ワールドカップイヤーが始まった。すでに日本代表の三笘薫が「完全復活」を印象づけるゴールを決めるなど朗報が飛び込んできて…
ワールドカップイヤーが始まった。すでに日本代表の三笘薫が「完全復活」を印象づけるゴールを決めるなど朗報が飛び込んできているが、そのサムライブルーが目標として掲げているのは、ワールドカップ優勝。サッカージャーナリスト大住良之は、そのための「ラストピース」を、若き日本代表の戦いの中に見いだした!
■「三笘のケース」より難しかった⁉
この試合、ボール支配はまったくの互角だったが、シュート数は日本の19本に対してシリアは3本。とくに攻撃にリズムが出た後半は、シュート数14対1と一方的だった。うちゴールの枠内をとらえた日本のシュートは、前半2本、後半は7本。その結果が、5-0の大差だった。ほぼ45分間を通じて相手陣でのプレーが続いた後半のスコア(4-0)は、プレー内容にふわさしいものだった。
しかし実際には、3点目までは、大関友翔と佐藤龍之介の「特別」と言っていいシュート能力によるものだった。1点目は、マンチェスター・シティを相手に三笘薫が決めたゴールのように、目の前に何人もの相手選手を置いてのもので、大関が先に深く入り過ぎてしまっていたため相手からの距離が近く、技術的には三笘のケースより難しかったかもしれない。それをシュートの形に持っていっただけでも、大関のプレーは特別だった。
2点目と3点目は、ペナルティーエリアにかかる地域でシュートに入るときの佐藤のプレー判断の良さと使うキック技術選びの的確さとともに、イメージどおりにボールを送り込む技術の精度が生んだものだった。相手DFに多少の対応の遅れがあったかもしれないが、それを差し引いても、大関、佐藤とも、見事過ぎるぐらいの「決定力」だったと言っていい。
■森保ジャパンは「準備万端」なのか?
しかし、もしこの「特別な決定力」が発揮されなかったら? 90分を回るまでシリアのゴールを割ることができず、アディショナルタイムのPKによる1点でかろうじて勝点3を得るという試合になっていたかもしれないのである。
良いプレーをしたからと言って勝利が得られるわけではない。もちろん、良いプレーは勝利に近づく重要な要素ではあるが、そのプレーを「得点」に結びつける「決定力」がなければ、勝つことができないのが、サッカーという競技なのだ。そして、サッカーで最も難しいのが、このゴールを決めるというプレーなのだ。
私は、今夏のワールドカップのことを考えている。森保一監督が8年間をかけて積み上げてきた日本代表は、どんなチームを相手にしても「良いプレー」をする準備は、十分にできている。そのためのチームプレーだけでなく、個の質も、そしてその質を持った選手の数も、非常に高いレベルに達している。
このシリア戦で若い「U-23日本代表」が見せた決定力、20歳の大関友翔や19歳の佐藤龍之介のような決定力を、もしワールドカップで日本代表が発揮できれば、今年のワールドカップは日本にとって歴史を画する大会になる可能性は十分ある。しかし、それができなければ、「優勝」などまだ夢の夢という結果に終わるだろう。
■2026ワールドカップ「成否のカギ」
南野拓実(モナコ)がワールドカップの舞台に立てるかどうかはわからない。しかし三笘は、どんな強豪を相手にしても、特別な決定力を発揮することを証明して見せた。それは大きな希望だ。
上田綺世(フェイエノールト)はどうだろう? 久保建英(レアル・ソシエダ)は? 堂安律(フランクフルト)は? 中村敬斗(スタッド・ランス)は? 伊東純也(ゲンク)は? そして前田大然(セルティック)、小川航基(NECナイメヘン)、町野修斗(ボルシア・メンヘングラードバッハ)、相馬勇紀(FC町田ゼルビア)といったアタッカーたちは、自身の「決定力」を、6月までに一段階も二段階も高めることができるだろうか。
2026年ワールドカップの日本代表の成否が、そこにかかっているのは間違いない。