2026年、石川遼は遠くカリブ海に浮かぶ島で始動する。昨年末に米ツアーの予選会を通過し、コーンフェリーツアー(KFT)…

長く続くスイング改造。インタビューの第2回で石川遼は経緯と現在地を語った

2026年、石川遼は遠くカリブ海に浮かぶ島で始動する。昨年末に米ツアーの予選会を通過し、コーンフェリーツアー(KFT)の限定的な出場権を獲得。松山英樹らが主戦場にする世界最高峰・PGAツアーの下部に属する、いわば“2軍”ツアーで腕を磨く。1月11日(日)開幕の「バハマ ゴルフクラシック」を控えた渡航前、単独インタビューで心境を語った。(全4回の2回目。聞き手・構成/桂川洋一、服部謙二郎)

【第1回】弱点はスイングじゃなかった 8年前の「おごりと逃げ」/石川遼インタビュー

【第3回】電車にも乗る、電子マネーで割り勘もする/石川遼インタビュー

【第4回】ジャンボ尾崎さんとの思い出 新1Wでシーズンイン/石川遼インタビュー

昇格条件は?米下部コーンフェリーツアーをおさらい

抱えてきたコンプレックス

ジョン・ラームのアドレスとインパクト※2024年撮影

コロナ禍の足音が大きくなった2020年春、石川はキャリアで最も大規模なスイング改造に着手した。田中剛コーチを招へいし、長年抱えてきた課題、自らの「コンプレックスだった」という部分の解消に取り組んだ。

「一番はアドレス時と、インパクトの瞬間の手元の高さの“差”が大きかったこと。実際にボールを打つと、アドレスのときよりも手元が高く浮いてしまうのをずっと気にしていた。(飛球線後方から見て)構えた時に腕とシャフトが作る角度の差が大きすぎた。(ドライバーショットの)アドレスでは150度くらい、それがインパクトで180度近く、(腕とシャフトが)真っすぐ重なるように見えるところまでいっていた」

「物理的に(遠心力で)クラブのトウダウン(ヘッドのトウ側が垂れる動き)は起こる。だから構えたときと同じ角度のまま戻してくるのは難しい。ただ、コーチには『インパクトでは悪くても160度以下ではあってほしい』と言われてきた。確かに低いフェードを打ちに行くような時は、クラブを(地面に)押し付けるような感覚なので、まだいい(角度の差が小さい)。スライスばかり打っていれば手元は浮きにくい。でも、ドローも打つためにはこれじゃダメだと。2015、16年頃から思っていた」

<2022年>2年半前に明かした「今のスイングでは厳しいね、PGAツアーは」

左からジョン・ラーム、ロリー・マキロイ、スコッティ・シェフラー※2024年撮影

手元の位置は写真で一瞬を切り取れば平面的だが、ゴルフスイングは3次元。ただ、手を下げて打てば良いというわけではない。スピードを保ったまま、軌道を変えるためにいくつかの修正ポイントを模索した。

「ひとつはシャローイング(クラブをインサイドの低い位置から下ろす動き)。ダウンスイングで左腕(上腕)が地面と平行になるときの、(飛球線後方から見た)シャフトと地面が作る角度。ジョン・ラーム(スペイン)はドライバーで45度とかなりフラット(シャフトが寝ている)。ロリー・マキロイ(北アイルランド)が50度くらいで、僕は56度前後とかなり立っていた(アップライト)。スコッティ・シェフラーは世界のトップ選手の中では立っている方だけど、それも僕ほどではない。それにシェフラーはその状態から、手元をすごく低いところに落とせる。理由の一つが、ダウンスイング中に足を思い切り使うことで、体を止めないから」

「僕は体が動かないまま、手だけを回していたから、懐が詰まって、インパクトで手元に余裕がなくスイングしていた。それでは体の回転に対して、インパクトを迎える瞬間が早すぎる。(体の回転に対して)手元が少し遅れながら来る選手の方が、球を右に打ち出しやすく、ドローが打ちやすい。僕とコーチが大事にしている言葉が“ハンドパス”。手の軌道。クラブを上げるバックスイングのときよりも、ダウンスイングのときにインサイドから下ろしてくることを意識してきた」

<内藤雄士 スイング辞典>正しい「シャロー」とは ちゃんと理解してる?

<内藤雄士 スイング辞典>改めて「掌屈」とは?本当に必要なモノなのか

感覚とカタチのギャップ

街中で

取り組みが5年目を迎えた2024年頃から、石川はカタチの変化に成果を感じるようになったという。

「トップでの手首も背屈(左手首を手の甲側に曲げる)気味だったのを掌屈(左手首を手のひら側に折る)側にした。握り方もすごいストロンググリップからウィークグリップにした。ラフからのショットで言えば、昔はストロングでめちゃくちゃフライヤーさせて距離を合わせていた。ラフで200ydを8Iで打つというのが当たり前になっていたけれど、ウィークグリップでは飛びにくいから、どう打つか分からないところまでいっていた。それがようやく、球を曲げたり、“当て感”がそろってきたりしたのが、おととしくらい」

「人って、動きの感覚を変えても実際のカタチを変えるのが本当に難しいと、この5年で感じた。すごい忍耐が必要。『感覚的にはこんなに大げさに変えているのに、映像で見るカタチが全然変わらない』ということばかりだった。でも、最近は『今はちょっと掌屈が浅かったな』と思ったら、実際にそうなっていることが増えて、感覚とカタチが合ってきた。実際の試合でそう(感覚を)研ぎ澄ませて、スイングを修正することは、自分の武器になると思うんです。そこはスイングを変えて良かったこと、副産物みたいなものかなと」

長年の悩みの解消と、新天地・コーンフェリーツアーへの挑戦の時期が重なったことは大きなポジティブ要素。

「今まで積み重ねてきた技術的な部分を引っ提げて、コツコツ同じことを続けていきたい。強いて言えば、コースの芝に合わせてウェッジのバウンス調整をしたいというくらい。僕はグリーンの芝が変わっても、パターを頻繁に替えなくても大丈夫なタイプ。スイングのカタチは自分ではひとつ決まったものがある。それを崩さず、ズレたものを試合で戻すことを繰り返してやっていきたい」

協力/RIVERSIDE CLUB

インタビュー第3回は34歳での再挑戦について語る。