スポーツ報知特別コラムニストで卓球女子3大会連続メダリストの石川佳純さん(33)が、初めて観戦する冬季五輪を語る「石川…

 スポーツ報知特別コラムニストで卓球女子3大会連続メダリストの石川佳純さん(33)が、初めて観戦する冬季五輪を語る「石川佳純Forza~頑張れ最終回ニッポン~」。最終回は、フィギュアスケート女子の坂本花織(25)=シスメックス=、スピードスケート女子の高木美帆(31)=TOKIOインカラミ=ら、目標に向かって全力で挑んだ選手たちの姿から感じた五輪の素晴らしさを語った。

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 フィギュアスケート女子は日本人選手が2、3、4位という素晴らしい結果でした。坂本選手とは16歳の頃から、表彰式などで何度かお話しする機会がありました。当時は天真らんまんという印象だったのが、今大会では団体戦でチームをお姉さんとして引っ張っていました。個人戦では演技直後、2位で自分も悔しい気持ちが大きいはずなのに、千葉百音(もね)選手をずっとフォローしていた姿が印象的でした。

 笑顔の裏に繊細さを感じる選手で、その中で自分に打ち勝って素晴らしい演技をする坂本選手が大好きです。最後と決めていた五輪の大舞台で、最高の滑りができなかったという悔しさはあったと思います。そのことを思うと、私も涙が止まりませんでした。たくさんの感動をもらい、今まで頑張ってくれてありがとうという気持ちです。

 スピードスケートの高木選手が15歳で10年バンクーバー五輪に出場した時、私は高校2年生でした。寮のテレビで毎日のように見かけ、「同世代にこんなにすごい人がいるんだ」と感じたのが最初の印象でした。

 大会前や大会中にお話を聞いていても、1500メートルの金メダルを目指し全てを注いできた4年間の強い思いが伝わってきました。結果に対して残念な気持ちは大きいと思いますが、通算10個のメダルは日本女子で最多です。若い時からずっと注目され、これだけの長い間、情熱を持って世界のトップを走り続けて、みんなの目標や憧れであり続けてきた高木選手を同世代として尊敬します。

 初めて現地で観戦する冬の五輪が幕を閉じました。夏と冬で雰囲気が違い、新しい発見もたくさんありました。例えばスノーボードではミックスゾーン(取材エリア)が屋外にありました。選手の頭の上に雪が積もっていくのを見て、大丈夫かなと心配になりましたが、皆さんが当たり前のようにインタビューを受けている姿に驚かされました。

 自分のスタイルを大事にしている選手が多いのも、冬の競技の特徴ではないかと思いました。私は対人競技をやっていたので自分のスタイルがありつつも、相手によって変えていく部分も必要でした。冬は採点競技が多く、どれだけ自分を貫けるか。自分との闘いに勝つことが、すごく大事になってくると思いました。

 大会中は感動の連続で、スポーツの良さ、五輪の素晴らしさをあらためて感じました。選手はこの一瞬、この時間のために人生のほとんどの時間を懸けて、五輪の舞台に立っています。選手時代は当たり前のように全てを懸けてやっているので、特別なことだとは思わないかもしれません。ですが、引退して時間がたったからこそ、それがどれだけ貴重なことなのかが分かりました。世界の超一流しか出られない舞台。だからこそ感動が生まれ、逆に厳しい世界でもあります。この大会に向けての長い時間のことを思うと、全ての選手が報われてほしいという気持ちにもなります。現地で見ることができて、本当に幸せな時間でした。

 現地での応援を通して冬の競技の魅力をさらに知ることもでき、4年後の五輪がすごく楽しみになりました。今大会で競技の魅力にはまったアイスホッケーのスマイルジャパンであったり、フィギュアスケートの中井亜美選手、千葉選手のような若い選手の成長。高木選手の背中を見た次の世代が台頭してくることにも期待したいです。4年後も楽しみに応援します。=おわり=(卓球女子団体12年ロンドン銀、16年リオデジャネイロ銅、21年東京五輪銀メダリスト)