ゴルフ記者が酒席で何を語らうかというと、金や健康の話題こそあれ、結局は「ゴルフの話」になる。そのほとんどは取材メモに埋…
ゴルフ記者が酒席で何を語らうかというと、金や健康の話題こそあれ、結局は「ゴルフの話」になる。そのほとんどは取材メモに埋もれた裏話や、隠れたホンネだ。今回は、そんな座談会の様子をチラ見せ。聞こえてくるのは選手の知られざる一面か、はたまた退屈な戯言か――。男女ツアー全4回に分けてお届けする。(構成 編集部・合田拓斗)
男子ツアー編に参加するのは桂川洋一記者、亀山泰宏記者、服部謙二郎記者の3人。前編はPGAツアーの第一線で戦い続ける松山英樹と、日本ツアーの現状について。
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記者が見た松山英樹の現在地
米ツアー12年目の昨季、松山英樹は開幕戦「ザ・セントリー」で早々にシーズン1勝目を挙げた。しかし、そこからプレーオフ最終戦までの21試合でトップ10はゼロ回。終盤は欧州ツアーにも出場するなど試行錯誤を続け、12月のツアー外競技「ヒーローワールドチャレンジ」の勝利で一年を締めくくった。
桂川:まあ、本人は不満だらけで。正直、見ているこっちもヤキモキというか、「以前はそんなミスしなかったじゃん」って場面は多かった。でも2勝しているし、トップ30にも入っている。それで「なんだよー」と言われる選手って世界に何人もいない。ただ、本人も周りもまだまだ満足はしない気がするね。
服部:見ていて、昔ほど練習ができていない感じはある。本人も自覚があって、年齢にあらがおうとしているんじゃないかな。
桂川:同世代の小平智選手と、「若いころより球数が打てなくなったね」なんて話もしたみたい。「今でも打ちまくってる谷原(秀人)さんはすげえ」って。でも、いまでも同世代のプロと比べれば松山選手は結構打っている。彼は過去の自分と比べているんだね。
亀山:ラウンド中、「エンジンかかってきたか」から伸び悩むシーンはあった。逆に言えば、それがハマればあの年齢でも爆発できるということ。開幕戦の勝利はまさにそんな感じでしたね。
桂川:GDO的には「なんで行ってないときに勝つんだよ!」と思ったけど(笑)。でも、終盤の勝負どころで1mにつけたショットとかは、本当に昔っぽいなと思った。
亀山:変化という点で言うと、久常涼選手とこれだけ絡んでいるのも驚いたな。これまで、基本は自分のルーティンを黙々とこなしていたから。たぶん、久常選手の「松山英樹に食らいつきたい」という姿勢と、彼の性格も大いにある気がする。
服部:うん、惜しみなく教えているよね。
桂川:松山選手が若いころって、とにかく先輩をうまく使っていた。谷原選手や宮里優作選手もそうだし、外国人選手も。初出場だった2013年の「全米オープン」では、練習ラウンドでバッバ・ワトソンの名前を見つけて、自分から一緒に回っていた。学ぼうという姿勢がすごくあった。最近は久常選手もそうだし、若い世代がうまく松山選手を使っているなと思う。特に感じるのはアジアンツアーで年間王者になった比嘉一貴選手。良い意味で、ふてぶてしさを感じる。
服部:(後輩に)教えはするけど、もちろん彼らはライバルでもあって。上がってきたら「負ける気はない」って。ああいうとこ面白いな。
亀山:まあ、リーダーボードに日本勢の名前があれば絶対に意識は変わると思う(笑)。そういうとき、やっぱり負けないもんね。
日本ツアーの目指す場所
昨季は松山のほか、久常、金谷拓実、星野陸也、大西魁斗が米ツアーに参戦した。米下部ツアーでは平田憲聖が、欧州では中島啓太がそれぞれ今季の米出場権を獲得。さらにアジアン年間王者の比嘉、LIVで戦った香妻陣一朗と海外を主戦場とする日本勢は増加傾向にある。しかし、LPGAツアーで年間7勝を挙げた日本女子の勢いと比べると、少々わびしいのも現実だ。
亀山:(男子を)擁護するわけではないけど、男女ゴルフでは世界的なパイの大きさが全く違うのは前提にある。日本女子がすごいのは間違いないけどね。ただ、米男子ツアーは本当に、めちゃくちゃレベルが高い。
桂川:日本女子ツアーは間違いなく世界規模です。米女子ツアーは世界中さまざまな地域で行われるけど、ひとつの国で完結するツアーとしては、出場機会はむしろ日本女子の方が多い。単純なライバルの数でいえば男子の方が多いね。
亀山:いまJGTOで1勝して、人生が変わるかというと…。昔は国内の1勝で世界ランクもぐっと上がって、それがメジャー出場とかチャンスにつながった。いまは国内で圧倒的に強くなるか、自分から外に出なきゃキャリアは変わらない。
服部:男子のレベル自体は上がっていると思うな。平田選手なんか、いきなり米下部に行って年間ランクトップ20。レベル高いなって。だから技術というより、ツアーの仕組みの話という気もする。
桂川:もっと、大ギャラリーを前にプレーする機会が増えればなとは思う。日本女子が大舞台であれだけ強いのは、国内で多くのお客さんを集めているからというのもありそう。山下美夢有選手も竹田麗央選手も、プレッシャーのかかる場面で自分を保つ術を知っているよね。ギャラリーに対する耐性でいえば、米選手より上かもしれない。
服部:たしかに、いまの男子の若手は大ギャラリーの前でプレーしたことないかもね。
亀山:ジャンボさん(尾崎将司)たちの時代はそれが当たり前でしたからね。石川遼選手が若いころも、そんな感じだった。常にギャラリーに囲まれて。
服部:うん、(石川と)回りたがらない選手もいたね。
亀山:プレッシャーの中で戦うことで選手としては磨かれていく。結果としては良い循環だったんでしょうね。
桂川:ただ、昨季の国内男女ツアーで最も客が多かったのは男子の「三井住友VISA太平洋マスターズ」 (3万3164人)。大会ごとの方針によるんだろうけど、個人的にはいかにギャラリーを集めるかは目標にしていいと思うな。
(後編に続く)