緊張から解放され、あどけない表情を見せた中井(C)Getty Images ここ日本でも小さくないトピックとなった。現地…

緊張から解放され、あどけない表情を見せた中井(C)Getty Images

 ここ日本でも小さくないトピックとなった。現地時間2月19日のミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケート女子フリーで、金メダルを掴んだアリサ・リウ(米国)と銅メダルを手にした中井亜美の交わしたハグだ。

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 すべての演技が終わり、重圧から解放された選手たちが見せた“微笑ましい”姿だった。フリーの大トリを務めた中井が緊張した面持ちで採点結果を知ると、「え? 3位!?」とメダル獲得に目を丸くしながら歓喜。そして、すぐ隣で待機していたリウに駆け寄り、嬉し涙を流しながらハグ。これにリウも背中をさすり、「良かったね」と笑顔で対応した。

 メダルを奪い合った二人が、涙を流しながら感激し合う姿は大きな反響を生み、SNSでトレンド入り。「本物のスポーツマンシップを感じた」や「リウと中井が抱き合って讃え合ってる姿が神々しくて滅」といったコメントが相次ぎ、国際的にもクローズアップされた。

 もっとも、リウが「無理やり喜びを見出せなんて、私は言わない。ただ私は本当にこのスポーツが好きなだけ」と語り、ごく当たり前にこなした行動は、フィギュア界のレジェンドたちには信じられないものだった。米紙『Washington Post』の取材に応じた1988年のカルガリー五輪の金メダリストであるブライアン・ボイタノ氏は、「自分と同じように金メダル獲得を望んでいる人間と友だちのようになるのは難しかった」と衝撃。自身が現役生活を送った1990年代では、中井やリウのようには振る舞えなかったと振り返っている。

「とにかく金メダルを勝ち取りたかった。そして同時に金メダルがもたらす、“その後の人生”も望んでいた。テレビ番組への出演やツアー、競技会への参加、そして長く業界で働く能力を手に入れることだ」

 選手の露出機会が限られていた当時に「金メダリストになる」という事実は、国民的な影響力を持つことでもあった。ゆえに一つしかない椅子を争うライバルと親しい関係になることは「難しかった」。同紙も「オリンピックで金メダリストになる名誉は、より大きな意味を持っていた。選手たちが報酬を得る術は、成功するしかなかった。そして『成功』こそがセレブリティとしての地位とそれに付随するあらゆるものを保証する最良の方法だった」と90年代におけるフィギュア界の内情を記している。

 そこから時が経ち、選手たちは互いに切磋琢磨しながら、国籍問わずベテランが若手を支える構図が出来上がった。少なくとも今大会はそういう光景が目に付いた。こうした変化は競技を発展させていく上でも重要となり得る。

 リウと中井が見せた“感動のハグ”。業界の発展を物語った場面の価値は、まさしく金メダル級だったと言えるのではないだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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