<大相撲初場所>◇14日目◇24日◇東京・両国国技館土壇場で追いついた。西前頭4枚目の熱海富士(23=伊勢ケ浜)が、関脇…
<大相撲初場所>◇14日目◇24日◇東京・両国国技館
土壇場で追いついた。西前頭4枚目の熱海富士(23=伊勢ケ浜)が、関脇霧島との3敗対決を制し、優勝争いのトップに並んで、千秋楽に臨むことになった。
取組前までの対戦成績が2勝7敗、5連敗中という天敵の霧島を、幕内最重量195キロの全体重を乗せて浴びせ倒し。11勝3敗とし、この日敗れた大関安青錦と並んだ。初日、2日目と連敗発進の力士として、静岡県出身として、ともに史上初の優勝を目指していく。
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無我夢中だった。熱海富士は立ち合いで、勢いよく胸から当たった。体は伸びていた。アゴも上がっていた。脇が甘く、霧島にスパッと2本差される不利な体勢。それでもガムシャラに前に出た。左上手を引くと勢いは加速。土俵際で必死の相手の抵抗に遭い、体は宙に浮いたが、195キロの全体重を乗せて覆いかぶさった。大きな体と圧力を、最大限に生かして勝った。
霧島に最後に勝ったのは24年夏場所、1年8カ月も前だった。体格で上回っていても、運動量で下回って圧力をかけられなかった。まわしを取って、技術を駆使して切られて引きつけられなかった天敵。それが、優勝の生き残りを懸けた、今場所の大一番で破った。支度部屋に引き揚げると、トレードマークの満面の笑みを見せ、付け人や床山らとグータッチを交わした。
千秋楽を優勝争いのトップで迎えるのは、東前頭15枚目で臨んだ幕内2場所目の23年秋場所に次いで2度目だ。この場所は単独トップで千秋楽に臨んだが、本割で同じ右四つの前頭だった朝乃山に敗れ、優勝決定戦では大関だった貴景勝のはたき込みに敗れた。このころから負けて悩む悪癖が顔をのぞかせるようになった。だが今場所は、連敗発進から劇的な復調。好きなお笑い芸人の動画を見て気分転換するなど、切り替えできるようになっていた。
取組後、報道陣の質問には答えなかった。「千秋楽に話します」。胸にしまったのは、まだ優勝力士を輩出していない、故郷静岡県への思いなど数知れない。最高の結果を残して、14日間、語らなかった思いを打ち明ける。【高田文太】