2026年が始まり、早くもサッカーが人々の胸を熱くしている。全国高校選手権も、そのひとつだ。神村学園の戦いぶりから浮か…

 2026年が始まり、早くもサッカーが人々の胸を熱くしている。全国高校選手権も、そのひとつだ。神村学園の戦いぶりから浮かび上がった日本サッカーの問題点に、サッカージャーナリスト後藤健生が光を当てる。

■決勝で活きた教訓

 神村学園がさすがだったのは、1点を先制されて、その後も思ったような反撃ができない中でもまったく慌てなかったことだ。慌てて、ロングボールを蹴り込むようなサッカーをしていたら、ますます相手の術中にはまってしまっていただろう。

 ただ、その後も主導権を取っていた尚志だったが、68分に選手交代を行って根木をセンターに回し、同時にトップ下にいた小曽納奏もポジションを下げて中盤を厚くした。

 これを采配ミスということは言えないが、結果論として、このポジションチェンジによって神村学園の攻撃のエネルギーが増した。

 そして、尚志の交代からわずか5分後に、根木が中央に回ったことで守備の負担が減った荒木からの正確なクロスに、日高がうまく頭で合わせて同点ゴールが生まれたのだ。

 この準決勝は、尚志の戦術的なサッカーによって、非常に見ごたえのあるレベルの高い戦いとなった。

 そして、この尚志との準決勝での苦戦を教訓にして、神村学園は決勝戦では早いタイミングでトップにボールを集めることで主導権を握り、そして、そのロングボールから崩して先制ゴールを決めることに成功した。

■期待したい神村学園優勝の影響力

 ちなみに、この準決勝の翌日に行われた全日本高等学校女子選手権大会決勝では、神村学園の女子チームが柳ヶ浦の徹底した守備とCKによって敗れてしまったが、その試合を観ながら前日の神村学園対尚志の試合を思い出してしまったのは、僕だけではないだろう。早いタイミングでアプローチをかけて神村学園に自由を与えなかったあたりは、尚志のサッカーを彷彿させるものがあった。

 ただ、神村学園の男子が最後に同点ゴールを決めたのに対して、柳ヶ浦は最後まで守り切って勝利をつかみ取ったのだが……。

 いずれにしても、神村学園がこうしたポジティブなプレーで高校「2冠」を達成したことが、今後の高校サッカー全体に良い影響を与えることを期待したい。

■世代最強チームにも勝てる?

 勝利至上主義の窮屈なサッカーではなく、ポジティブでオープンなサッカーをすることによって選手はより大きく成長できる。最近、神村学園がJリーガーを輩出するようになっているのは理由がないことではないのだ。

 全国の高校サッカー指導者が、そうした方向を向いてくれれば、高校サッカーから日本サッカーの未来を背負って立つような選手が何人も現われるであろう。

 ある意味で、神村学園のサッカーからは育成を目的としたJクラブのサッカーに近いものを感じさせたのだ。

 そのJクラブとして今シーズンのU18世代をリードしたのは、U-18プレミアリーグ、日本クラブユース選手権、Jユースカップとタイトルを独占した鹿島アントラーズユースだった。

 ヴィッセル神戸U-18と対戦したプレミアリーグファイナルは非常にレベルの高い試合だった(高校サッカー決勝の6万人に対して、この試合に4854人の観客しか集まらなかったのは残念なことだ)。

 しかし、高校サッカーで神村学園の試合を観ていると、「このチームなら鹿島とも面白い試合をしそうだ」と感じた。いや、Jリーグのアカデミーである鹿島ユースのほうが、ずっと勝負にこだわった試合をしているような気もした。ここにも、“逆転現象”が起こっているのであろうか……。

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