<大相撲初場所>◇13日目◇23日◇東京・両国国技館最高位東前頭4枚目の人気力士で、東幕下11枚目の炎鵬(31=伊勢ケ浜…

<大相撲初場所>◇13日目◇23日◇東京・両国国技館

最高位東前頭4枚目の人気力士で、東幕下11枚目の炎鵬(31=伊勢ケ浜)は、23年夏場所以来、約3年ぶりの関取復帰は持ち越しとなった。延原との全勝対決に敗れ、6勝1敗で幕下優勝には1歩届かなかった。

立ち合いは踏み込まず、相手の突きを下からあてがう静かな立ち上がり。そこから一瞬の隙をつき、炎鵬が相手の懐に飛び込んでからは激しい攻防へと一転。左を差して前に出ると、相手に上手を引かれて振り回された。土俵際に追い込まれたが食いつき、左のかいなを返してすくい投げ。これを相手にこらえられると、そのまま上から覆いかぶさるように圧力をかけられた。炎鵬は両膝を曲げ、懸命に残そうとしたが、相手の圧力を止めきれず、そのまま浴びせ倒しで天を仰ぎ、そのまま動けなくなった。

「今日はいつも以上に、勝ちたい気持ちが強かった」。取組後の炎鵬が、率直な胸の内を明かした。優勝に王手をかけた11日目の六番相撲で、栃丸を破った取組後、左足を引きずって引き揚げていた。その左足はこの日、足首にテーピングを施して臨んだ。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)に「大丈夫か?」と心配されたが「大丈夫です」と即答し、出場に迷いはなかったという。その上で「自分に勝てなかった」と、唇をかんだ。

この日は、割れんばかりの大歓声で迎えられた。23年5月の夏場所で初日から9連敗、首を大けがした後、病院で脊髄損傷と診断された。そこから7場所連続休場。24年名古屋場所で再起してからは、自らに言い聞かせるように話してきた。「必ず関取に戻ります」。

今場所、その関取復帰へ千載一遇のチャンスが訪れたが、あと1歩で逃した。ただ、一段と番付を上げ、次の春場所は勝ち越せば、再十両の権利を得る幕下5枚目以内に番付を上げるのは確実。「集中していたので」と、この日の大声援を鮮明には覚えていないという。だが場内の盛り上がりは感じていた。「たくさんの方が支えてくれて、そのおかげで今日、土俵に立てた。声援にすごく後押ししてもらった」。だからこそ次の春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)での雪辱へと切り替えた。「これで終わりじゃない」。来場所、最高の結末を目指し、炎鵬の関取復帰への物語は続く。【高田文太】