2025年12月7日、千葉県の市川市スポーツセンターで「第4回 車いすバスケットボールフェスタ」が開催された。本イベント…
2025年12月7日、千葉県の市川市スポーツセンターで「第4回 車いすバスケットボールフェスタ」が開催された。
本イベントは4年目を迎え、体験×観戦のハイブリッドで車いすスポーツの魅力を肌で感じられる1日が創られた。
(写真 / 文:白石怜平)
市川市で恒例となった“車いすスポーツの祭典”
車いすバスケットボールフェスタは「市川スポーツガーデン国府台(以下、ISG国府台)」と「NO EXCUSE」が手を組んでいるイベントで、2022年から開催されている。
ISG国府台は市川市で活動している総合型スポーツクラブで、2006年4月に発足してから20年にわたり地域活性の場として根付いている。
総合型スポーツクラブの名の通り22のプログラムを展開し、24年12月現在で948名の会員が在籍。
親子で2歳から参加できるキッズターザンクラブから小学3年生〜中学3年生を対象にしたバスケットボール教室、大人向けのフィットネスプログラムなど幅広い年代が共に汗を流している。
会員やスタッフなど立場の垣根を超えて絆を深め、市民によるコミュニティが形成されているのも大きな特徴である。
また、車いすバスケットボールチームである「NO EXCUSE」は東京都の選手権大会や天皇杯など数々の大会で好成績を収めている強豪チームで、東京都や千葉県に活動拠点を置いている。
チームの象徴とも言える主将の香西宏昭選手は、08年北京から21年の東京までの4大会連続でパラリンピックに出場するなど、現在も日本を代表する選手として車いすバスケットボール界を牽引している。
ISG国府台の種目の一つにはスポーツ用車いすのプログラムがあり、NO EXCUSEの選手も指導を担当するなど、約10年にわたり絆を深めてきた。
ISG国府台は、車いすバスケが同クラブの理念である”誰でも一緒に楽しむ仲間づくり”を体現する大切な競技であると考えている。
NO EXCUSEも「地域に障がいのある人たちが体を動かすきっかけとなる場をつくりたい」という想いを持っており、互いに描く世界観が重なり合う。
その過程の中で両者の想いが一致し、本フェスタ開催へと発展していった。
イベントは年々進化を遂げている。毎年車いすバスケの体験コーナーが設けられており、年代性別問わず700人以上の市民がその難しさと楽しさを味わっている。
体験コーナーから参加した、NO EXCUSEの金子恵美子さんはその時の出来事を明かしてくれた。
「まず午前中のフェスタに近隣の車いすユーザーである小学生の女の子が
来てくれたのがとても嬉しかったです。その時に『前からフェスタのことを知っていて、今日ようやく来れました』と話していたんです。
ISGの皆さまが活動を継続されてきたからこそですし、今のような話が少しずつ伝播していくのだと改めて感じました」
そして、体験の後はNO EXCUSEの試合を観ることができる。初年度は「千葉ホークス」と交流試合を実施し、そして昨年からは「WB SUPER LEAGUE」の公式戦が開催されている。
今年もNO EXCUSEのホームゲームとして、熱い真剣勝負が展開された。
15歳のホープがリーグ戦デビュー・初得点も
来場者そして運営スタッフなどを含めると総勢1000人を超え、13時半からの試合開始前から早くも熱気と緊張感に包まれた市川市スポーツセンター。
「WB SUPER LEAGUE」は昨年スタートした車いすバスケの新リーグで、関東の5チーム(NO EXCUSE・神奈川VANGUARDS・COOLS・埼玉ライオンズ・千葉ホークス)が各チームと1試合ずつ行い、優勝を決める。
この日2戦目を迎えたNO EXCUSEは、COOLSを迎えての試合となった。コートサイドから2階のスタンドまでチームカラーのオレンジに染まり、選手たちに声援を送った。
