広陵高校(広島)が16日、「第三者委員会(令和7年6月19日設置)の調査報告書の受領について」と題して次の声明を発表した…
広陵高校(広島)が16日、「第三者委員会(令和7年6月19日設置)の調査報告書の受領について」と題して次の声明を発表した。
本校から「本校硬式野球部をめぐるSNS上の事案について」として令和7年8月7日に公表した元硬式野球部員(A君)からの事案について、今般、第三者委員会からの報告書の提出を受けました。この調査報告は、令和8年1月30日付で提出を受け、同年2月10日、委員会及び本校から当該生徒及び保護者に対して説明をいたしました。
本件については当該生徒から警察への被害届もなされておりますが、警察の捜査の結果、事件不送致処分(犯罪の嫌疑が不十分である場合に検察官送致を行わないこと)となっていると伺っておりますが、本校においては直接その処分を確認する手段がございません。
また、当該生徒は現在も本校第3学年に在籍しており、本年度卒業予定です。本校といたしましては、調査結果、ご指摘及び提言を真摯に受け止め、今後の改善に取り組んでまいります。なお、本件とは別の令和7年1月22日に発生した本校硬式野球部の不祥事案件(令和7年10月に第三者委員会を設置したもの。本校から「令和7年1月に本校で発生した不適切事案について」として令和7年8月6日に公表した、A君とは別の元硬式野球部員に対する暴行事案につきましては、現在も調査が継続しております。
1 委員会の構成と調査目的
(1)委員会の構成
本委員会は、当該生徒からの被害申告を受けて、「いじめ重大事態の調査に関するガイドライン」(文部科学省)の定めに沿って、公平性・中立性を確保し、専門的見地から事態の調査を行うため、以下の計5名の外部専門家および補助者(いずれも当該生徒、加害したと主張された生徒、野球部指導者との間で利害関係がない)で構成されました。なお、本校から広島弁護士会に委員の推薦を依頼し、広島弁護士会の判断で弁護士1名の委員が決定され、同弁護士から補助者2名が選任され、他の委員は本校から各団体に推薦を依頼した上で選任されております。
2
●委員長:見之越常治弁 護士(広島弁護士会所属)
●委員:医師(精神科専門医・子どものこころ専門医)1名
●委員:臨床心理士・公認心理師(大学客員教授)1名
●補助者:弁護士(広島弁護士会所属)2名
2 調査目的
硬式野球部に所属していた当該生徒(A君。現3年生)が、1年生時に部内のいじめや指導者からのハラスメントにより不登校になったと主張する事案に対し、以下の事項を明らかにすることを目的としています。
<1>被害申告事実の有無の確認。
<2>事実が認められた場合、不登校との関連性の評価。
<3>当該校による当初の対応の妥当性の確認。
加えて、調査を通じた課題や問題点の把握・検証と今後の提言をいただいております。
調査の実施内容
調査期間は令和7年6月19日から令和8年11月30日までです。調査期間、調査方法、聴き取りの対象者等については委員会の判断により、本校は事務局機能としての必要最小限の補助を行い、所定の費用を負担したほかには、調査方法及び内容に関知しておりません。
(1)活動経過
●委員会開催:計10回(およびオンライン会議2回)開催されました。
●現地調査:本校の寮や練習場等の確認を実施しました。
(2)聴き取り調査の対象と人数
当該生徒および保護者:計5回実施。
関係生徒:当該生徒の同級生(野球部員含む)など計56名(対象とした63名のうち、野球部員以外の拒否3名と病気による欠席4名を除く人数)。
●野球部指導者:監督(当時)1名(聴き取り2回)、コーチ5名の計6名。
●(ビュレット)教職員:校長(聴き取り2回)、教頭、学年主任、担任など、野球部指導者以外の計6名。
(3)書面アンケートの実施
●同級生全員:500名を対象とし、297名から有効回答を得ました。
●野球部所属の同級生:65名を対象とし、43名から回答を得ました。
●野球部OB(一部の先輩):5名を対象とし、5名全員から回答を得ました。
3 調査結果の概要
委員会は、当該生徒が最終的に確定させた計88件の「被害申告」についての調査を行い
ました。
●事実認定:アンケートやヒアリングの結果、計88件の申告事実のいずれについてもそれを裏付ける証拠や証言は得られず、いずれの事実も認めることは困難であると判断されました(なお、いずれの行為についても全く存在したかったということまで結論づけるものではありません)。
●不登校との関連:いずれの被害申告事実についても認めることが困難であったため、不登校との関連性を評価することも困難とされました。
4 学校の対応における問題点の指摘と提言
委員会は、当該生徒の被害申告事実の認定とは別に、学校側の組織体制や野球部の在り方について、以下の問題を指摘され、提言をいただきました。
(1)基本方針の実践:「いじめ防止委員会」が存在するものの、「生徒指導委員会」との違いが不明確であり、いじめ防止委員会としての活動がなされない運用がされていた。「いじめ防止委員会」を適切に開催し、活動されるように、組織構造や校務分掌を見直すこと。
(2)調査と記録の作成・保管:当該生徒が名前を挙げた指導者への聴き取りが大幅に遅れたり、野球部内の暴行暴言について広範な聴き取りがされていないなど、調査体制に不備があった。調査と審議の過程を後から検証できるよう、委員会の議事録や聴き取り報告書を適切に作成・保管すること。
(3)野球部の閉鎖性解消:野球部内の問題が一般の生徒指導ルートから外れ、部内のみで処理される傾向があった。また、指導者間で生徒に関する情報が共有されず、生徒の側からも暴力・暴言の被害等を言い出しにくく、閉鎖的になっていた。野球部出身者以外の第三者を関与させ、不適切な指導があったときに相談しやすい環境を整え、多角的な視点を取り入れること。
(4)相談窓口の拡充:「体罰、セクシャルハラスメント相談窓口」を設置しているが、ここ数年相談がなく、相談窓口の機能不全がうかがわれる。オンライン会議やSNS等によるカメラ機能を用いた相談など、他の生徒の目を気にせず、不登校の生徒でも利用しやすい窓口にすること。
(5)専門家による研修:教職員に対するいじめ防止対策の研修が計画・実施されておらず、専門知識のアップデートがなされていなかった。弁護士や学識経験者を招き、年に1回程度は、全教職員向けにいじめ防止対策推進法の研修を実施すること。