ミラノ・コルティナ冬季五輪では、ネット上の誹謗(ひぼう)中傷に苦しむ選手の姿が目立った。 フィギュアスケート女子のアン…
ミラノ・コルティナ冬季五輪では、ネット上の誹謗(ひぼう)中傷に苦しむ選手の姿が目立った。
フィギュアスケート女子のアンバー・グレン(米)は、相手の性のあり方に関係なく人を愛する「パンセクシュアル」だと公表したことなどから、この大会中も大量の心ない投稿を浴びせられた。
同種目で金メダルを獲得したアリサ・リュウ(米)らも被害を受けたと明かし、深刻さを訴えた。「見ないようにしても、どうしても目に入ってしまう。選手たちが安全にいられるよう、何とかしなければいけない」
優勝候補に挙げられながら8位に終わったイリア・マリニン(米)も、中傷を受け続け精神的に耐えられなくなったと明かした。
ノルウェーのスキー距離女子クリスティンアウストグレン・フォスネスも、「誰もが幼いころから他人に優しくしなさいと言われ、学んできたはずなのに、なぜこのようなことが起きるのか分からない」と嘆いた。
日本オリンピック委員会(JOC)は22日、大会を通じて不適切な1919件の投稿の削除要請をしたと発表した。イタリアと日本に対応チームを置き、24時間態勢で監視。想像を上回る件数に、今後への懸念を深めている。
だが、生活からソーシャルメディアを切り離すのは難しい。国際オリンピック委員会(IOC)によると、今大会の五輪公式サイトなどのエンゲージメント(投稿や閲覧などの関与)は、22年北京五輪から2倍以上の1億ユーザーを超えた。
IOCも人工知能(AI)と人間の目で監視する体制を整えたが、防ぎきることは難しい。
競泳の現役選手時代に「中傷された経験がある」と明かしたIOCのカースティ・コベントリー会長は「残念ながらいまは他人に簡単に石を投げつけられる世界にいる」。
アスリート委員会を中心に、被害を受けた選手の精神的なサポートや、中傷から守る対策の教育に注力する方針を示した。(遠田寛生)