昨季は自己ワーストの年間67安打、打率.209でレギュラーの座も危機 来月にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)…

昨季は自己ワーストの年間67安打、打率.209でレギュラーの座も危機

 来月にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を控え、宮崎で合宿中の野球日本代表「侍ジャパン」。3大会ぶり3度目の優勝を果たした3年前の前回WBCで、最高のヒーローは誰だったかと言えば、投打に活躍した大谷翔平投手(ドジャース)もそうだが、源田壮亮内野手(西武)の奮闘を忘れることはできない。少し立場が変わった今回も代表入りを果たし、唯一無二の存在感を見せつけている。

 遊撃手としてゴールデン・グラブ賞7回を誇るグラブさばきは、やはり格別だ。18日に行われた実戦形式のライブBPでショートの守備に就き、無死一塁の場面で小園海斗内野手(広島)の遊ゴロをさばくと、普段通りの淀みないフィールディングで6-4-3のダブルプレーを成立させた。

 2023年のWBCは侍ジャパンの絶対的なレギュラー遊撃手として選出された。しかし1次ラウンドの3月10日・韓国戦で、帰塁の際に右手小指を骨折。普通なら即チームを離脱するはずの怪我だった。ところが、翌日からの2試合を欠場したものの、骨折から6日後の16日に行われた準々決勝・イタリア戦に「8番・遊撃」で強行復帰した。

 利き手の患部をテーピングでぐるぐる巻きにした状態で、誰が見ても痛々しい状態だった。それでも7回の打席では右前にタイムリーを放ち、チームメートたちを大いに鼓舞した。結局決勝まで、骨折後の全3試合をフル出場したのだった。

 その源田が、昨季は打撃不振に苦しんだ。プロ9年目にして年間67安打、打率.209は自己ワースト。そもそも年間安打数が3桁に届かないこと自体が初めて。打率もそれまでは最低でも.257をマークしており、いかに極度の不振だったかがわかる。西武では22歳の滝澤夏央内野手に突き上げられ、正遊撃の座もにわかに安泰ではなくなった。昨季終了後には“ベテラン特権”を剥奪される格好で、「フィジカルの強化」を目標に掲げる宮崎・南郷秋季キャンプに参加。イチから体を鍛え直した。

広島・小園とスタメン遊撃の座を争うも「チームが勝てば何でもいい」

「(秋季キャンプでビルドアップした成果で)体重も(75キロから)4キロくらい増えましたし、打球速度の数値も上がりました。このまま行ければいいと思います」。こう明かす源田の表情は明るい。今月16日に33歳の誕生日を迎えたが、昨季ちらついた衰えの兆しは影を潜めたようだ。

 実は宮崎合宿中は毎朝、練習開始前にメーン球場内に設けられた「リカバリールーム」で仮眠を取ることを日課にしている。プロ入り後に講習を受けて取り入れたもので、「15分以内に限ることにしています。基本的にはお昼のランチ後に取るのがいいのですが、この合宿はランチブレークが短くて時間を取れないので、練習開始前に行っています」と説明する。シーズン中、西武の選手としてナイターを戦う日には、基本通りランチ後に仮眠を取ってから全体練習に参加しているという。

 仮眠を取り入れてからは「いい感じで練習に入れています」と効果を実感。ひと昔前には、練習や試合の前に睡眠を取るなどもってのほかと言われていたものだが、「時代の変化ですね」と涼やかな笑顔を浮かべる。

 今回のWBCでは、昨季セ・リーグで首位打者(打率.309)と最高出塁率(.365)のタイトルを獲得した小園と遊撃スタメンの座を争うが、守備の安定感は天下一品。源田は「僕としては争うというより、どっちが出ても、どっちが出なくても、チームが勝てば何でもいいかなと、そんな感じです」と穏やかな表情を崩さない。

 新たにピッチコム(サイン盗みを防止し、バッテリー間で球種やコースを伝えるための無線通信機器)が導入される来月のWBCへ向けて、内野の要の遊撃手としてキャップにレシーバー(受信機器)を装着し守備練習を行っている源田。時代の流れに揉まれながらも、まだまだ侍ジャパンに不可欠な存在である。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)