第102回箱根駅伝(2、3日)で2年連続4位だった早大は来季、強力なルーキーを迎える。昨年12月の全国高校駅伝1区(1…
第102回箱根駅伝(2、3日)で2年連続4位だった早大は来季、強力なルーキーを迎える。昨年12月の全国高校駅伝1区(10キロ)で区間賞の増子陽太(福島・学法石川)、同2位の新妻遼己(はるき、兵庫・西脇工)、同3位の本田桜二郎(鳥取城北)がそろって今春、入学する。3人に加え、同14位の上杉敦史(千葉・八千代松陰)ら5人の逸材も加わる。「令和の早大三羽ガラス+α」は、16年ぶりの箱根路制覇、さらには世界を目指す。
2026年新春。名門の早大は箱根路を沸かせた。4区終了時点で首位の中大と1分12秒差の2位。3年連続で5区を担った「山の名探偵」工藤慎作(3年)が中間点の手前で中大の柴田大地(3年)を抜き、トップに立った。往路優勝が見えたが、工藤から2分12秒遅れてスタートした青学大の黒田朝日(4年)が箱根山中で歴史的な激走。早大は残り約1・5キロで逆転を許し、往路2位と惜敗した。
復路は8位。2年連続の総合4位だったが、成績以上の存在感を発揮した。
新シーズン、さらなる躍進を期す。その原動力が強力なルーキーたちだ。
昨年12月の全国高校駅伝。「花の1区」と呼ばれる最長区間の10キロで、学法石川の増子陽太が28分20秒で区間賞を獲得した。前年に八千代松陰の鈴木琉胤(るい、現早大1年)がマークした日本人最高記録(28分43秒)を23秒も更新。区間2位だった西脇工の新妻遼己も28分40秒で走破し、従来の日本人最高記録を超えた。区間3位で続いた鳥取城北の本田桜二郎も28分52秒の好タイムだった。その3人がそろって今春、早大スポーツ科学部に進学する。
1990年、高校トップクラスだった武井隆次(元エスビー食品監督)、櫛部静二(現城西大監督)、花田勝彦(現早大監督)が早大に入学。1年目から主要区間を担い「早大三羽がらす」と呼ばれた。
それから36年。増子、新妻、本田は「令和の早大三羽がらす」として期待される。
増子は今年、箱根駅伝を初めて沿道で観戦した。「2区で高校の先輩でもある山口智規さん(4年)、4区で琉胤さんを応援しました。僕も二人のような走りをしたいと思いました」と笑顔で振り返る。伝統の箱根駅伝について「憧れです」と話す。その上で、さらなる高みを見据える。
「早稲田で箱根駅伝優勝を目指します。でも、そこはピークではありません。箱根駅伝での経験を生かして世界に行きたい。日本人で初めて5000メートルで12分台、1万メートルで26分台を出したいです」。増子は大きな目標を明かした。
新妻も同様に話す。「早稲田に進むことを決めた理由はトラックで世界に挑戦したいからです。早稲田には先輩でも同期でも強い選手がたくさんいます。増子は中学時代からのライバル。全国高校駅伝では全くかないませんでしたが、チーム内で切磋琢磨(せっさたくま)したい。5000メートル12分台、1万メートル26分台を目指します」と力強く話した。本田も「増子、新妻に負けない走りをしたい」と意欲的に語る。
増子、新妻、本田に加え、八千代松陰の上杉敦史も入学が決まっている。早大の花田監督は「まだ名前は言えませんが、ほかに4人の新入生が入学予定です」と明かす。
今年の箱根駅伝2区で日本人歴代3位の好記録をマークしたエースの山口智規は卒業するが、多くの逸材が残る。4区でイェゴン・ヴィンセント(東京国際大、現ホンダ)の区間記録まであと1秒に迫った鈴木は日本学生トップクラスの実力を持つ。1区7位の吉倉ナヤブ直希(2年)、3区8位の山口竣平(2年)、9区2位の小平敦之(3年)は今回以上の好走が期待される。5区3位の工藤、6区6位の山崎一吹(3年)を擁し、山の特殊区間でも強みがある。
来年の第103回箱根駅伝。4連覇を目指す青学大、今回2位で初優勝を狙う国学院大などともに早大は、有力な優勝候補に挙がる。
瀬古利彦、渡辺康幸、大迫傑、そして、今季の山口智規。早大の歴代エースは日本のエースとして世界に挑戦し、今も挑戦を続けている。
早大で箱根駅伝優勝を経験した後、1996年アトランタ五輪と2000年シドニー五輪に出場した花田監督は未知数の可能性を秘めるルーキーたちに「早稲田では箱根駅伝だけではなく、世界を目指してほしい」と期待する。「令和の早大三羽がらすプラスα」の挑戦は、箱根経由で世界に続く。(竹内 達朗)
◆平成の早大三羽ガラス 1990年(平成2年)、日本人高校生で初めて5000メートル13分台で走破した武井隆次(東京・国学院久我山)、3000メートル障害で日本高校記録(当時)をつくった櫛部静二(山口・宇部鴻城)、全国高校総体1500メートル5位の花田勝彦(滋賀・彦根東)が入学。1年目から主要区間を担い「早大三羽ガラス」と呼ばれた。1年時の箱根は櫛部が2区で大ブレーキして11位に終わったが、2年時は6位、3年時は優勝を飾った。4年時は山梨学院大に惜敗し、2位。3人が在籍した4年間、出雲駅伝は2位、7位、7位、2位。全日本大学駅伝は3年時に初出場優勝し、翌年も連覇。学生3大駅伝計10戦で3勝。2学年下の渡辺康幸(千葉・市船橋)とともに当時の大学駅伝界を沸かせた。
◆早大 正式名称は陸上競技部ではなく競走部。1914年創部。1920年の第1回箱根駅伝に出場した4校中の1校で、東京高等師範学校(現筑波大)、明大、慶大とともに「箱根オリジナル4」と呼ばれる伝統校。箱根駅伝で優勝13回、出場95回はいずれも歴代2位(歴代1位はいずれも中大で優勝14回、出場99回)。出雲駅伝は優勝2回、全日本大学駅伝は1992年の初出場初優勝から4連覇を含めて5勝。2010年度は学生駅伝3冠を果たした。学生3大駅伝計20勝(歴代3位タイ)。練習拠点は埼玉・所沢市。タスキの色は臙脂(えんじ)。主なOBはマラソン元日本記録保持者の瀬古利彦氏、現日本記録保持者の大迫傑ら多数。