Jリーグは2026年、その様相を大きく変える。2026-27シーズンから、秋春制を導入するのだ。だが、その前にも「新た…

 Jリーグは2026年、その様相を大きく変える。2026-27シーズンから、秋春制を導入するのだ。だが、その前にも「新たな挑戦」が待っている。約5か月間の「百年構想リーグ」だ。この大会、使いようによってはリーグやクラブを大きく変貌させるかもしれない。初の試みとなる短期決戦リーグでの「戦い方」を、サッカージャーナリスト後藤健生が提案する!

■Jリーグの先祖返り

 もう一つ、「百年構想リーグ」の特徴は、90分間で同点に終わった場合は、延長なしでPK戦が行われることだ(Jリーグ開幕当初に先祖返りしたのか?)。

 そして、重要なことはPK戦の勝者には勝点2が与えられるということだ。

 勝点(ポイント)を使ってリーグ戦の順位を決める方式は、1888年にイングランド北部の労働者階級のクラブによって「ザ・フットボール・リーグ(FL)」が結成されるときに定められた方式だ。

 FLは、規約の制定に当たってアメリカのベースボール・リーグを参考にしたのだが、ベースボールには原則として引き分けはなく、順位は勝率で決めていた。だが、サッカーでは引き分けが多かった。では、引き分けの扱いをどうすべきか……。

 そこで、引き分けの扱いについて健闘した結果、FLは勝点制を採用。勝利には勝点2、引き分けには勝点1が与えられ、その合計で順位を決めることになった。つまり、引き分けには0.5勝の価値があるというわけである。

 この方式はそのまま100年以上変わらずに採用され続けた。

 だが、1990年代前半になって各国リーグやワールドカップなどが逐次「勝利には勝点3、引き分けには勝点1」という方式に変更された。つまり、引き分けは0.5勝ではなく、3分の1勝の価値しかなくなったのだ。

 この方式変更によって、引き分けが多いチームよりも、敗戦のリスクを冒しても勝利を求めるチームが上位にランクされるようになった。各チームが引き分けより勝利を目指すように誘導し、試合をよりエキサイティングで魅力的なものにしようという試みだった。

 そして、それ以来30年以上「勝利=3、引き分け=1」という方式が定着している。

■引き分けの価値が向上

 2025年のJ1リーグでは鹿島アントラーズが勝点1の差で柏レイソルを上回ってタイトルを獲得した。

    勝利 引分 敗戦  勝点
 鹿島 23  7  8  76
 柏  21 12  5  75

 しかし、もし、1990年代まで使われていた「勝利=2、引き分け=1」という方式が採用されていたとしたら、鹿島の勝点は53で柏は54となり、逆に勝点1の差で柏が優勝していたのだ。

「百年構想リーグ」では、PK戦で勝利の場合は勝点2が与えられ、PK戦負けの場合でも勝点1が与えられる。つまり、引き分けの場合、平均で1.5ポイントが与えられるのだから、引き分けは1990年代までと同じように0.5勝の価値があると見なされる。

 つまり、これまでのJリーグとは違って、引き分けの価値が大きくなるのだ。

 さらに、もしPK戦で勝利したら、引き分けは3分の2勝の価値があるということになる(だから、もしPK戦を採用する場合、本来なら「勝利=4、PK勝ち=2、PK負け=1、敗戦=0」とすべきだったのだ)。

 これも、戦力的に劣るチームに有利なレギュレーションだ。

■意外性を生み出すルール

 強豪チームを相手に、勝利することは難しくても、なんとか引き分けに持ち込むことはできる。そして、PK戦で勝利すれば、勝点2を獲得することができるのだ。結果として、引き分け狙いの試合が増えるかもしれない。そして、PK戦勝利で勝点を積み上げた意外なチーム(通常のリーグ戦では優勝争いに絡むことは不可能なようなチーム)が優勝戦線に躍り出るかもしれない。

 小さなクラブは「百年構想リーグ」に勝負を懸けてみたら面白い。

 あるいは、J2・J3リーグでは地方のJ3の無名クラブが、J1在籍経験のあるような有名クラブを倒して上位に進出することも考えられる。

 そうなれば、各ローカルで大きな話題となってクラブの知名度を上げることができるし、集客力が上がり、新規のスポンサー契約も取れるようになるかもしれない。

いま一番読まれている記事を読む