【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】◆馬主・調教師からの絶大な信頼 米国におけるリーディングサイアーの…
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】
◆馬主・調教師からの絶大な信頼
米国におけるリーディングサイアーのタイトルは、2025年もイントゥミスチーフが獲得した(ブラッドホースによる集計、北米における競走のみが集計対象)。
イントゥミスチーフ(父ハーランズホリデー)によるリーディング獲得は、これで7年連続のことになる。合計収得賞金額が、前年(2024年)より347万ドルほど多い2928万5725ドルに達し、2位の種牡馬(24年はガンランナー)との差は、24年の425万2754ドルから、25年(2位はノットディスタイム)は594万3568ドルに拡大した。
イントゥミスチーフは、出走頭数の402頭、勝ち馬数の197頭、ブラックタイプ獲得馬数の62頭、重賞勝ち馬数の17頭、G1勝ち馬数の5頭が、いずれもそれぞれの部門でトップに立っており、まさに盤石の強さを見せての首位キープだった。
7連覇というのは、1963年から69年にかけて達成したボールドルーラーと肩を並べる大記録である。
稼ぎ頭は、569万2020ドルを収得したソヴリンティだった。そのソヴリンティが、4歳となる2026年も現役に留まることなったことは、8連覇を目指す父にとって心強い限りである。
25年の米国サイアーランキングの2位は、前述したようにノットディスタイム(父ジャイアンツコーズウェイ)だった。25年の同馬は、G1フランクリンシンプソンS(芝6.5F)勝ち馬トラブルシューティング、G1クールモアターフマイル(芝8F)勝ち馬レトリカル、G1BCジュベナイルターフスプリント(芝5F)勝ち馬サイフェア、G1マリブS(d7F)勝ち馬ゴールオリエンテッドと、4頭のG1勝ち馬を送り出した。この4競走はいずれも9月以降に施行されたもので、つまりは、シーズン後半に大きな追い上げを見せたのがノットディスタイムだった。同馬が送り出した、ブラックタイプ勝ち馬数30頭は、27頭のイントゥミスチーフを上回るものだ。
ノットディスタイムは、初年度産駒が4歳になった22年にリーディング7位に入り、初のトップ10入り。以降、23年が8位、24年が10位だったから、25年は一気の大躍進を見せたことになる。
第3位がガンランナー(父キャンディライド)で、同馬のトップ5入りはこれで4年連続のこと。安定した強さを見せていると言えよう。
若手種牡馬で急上昇してきたのが、8位と自身初のトップ10入りを果たしたオマハビーチ(父ウォーフロント)だ。
現役時代の同馬は、G1アーカンソーダービー(d9F)、G1サンタアニタスプリントCS(d6F)、G1マリブS(d7F)と、幅広い距離で3つのG1を制している。20年に種牡馬入りし、21年に初年度産駒が誕生。その初年度産駒が4歳となった年に、総合リーディングのトップ10入りを果たしたわけである。G1ダービーシティディスタフS(d7F)を制したコピオン、G1グッドウッドS(d9F)を制したネバダビーチと、25年は2頭のG1勝ち馬を送り出した。
オマハビーチは、2歳、3歳、4歳の3世代が稼働したサードクロップサイアーランキングでも、当然のことながら首位に立っている。
ちなみに、2世代が稼働したセカンドクロップサイアーランキングの首位は、ヴェコマ(父キャンディライド)だった。同馬は、24年のファーストクロップサイアーランキングでは3位だったから、3歳になって成長した産駒が多くいたことになる。
そして、25年のファーストクロップサイアーチャンピオンは、ヤウポン(父アンクルモー)だった。現役時代は、G1フォアゴーS(d7F)を含めて、7F以下の重賞を3勝している同馬。22年に種付け料3万ドルで種牡馬入り。初年度産駒が2歳となった25年、出走頭数の74頭、勝ち馬頭数の27頭、ブラックタイプ獲得馬数の12頭、ブラックタイプ勝ち馬数の7頭は、いずれもそれぞれの部門でトップだった。26年は種付け料は、初年度の2倍となる6万ドルに跳ね上がっている。
25年のサイアーランキングリスト上位馬たちをご紹介してきたが、実は、その背景には特筆すべき事実が隠されている。
総合リーディング首位のイントゥミスチーフ、サードクロップサイアー首位のオマハビーチ、セカンドクロップサイアー首位のヴェコマ、ファーストクロップサイアー首位のヤウポンは、すべて、スペンドスリフト・ファームにおける供用馬なのである。4部門独占は、サードクロップサイアーランキングが発表されるようになった1994年以降では、初めてとなる快挙と、ブラッドホースは報じている。
(文=合田直弘)