試合はNO EXCUSEが序盤からリードを奪い、主導権を握る。4Qまで安定した戦いを見せ、66−41で勝利を収めた。当時開幕から2連勝で、優勝に向けて同3連勝中の神奈川VANGUARDSを追いかけた。
この試合では、未来のスターが記念すべきリーグ戦のデビューを果たした。それが大賀勝翔選手である。
15歳の大賀選手は小学生の頃からISG国府台で行われている体験会に定期的に参加しており、香西選手に憧れて車いすバスケを始めた。
その後は競技者を志し、NO EXCUSEのジュニアチームである「NExt(ノーエクスキューズネクスト)」の設立とともに入団。現在はジュニア世代の代表選手を目指している。
大賀選手の実力そして情熱に応えるべく、チームもトップチームを含めて大賀選手を全力でサポート。
リーグ戦や天皇杯の予選など、全国トップレベルの選手が集まる試合を経験させるべく、ジュニア選手としては異例のメンバー入りを果たしている。
大賀選手はその期待に違わぬ活躍を見せた。後半から出場すると、激しいアタックにも怯まずボールを相手に渡さず自らシュートを決めた。この試合が自身にとってリーグ戦初得点であり、チームの勝利に貢献した。
金子さんはコートで躍動する大賀選手の勇姿を見てさらに心が奮い立っていた。
「勝翔が憧れ続けたあの香西と同じコートに立っていることに何とも言えない気持ちが溢れました。実は、NExtの活動をスタートさせるきっかけになったのは勝翔の存在だったんです。
試合での姿を見た時、障がいのある子どもたちがスポーツ活動における挑戦をできる場面設定をもっともっと創り出していきたいと感じました」
また、ISG国府台で体験会に参加し始めた頃からの成長を知るのが、長年クラブマネージャーを務めていた小幡晶子さん。大賀選手の活躍を見て感慨深い気持ちになったと語る。
「選手による体験会を定期開催していたころ、毎回参加してくださっていたのが勝翔君でした。天皇杯へ応援に行った時に客席で話していた子が、今では選手としてプレーしているわけですよね。本当にすごいことですよ。
憧れが憧れで終わらずに、このような形に花開いていくわけですから。これも想いやこれらの縁を繋いでいかれた方々がいてこそだと思いますし、こういった機会がより多くの子どもたちに訪れてほしいと願っています」
地域とスポーツの連携をさらに強固に
初回から4回目を振り返った小幡さんは、イベントの進化を体感していた。
「初めて実施したときは、ISGのバスケット会員とコーチのみの体験参加者で、客席もわずかな方のみで、関心興味の薄さを痛感しました。
ですが、“車いすバスケットの面白さを知ってほしい”との想いで継続してきた結果とNO EXCUSEさんの認知が広まっていることで、市民の参加人数・観戦者数が多くなってきて大変うれしく感じています。
『見て、応援して、やってみて、楽しさを知ることが支える活動につながっていく』そんな想いでやってきたことを、これからも継続して取り組んでいきたいです」
ISG国府台は発足から20周年を迎える。設立当初は逆風も多くあった中、“楽しむスポーツの場”を守り続けて今日に至る。当時を思い出しながら、今後に向けて語った。
「20年前の設立時はまだスポーツは競技志向が強く、楽しむスポーツが認知されていない時でした。
地道に活動を続ける中で地域の方に受け入れていただき、ようやく今では社会的に“誰でも共に楽しむスポーツ”が広まり、ISG国府台の活動が認知されてきたと感じています。
これからも、地域の方と一緒に総合型地域スポーツクラブとしてできることを積み上げていきます」
地域住民の方々が観客席を埋めた様子を見た金子さんは、継続していくことによる可能性を改めて感じた。
「障がいのある子どもたちがスポーツを継続していくために必要なことはたくさんあります。私たちもスポーツをする機会にもっとアクセスできるようにと活動を始めているところですので、ISGの皆さんを始め、地域との連携をこれからも大切にしていきたいです」
市川市民が楽しさと感動であふれた日は、来年以降も続いていく。
(おわり)








