「ジムでのトレーニング、ブルペンでのピッチングはできる」 左ふくらはぎの軽い肉離れで来月のワールド・ベースボール・クラシ…

「ジムでのトレーニング、ブルペンでのピッチングはできる」

 左ふくらはぎの軽い肉離れで来月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場を辞退した西武・平良海馬投手が12日、宮崎・南郷キャンプで負傷後初めてブルペンに入り、捕手を座らせた状態で変化球をまじえ47球を投じた。早速150キロを超えるスピードを計測し、周囲を驚愕させた。

 当初、平良はWBCに合わせて早めの調整を行い、今月3日には実戦的なライブBPに登板。ところが5日の練習中に左ふくらはぎの違和感を訴え、翌6日に宮崎市内の病院を受診。7日にチームドクターから「左ふくらはぎの軽い肉離れ」と診断され、全治2~3週間の見込みとなった。

 それでも「ジムでのトレーニング、ブルペンでのピッチングはできるので、肩を作っていくことはできます。キャンプのメニューのうち、ジョギング、全体でのウォーミングアップ、細かいステップを伴うゴロ捕球などは、また怪我をしてしまう可能性があるので控えています」と明かした。

 この日のブルペンでは、途中までは平良自身が自費で購入したハンディタイプの弾道測定器「ラプソード」で1球1球、データを取りながら投球。その後ブルペン内で別のマウンドに移動し、今度は球団所有の「トラックマン」が弾き出すデータに目をこらしながら、ピッチングを続けた。

 平良はデータ、科学的理論に徹底的にこだわるタイプである。「たとえば、ジャイロスライダーという球種は縦変化ゼロ、横変化ゼロが理想といわれていて、今日のラプソードではそれが達成できていましたが、トラックマンで測ると少し大きい横変化が出たりしていたので、ボールの握りなどを調整しました」と説明した。

「ラプソードがカメラでボールの回転と軌道を予測するのに対し、トラックマンはレーダーでボールの曲がりを捉えます。予測か実測かの違いがある。ラプソードには手軽さがあるのですが、今日は途中からトラックマンに替えました」と、まさに“立て板に水”のごとしだった。

「スイーパー、ツーシームがよく曲がる感じがあります」

 一方で、自己最速160キロを誇る剛腕は、コンディションが万全でない中で「球速は150.6キロが出ていたので、よかったなと思います。これからどんどん上げていきたいです」と満足気に笑顔を浮かべた。

 これに驚いたのは周囲だ。平良のボールを受けた藤沢亨明ブルペン捕手は「怪我をした2日後くらいに、マウンドの傾斜を使って軽く感覚を確認しましたが、捕手を座らせてピッチングを行うのは本当に負傷後初めて。それで150キロって……もう驚くしかありません。科学的な取り組みを含めて、彼は何から何まで興味深い選手です」と絶賛する。

 ブルペン投球の終盤には、相手役が藤沢ブルペン捕手からドラフト1位ルーキー・小島大河捕手(明大)にバトンタッチ。小島は「初めて平良さんの球を受けさせていただきましたが、すごく強いボールでした」と顔を紅潮させた。

 平良自身、WBCで憧れのメジャーリーガーらとの対戦を通して、自分の力を試すのを楽しみにしていた。だからといって、感情を優先して出場を強行することはしなかった。「無理をして、また怪我をしてシーズンに出遅れるのが一番やってはいけないことだと思い、そうならないために、しっかり今の時期から調整していくという選択をしました」とあくまで冷静だった。

 最近はWBCで使用されるMLB公認球を使って練習してきたが、この日からは当然、NPB公認球に切り替えた。MLB球での練習も、決して無駄にはしない。「NPB球は(MLB球に比べると)小さく感じますし、(縫い目の高さや革質などの影響で)グリップがしっかり利くので、指が痛いです」と笑わせた。「滑る球を滑らないように投げる練習をしてきたので、今後グリップの感覚をNPB球に落とし込んでいければ、より良いスピンで投げられると思います。NPB球ではスイーパー、ツーシームがよく曲がる感じがあります」とうなずいた。

 転んでもただでは起きない。出場辞退の無念の思いは胸の奥にしまいこみ、2年ぶりの先発復帰が決まっている開幕へ向けて、改めて準備を始める。「今年の目標とかは特になくて、1球1球の質を高めて相手を抑えていけたらと思います」とクールに言ってのけた。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)