蹴球放浪家・後藤健生は世界中でサッカーを目に焼き付けてきた。それと同時に、世界中の人間も見てきた。日本でも世界でも嫌な…

 蹴球放浪家・後藤健生は世界中でサッカーを目に焼き付けてきた。それと同時に、世界中の人間も見てきた。日本でも世界でも嫌なニュースが目につくが、蹴球放浪家には人間の善性を信じるだけの経験がある。

■パスポート紛失という大リスク

 さっそく、エスカレータを駆け下りて、手荷物検査場に向かいます。

 すると、さっき通過したカウンターに僕の大事なポーチがポツンと置いてあるではありませんか!

 こうして、無事に飛行機に搭乗して、僕はヴォルゴグラードに向かうことができたのですが、もしパスポートがなくなっていたら飛行機には搭乗できませんでしたから、日本対ポーランドの“大熱戦”を目撃することができなくなってしまうところでした。

 空港内の警察に行って「紛失届」を出してから在モスクワの日本大使館に行ってパスポートの再発給をしなければならず、再発給までの間、飛行機で移動することができなくなってしまいます。ホテルもパスポートを提示しないとチェックインさせてもらえないでしょうから、モスクワ以外に旅することができなくなっていたことでしょう。

 まあ、パスポートの再発給自体は、ブエノスアイレスの強盗事件のときに経験していますから慣れたもんだったんですが……。

■強権主義国では軽犯罪は少ない?

 モスクワでは、百貨店「グム」の、ソ連時代を再現したレトロ・レストランに行ったときもスマホを忘れてきたことがあったんですが、このときも10分ほどしてレストランに戻ったら、そのまま僕が座っていたテーブルに残されていました。

 まあ、ロシアのような強権主義の国では違法行為に対する罰則が厳しいので、軽犯罪は少ないのかもしれませんが……。

 とにかく、悪漢もいましたが、どんな国に行っても親切な人、正直な人の方が圧倒的に多いことは間違いありません。

「世界は95%の善人でできている」のでしょう。

 悪人はごく少数派です。

 しかし、一口に「少数派」と言っても、社会によっては悪人5%もいる国もあれば、悪漢はわずか0.5%の国もあるわけです。たぶん、日本は0.5%の国のひとつでしょう。5%と0.5%では10倍も違うのですから、やはり気を付けなければいけません。

■犯罪が生まれる悲しい理由

 国によって違うのは、やはりその国の経済状態によるのでしょう。貧富の差が大きく、貧しい人が多い社会では、どんな手段を講じても生きていかなければならないので、どうしても犯罪に手を染める人が多くなります。

 カタール・ワールドカップのとき、スリランカ経由で帰国し、首都のコロンボで1日を過ごしたのですが、「街をガイドしてやる」と言って近づいてくる人がやたらに多かったのを思い出します。

 スリランカは政治の腐敗のせいで財政赤字の累積で財政が悪化。さらに主要産業である観光業が新型コロナウイルスの拡大によって壊滅的な打撃を受けて、2022年には債務不履行(デフォルト)を宣言するに至っており、人々の生活を脅かしていました。

 アフリカは数世紀にわたってヨーロッパ諸国から搾取され続けてきました。

 なにしろ、数千万人の住民が「奴隷」としてアメリカ大陸に送り込まれたのです。「奴隷」にする目的は労働力とするためで、元気で働き手になる人が抜かれていくのですから、たまったものではありません。

 日本でも、今では少子高齢化で労働人口が減少すると囁かれていますが、アフリカではそれと同じ事が数百年にわたって起こっていたわけです。

 そんな社会では、外国人を見たらさまざまな口実を設けて、金を取ろうとする人が多くても当然のことかもしれません。

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