蹴球放浪家・後藤健生は今年6月、アメリカに向かう。もちろん、ワールドカップを取材するためだ。今回は3か国の共催であるが…

 蹴球放浪家・後藤健生は今年6月、アメリカに向かう。もちろん、ワールドカップを取材するためだ。今回は3か国の共催であるが、蹴球放浪家は32年前にもアメリカでワールドカップを取材している。今とは、まったく違う姿のアメリカで…。

■本当に開催できるのか?

 今年は6月に、広大な北アメリカ大陸を舞台にFIFAワールドカップが開かれます。

 アメリカ合衆国の独裁者トランプ大統領は1月の初めに南米ベネズエラで軍事作戦を実施して、同国のマドゥーロ大統領を拘束するという国際法を無視する暴挙に出ました。さらに、トランプ氏は隣国のコロンビアやメキシコにも非難を浴びせ、デンマーク領グリーンランドへの野心も隠そうとせず、反政府運動に揺れるイランについても介入しようとしています。「カナダは51番目の州」として、カナダ併合に言及したこともあります。

 アメリカ国内でも「合衆国移民関税執行局(ICE)」が強引な移民の取り調べを進める過程で、ミネソタ州で白人女性を殺害。地元の州政府と連邦政府との対立が深刻化しています。

 本当に、そんな国でワールドカップなんかやれるんでしょうか?

 もし、アメリカとメキシコが軍事的に衝突したりしたら、共同開催は不可能になるでしょう。まあ、もしアメリカがカナダとメキシコを併合してしまったら、単独開催になるわけですが……。

■今とはまったく違う世界

 さて、アメリカでは1994年にもワールドカップが開催されました。それから32年もの長い年月が経過しました。

 1990年代というと、アメリカの国力は最盛期を過ぎて貿易赤字に悩まされていましたが、それでも圧倒的な世界第1の経済大国でした。1980年代末に東ヨーロッパ各国の共産政権が崩壊し、1940年代後半からアメリカと対立していたソビエト連邦も消滅。「1強」のアメリカが主導する平和な世界(パックス・アメリカーナ)が永遠に続くかと思われていました。

 ちなみに、当時のアメリカ大統領は民主党のビル・クリントン氏(47歳)。第2次世界大戦後に生まれた若い大統領でした。ちなみに、トランプ大統領はワールドカップ開幕直後に80歳になります。

 すべてが、変わってしまいました。

■観戦者を悩ませる円安

 当時の日本は、バブル崩壊を迎えた時期でしたが、それでも世界第2の経済大国でした。

 その後、日本はGDP(国内総生産)で中国、ドイツに抜かれ、現在はインドとほぼ同水準の世界第4位タイとなってしまいました(もちろん、これは円安のため、ドル建てに換算すると数字が小さくなってしまうからなんですが……)。

 1970年代にアメリカとの貿易摩擦の結果、円高が強制されたこともあって、1994年当時は1ドル=約90円という円高でした。

 今年のワールドカップを観戦に行こうと準備を始めている方も多いでしょうが、アメリカのインフレのせいもあってホテル代や食事代がいくらかかるのか、ご心配なことでしょう。

 もし、今でも1ドルが90円だったら、「えっ、アメリカってインフレなの? それでも、ずいぶん物価が安いねぇ」と言っていられたんですがね。たとえば、1泊100ドルのホテルに泊まるとしても、1ドル90円なら9000円なのに、現在のレートでは1万6000円も出さなければいけないんですから……。

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