<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇団体男子ショートプログラム(SP)◇7日(日本時間8日)…
<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇団体男子ショートプログラム(SP)◇7日(日本時間8日)◇ミラノ・アイススケートアリーナ
【ミラノ=木下淳】男子の鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)が、絶対王者イリア・マリニン(21)に10・67点差をつけて完勝し、出場10人のSPで1位の10点を日本にもたらした。2度目の五輪。前回22年の北京大会は個人、団体ともに銀メダルだった男が「五輪と相性がいい」と、はっちゃけた。昨年の世界選手権で完敗後、見失っていた本来の姿への回帰をステップ満点で証明。10日(日本時間11日)から始まる個人に弾みをつけた。
前哨戦を制した。世界で唯一、最上位ジャンプ全6種を操る「4回転の神」マリニンとの直接対決。神懸かったのは鍵山だった。4回転-3回転の2連続トーループで、全選手最高の出来栄え点4・07を稼ぐ。4回転サルコー、トリプルアクセル(3回転半)も決めて、反対に初の五輪で2つ乱れた相手を圧倒した。「最高という言葉しか出てこない」。自己記録の108・77点に肉薄する108・67点。北京のSPを超えて98・00点だった首位米国の覇王を大差で退けて、ガッツポーズ百烈拳で喜んだ。
昨季は、父正和コーチともどもマリニンを意識し過ぎて自分を見失った。25年の世界選手権では40・37点もの差をつけられる惨敗。今季は「本来の姿を取り戻す」と大技を封印し、滑りを磨いてきた。シーズン前半戦もミスが続き、全日本もジャンプで転んで2連覇も大号泣。最高難度のレベル4をそろえたスピン、ステップだけは裏切らなかった。「楽しまないと。マイナスの感情は日本に置いてきた」。当地入りの直前には世界女王のコストナー・コーチを日本に招き、目線まで徹底的に突き詰めた。
迎えた本番が、真骨頂だった。ジャンプ後のステップ。緩急自在に舞い「曲が憑依(ひょうい)した」とゾーンに入る。「大舞台で遊ばずにはいられなかった」と目線を送る場面で、予定外の両手も動かし「来い来い」と客席をあおった。「イチかバチか賭けに出た(笑い)。盛り上がって大正解」。全9人のジャッジが満点という異次元の滑りで、反対にSPだけでマリニンを10点超も上回った。
「五輪と相性がいいのかな。全てうまくいく感覚がある」。羽生結弦、宇野昌磨の背中から、恐れを知らず日本フィギュア最年少メダルをつかんだ18歳の4年前から、春も秋も冬も涙が続いた1年の浮沈も乗り越えて「今は無敵状態」に。最高の発進にも「もっともっと伸びしろを感じた。個人で点を伸ばしたい」と金メダルへ、先手を取った。
◆木下淳(きのした・じゅん)1980年(昭55)9月7日、長野県飯田市生まれ。飯田高-早大。4年時にアメフトの甲子園ボウル出場。04年入社。文化社会部時代の08年ベネチア映画祭でイタリア初出張。ミラノは2度目。東北総局、整理部、スポーツ部。23年からデスク。25年からDCI推進室と兼務。高校野球の甲子園取材は春2回夏3回。サッカーW杯は1回。五輪は夏3回冬2回で大会パスはE、Es、ET、Ecの4種を保有している。