日本ハムと最高条件で仮契約、 木田GM補佐「いい選手の条件はある」 やはり只者ではなさそうだ。時に笑顔を浮かべ、時に考えを巡らせる。目前にはテレビカメラの列と多数の報道陣、そして無数のフラッシュを浴びた。その中で、臆することなく、しっかりと…

日本ハムと最高条件で仮契約、 木田GM補佐「いい選手の条件はある」

 やはり只者ではなさそうだ。時に笑顔を浮かべ、時に考えを巡らせる。目前にはテレビカメラの列と多数の報道陣、そして無数のフラッシュを浴びた。その中で、臆することなく、しっかりと質問に対して、自らの言葉で答え、答えに困れば、ハッキリと「分からない」と言える。安易な受け答えをせず、軽々しさも見受けられない18歳に聡明さを感じた。

 7球団競合の末に、日本ハムがドラフト1位で交渉権を獲得した早稲田実業の清宮幸太郎内野手のことだ。16日、入団交渉を行い、契約金1億円、年俸1500万円プラス出来高での最高条件で正式に日本ハム入団が決定。その後の会見では「野球人としてだけでなく、社会人として世の中に貢献出来る人になってほしいと、力強い言葉をいただきました。自分もプロを表明した時に、野球人としてだけでなく、人としてみんなに目指されるような人になりたいということを思っていたので、その言葉は自分の中で心に響きました」と言葉を並べた。

 プロ入りに際しての楽しみと不安を問われ「楽しみなことはずっと野球が出来ることですね。野球の時間が増えること。不安なことはあまりないですけど、強いて言うなら、たくさんのピッチャーの中で自分がしっかり活躍出来るかなと、プロの球はどんな球なのかなぁというのはあります」とした清宮。栗山英樹監督は、よく「野球の神様」を話に出すが、この「野球の神様」について「野球の神様というのは色々な面で自分を見ていると思うので、フィールドだけでなく、私生活の面であったり、社会人としての場面であったり、そういうところで、さっきも言ったように、色々な人に目指されるような人になることが、その神様に愛されることへの1番な近道なんじゃないかなと思います」と語る18歳に、一社会人としての自覚の高さが滲んでいた。

大谷のメジャー挑戦に「いなくなってしまうのが、すごく残念」

 会見の中では、大谷翔平投手への思いと憧れも感じさせた。将来的にメジャー挑戦を目標に掲げる清宮にとって、日本ハムの先輩で、今オフのポスティングでのメジャー挑戦を表明した大谷の存在はやはり別格。それだけに、大谷について問われると、言葉は熱を帯びた。

「すれ違いでいなくなってしまうのが、すごく残念なんですけど、二刀流という新たな道を作られた、色々な方に色々なことを言われていたかもしれないですが、それでも自分の信念を貫いて、何があっても貫き通してきた方。誰も成し遂げられなかったことをするというのは、ものすごく魅力的なことで、自分自身もそこにすごく刺激を受けました」

「大谷選手のように、誰にどう言われようと、自分が決めた目標、信念を貫いていきたいなと思っています。吸収できるものがあれば、話して吸収出来ればと。大谷選手がいたファイターズに入れることは嬉しいことだなと思います。自分が目指すべきところということで、大谷さんはメジャーにいきますけど、自分もそこは目指しているので、負けないようにというか、自分も頑張っていければなと思います」

一塁以外にも意欲、ただ「ちょっとキャッチャーは…」

 高校時代は一塁を守ってきた清宮だが、プロ入り後のポジションについては「自分は守備が嫌いとかはないので、どこでもやれればやりたいなと思います」と、どの守備位置でも挑戦する意欲を示し「あ、ちょっとキャッチャーは…」と、軽く笑いも取った。

 交渉に同席し、会見を傍らで見守っていた木田優夫GM補佐も「会見を含めて、自分で考えて話せるなという印象を持ちました。自分のことを自分で理解しながら話せるし、周りが見えている。いい選手の条件の1つとして、それはあるなと思います」と、その18歳らしからぬ風格に好感を抱いた様子だった。
 
「自分は色々な方に愛される野球選手だったり、清宮みたいになりたいと言ってもらえるような選手になるのが目標。まだまだそこには程遠いですけど、ここから自分がどれだけ鍛錬するか、どれだけ練習するかにかかっていると思うので、そこだけは怠らず、何があっても自分を信じてやっていきたいと思います」と精進を誓った清宮。プロ1年目の目指すところを「ベストだなと思うのは、今年ファイターズで1番印象に残った選手は、と言われたときに清宮だなと言っていただけるのがベストかなと思います」とした。

 いよいよプロの世界へ飛び込む高校通算111本塁打のスラッガー。果たして、どんな伝説を残してくれるか。今から楽しみだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)