サッカーU-23日本代表が、U23アジアカップの決勝へと進んだ。現地時間24日には中国とタイトルをかけて激突する。グル…

 サッカーU-23日本代表が、U23アジアカップの決勝へと進んだ。現地時間24日には中国とタイトルをかけて激突する。グループ3戦全勝、準決勝では韓国を破っての快進撃だが、サッカージャーナリスト後藤健生は、その裏側には見過ごせない「大問題」があると考える!

■就任直後の森保監督は「グループ敗退」

 さて、2018年大会の日本チームは東京オリンピックを目指して新チームが立ち上げられた直後で、森保一が監督に就任した直後の大会だった。

 Jリーグで3度優勝の森保監督だったが、代表を率いた経験がなかったので「代表でも成功できるのか?」という疑問が投げかけられていたし、広島では3バックで戦っていた森保監督が代表でも同システムを採用するのかといった点も注目されていた。

 2018年1月当時、フル代表の監督はヴァイッド・ハリルホジッチだった。

 その後、同年3月にハリルホジッチが解任されて西野朗が後任となり、ロシア・ワールドカップにはオリンピック代表監督の森保もコーチとして帯同。ワールドカップ終了後には森保が2つの代表の監督を兼任することが発表される。

 そして、森保監督は2021年の東京オリンピックでは準決勝進出。2022年のカタール・ワールドカップでもドイツ、スペインを破って決勝トーナメントに進出するという結果を残し、カタール大会終了後も監督に留まって今年もワールドカップで指揮を執る。

 だが、2018年1月の段階では「森保監督のお手並み拝見」の状態であり、2年後に向けて「ラージグループ」をつくり始めたばかりの段階だったのだ。

 2年後、2020年のU23アジアカップはタイの首都バンコクとその近郊で開かれた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の直前のことだ。

 東京オリンピック出場を間近に控えるU23日本代表の完成度は上がっていたはずだったが(実際には東京大会は1年延期となる)、サウジアラビアとシリアに連敗。最終戦でカタールと引き分けたものの1分2敗でグループリーグ敗退に終わってしまった。

 2020年大会は、オリンピック予選を兼ねたU23アジアカップで唯一、日本が優勝できなかった大会となった。

■今大会で優勝したら「初優勝」の快挙!

 敗因は明らかだった。予選を兼ねる大会だったのでオリンピック出場を目指す強豪国は入念な準備を重ねて大会に臨んでおり、サウジアラビア、韓国、オーストラリアが順当に出場権を獲得した。それに対して、日本は開催国としてすでに出場が決まっていたのでモチベーションも準備も劣っていたのだ。

 日本代表がオリンピック・イヤー以外の大会で優勝できていない原因は、ご承知のように日本が次期オリンピック出場資格を持つ21歳以下の選手で構成されたチームを派遣しているからだ。

 これに対して、多くの国は年齢制限いっぱいのU23代表で参加していたり、U21代表に(23歳以下の)オーバーエイジを加えたりしている。つまり、日本の実質U21代表は年齢が2歳上のチームと戦うことになるのだ。

 今年の大会も、日本は昨年のU20ワールドカップ・チリ大会に出場した選手を中心にした、実質U21代表で参加している。

 もし、そんな状態の日本代表が2026年大会で優勝できたとしたら、それは「3度目の優勝」ではなく「U21代表による初優勝」というべき快挙となるだろう。

■中東の大会で「東アジア勢」が上位独占

 このところ、アジア・サッカー連盟(AFC)主催の大会の多くが中東諸国で開催されるようになっている。サウジアラビアやカタールは石油や天然ガスがもたらす無尽蔵とも言える資金をスポーツに惜しげもなく投入している。

 将来の天然資源の枯渇や価格の下落に備えて、世界での存在感を高めておくためにスポーツを利用しようとしているのだ。2022年にはカタールという小国が4万人以上のスタジアムを8つも建設してワールドカップを開催し、2034年にはサウジアラビアでのワールドカップ開催が決まっている。

 そして、サウジアラビアの国内リーグにはクリスティアーノ・ロナウドをはじめ、ワールドクラスの選手が次々と引き抜かれていく。U23アジアカップと同時期にはスペインのスーパーカップまでサウジアラビアで開催されて物議を醸した。

 しかし、彼らの強化は順調には進まない……。

 今大会でも開催国のサウジアラビアはベトナムとヨルダンの後塵を拝してグループリーグで敗退。カタールに至っては3戦全敗(得点0)の惨敗に終わったのだ。中東諸国で準々決勝進出を果たしたのはシリア、ヨルダンだけとなり、ベスト4は日本、韓国、中国、ベトナムの東アジア勢が独占した。

 ベトナムは前述のとおり2018年大会での成功をバックにこの大会に力を入れているし、中国は昨年のU20アジアカップで準々決勝で敗退したものの、これまでの中国サッカーのイメージを覆すような良質のプレーを見せていた。

 サウジアラビアの暑さの中での大会で東アジア勢が上位を独占したことは、大きな出来事だったような気がするのである。

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