させたが、そこから3連敗を喫して敗退となった。
今季の楽天は、外国人助っ人の働きがチーム状態を左右した部分が少なからずあった。今季は1番に茂木を起き、そこから2番カルロス・ペゲーロ外野手、3番ゼラス・ウィーラー内野手、4番ジャフェット・アマダー内野手の強力な上位打線でシーズンをスタート。これが見事にハマり、スタートダッシュを決めた。だが、ペゲーロが負傷で離脱し、ウィーラー、アマダーの状態が落ちてくると、チームの勢いも陰った。
茂木の離脱により緊急補強したルイス・クルーズ内野手も結果は出せず。ペゲーロ復帰後も助っ人勢の状態はなかなか上がらず、序盤の快進撃を支えたラインアップに戻すことも出来なかった。投手陣ではハーマンが勝利の方程式を担って33ホールドと結果を残したが、ジョシュ・コラレス投手は期待に応えられず。育成から支配下契約を勝ち取った宋家豪投手は将来性の高さを見せた。
ここでは今季の楽天に在籍した外国人選手の成績と働きを振り返ってみよう。
◯ゼラス・ウィーラー内野手
142試合542打数147安打31本塁打82打点 打率.271
50四球 出塁率.342 得点圏打率.277 OPS.835
チームの中心として今季の楽天を支えた1人だった。2015年に来日して3年目。打点こそ88だった昨季から6打点下がったが、147安打31本塁打、打率.271はいずれも来日後最高の成績をマークした。序盤は不調だったが、交流戦頃から復調。ただ、チームが絶不調に陥った夏場に自身も調子を落として悪い流れを止められなかったところ、そして、22失策を犯した守備面がもったいなかった。
アマダーは3打席連発がある一方で、粗さも目立つ
◯ジャフェット・アマダー内野手
121試合417打数99安打23本塁打65打点 打率.237
39四球 出塁率.304 得点圏打率.272 OPS.729
昨季から楽天に加わっている大砲。昨季は怪我が相次いだが、今季は121試合に出て23本塁打を放った。7月22日のオリックス戦で3打席連続本塁打を放ったように、193センチ135キロが誇るパワーは球界屈指である一方で、打率が.237に終わったように、内角高めの真っ直ぐ、外角のボールになる変化球を極度の苦手とするなど粗さが目立った。
◯カルロス・ペゲーロ外野手
120試合463打数130安打26本塁打75打点 打率.281
50四球 出塁率.356 得点圏打率.306 OPS.846
今季序盤の楽天の快進撃は、このペゲーロによるところが大きかった。2016年途中から楽天に在籍している大砲は、茂木に続く「最強の2番打者」として開幕を迎えて打ちまくった。3、4月だけで7本塁打を放ち、7月までに21本塁打。だが、7月23日に左太もも裏を肉離れして離脱。復帰後も前半戦のような打撃は戻ってこずに、本塁打も26本で終わった。クライマックスシリーズはファーストステージで左足に張りを訴え、ファイナルステージは欠場した。
◯ルイス・クルーズ内野手
13試合37打数6安打0本塁打2打点 打率.162
0四球 出塁率.162 得点圏打率.111 OPS.378
2014年からロッテに加入し、NPB4年目。今季は巨人で開幕を迎えたものの、2軍暮らしが続いた。茂木、ペゲーロなど故障者が続出したため、7月26日に金銭トレードによる緊急補強で楽天が獲得した。その日からいきなり遊撃でスタメン出場したが、打撃面で奮わずに、わずか13試合に出場しただけで登録抹消となり、その後は1軍での出場はなかった。
大型連敗のきっかけとなったコラレス
◯フランク・ハーマン投手
56試合3勝1敗33ホールド1セーブ 防御率2.72
53回 48安打13四球3死球8本塁打58奪三振 WHIP1.15
フィリーズから今季楽天に加わったハーバード大学卒のインテリ投手。来日1年目の開幕から守護神・松井裕樹につなぐセットアッパーを任され、中盤以降も福山博之、松井とともに勝利の方程式を形成。56試合に投げて3勝1敗33ホールド1セーブの成績は上々で、その役目を果たした。
◯ジョシュ・コラレス投手
1試合0勝0敗0ホールド0セーブ 0QS 防御率15.00
3回 5安打6四球1死球0本塁打3奪三振 WHIP3.67
マリナーズ傘下から社会人の三菱日立パワーシステムズ横浜、BCリーグの富山を経て、今季途中に楽天へ入団。8月15日の西武戦(メットライフD)で先発したが、7四死球を与えて大炎上した。1軍での登板はこの1試合のみに終わり、チームもこの試合から大型連敗がスタート。6連敗→1勝→10連敗(1分含む)のきっかけとなってしまった。
◯宋家豪投手
5試合0勝0敗3ホールド0セーブ 防御率3.86
4回2/3 3安打1四球0死球0本塁打6奪三振 WHIP0.86
台湾の国立体育大学から、育成選手として2016年に楽天に入団。今季はまずチャイニーズ・タイペイ代表としてWBCに出場。イースタンリーグでは33試合に投げて8勝をマーク。5セーブも記録し、7月31日に支配下契約となった。8月11日のオリックス戦で1軍デビューを果たすと、5試合に登板。秘密兵器としてクライマックスシリーズでも起用。ソフトバンクとのファイナルステージ第2戦で好リリーフを見せたが、第3戦では敗戦投手に。来季以降により期待が集まる若手投手である。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)