◆第43回フェブラリーS・G1(2月22日、東京競馬場・ダート1600メートル) 昨年の3歳ダート2冠馬ナチュラルライズ…
◆第43回フェブラリーS・G1(2月22日、東京競馬場・ダート1600メートル)
昨年の3歳ダート2冠馬ナチュラルライズの担当は美浦で働き始めて25年の桑原裕之助手。「今回は肌つやが良くて、体調自体が良さそうです。普段の調教から体が使えて、弾むようないい頃のフットワークが戻ってきて、順調に調整ができています」。昨春のいいリズムが戻ってきていると調整過程から手応えをつかんでいる。
強さとともに荒々しさも魅力のひとつだが、馬房では意外な姿を見せる。「人懐っこくて、競馬の時とは全く真逆な感じ。イメージとはだいぶ違うと思います」と闘争心は影を潜めるが、コースに入れば競走馬としての本能が目を覚ます。「馬場ではエキサイトしますね。競走馬にとっては“走りたい”という気持ちがあることはプラスに捉えています」。東京大賞典(1番枠、11着)のように枠の並びや相手関係によって裏目に出ることもある走ることへの前向きさ。一方でかみ合った時には爆発力を生み出す原動力になっている。
メンタルが課題のナチュラルライズにとって“うるさい馬でも担当するとおとなしくなる”ベテラン担当者の存在は大きい。「ペットではないので甘えさせはしないですけど、手をかけるところはかけてかわいがる。加減とバランスが難しいですけど、そこに気をつけています」。絶妙な距離感から育まれる信頼関係もまた、活躍を支えるキーポイントだ。
長年の経験の中でも特別な感覚を抱いている。「ちょっと普通じゃなくて、今までの中で段違い」と目を丸くするほどのパワー。また、普段の調教では他馬と比べて倍ほどの距離を乗られているが、「他の助手もこれだけパワーがあってスタミナがある馬には乗ったことがないと言っています」と厩舎全体が一流のフィジカルと評価している。
本質的に「ベストはマイル辺りなのでは」と選択した砂のマイル頂上決戦。折り合いに難しさがあるだけに、距離短縮で能力全開の可能性は十分にある。デビュー9戦目の人馬が週末の府中で、新たな可能性を導き出す。(浅子 祐貴)
◆桑原 裕之(くわばら・ひろゆき) 1973年、広島県生まれ。52歳。オグリキャップの活躍による競馬ブームがきっかけで興味を持つ。大学卒業後は北海道の牧場で働き、00年に美浦へ。稲葉厩舎などを経て、14年から現在の伊藤圭厩舎。主な担当馬は06年ニュージーランドT、07年京都金杯を制したマイネルスケルツィ。