<新日本プロレス:WRESTLE KINGDOM20 in 東京ドーム 棚橋弘至引退>◇4日◇東京ドーム◇観衆4万691…

<新日本プロレス:WRESTLE KINGDOM20 in 東京ドーム 棚橋弘至引退>◇4日◇東京ドーム◇観衆4万6913人

2021年東京オリンピック(五輪)柔道男子100キロ級金メダリストのウルフアロン(29)がプロレスデビューし、前代未聞の転向、即、王者になった。

NEVER無差別級王座戦で王者EVILに挑戦。王道の黒パンツに、一本背負いなど柔道技も組み合わせ、ストロングスタイルで勝負。目つぶし、股間への襲撃などEVILの極悪非道な反則技も正面から受け止めながら、最後は三角絞めで締め落とし、衝撃の戴冠デビューを果たした。

3日の前日会見でいきなり殴りかかったEVILと大乱闘。「お前が負けたら丸刈り並びに柔道禁止だ」と挑発され「やります」と思わず応じてしまった。柔道着禁止となれば、ちびっ子柔道教室などで指導する機会も奪われる。「そのためにも負けられない」と気合が入っていた。が、いきなり丸刈りに、柔道着も入場だけで脱ぎ捨て、度肝を抜いた。

EVILとの因縁は同10月13日の両国大会。練習生のウルフが暴走する選手を制止するためリングに上がり、鮮やかな払い腰で投げ飛ばした。これに激怒したEVILと一触即発となり。試合後「1月4日デビュー戦。EVILとやらせて下さい」と直訴。デビュー戦で異例の東京ドームでの王座挑戦が決まった。

「(EVILは)力を持った選手と思っていますが、ひきょうな凶器攻撃や反則をしてくる。稀に見るタチの悪い選手。スポーツマンシップの真反対にいる。正々堂々と倒すだけ」とウルフ。講道館柔道の創始者・嘉納治五郎の“精力善用”(鍛えた心身を善い目的に使うこと)の精神で柔道を学んだ男として我慢できなかった。

昨年6月8日の大会を最後に柔道を引退して新日本入団を発表した。日本の五輪金メダリストでは史上初のプロレス転向。理由は「好きだから」。「大学時代に初めて見て、リングを下りても、言葉、生き方、すべてで人に何かを伝えていくところに魅力に感じてのめり込んだ」。

くしくもデビュー戦の舞台がプロレス史に一時代を築いた棚橋の引退興行になった。「運命的なものを感じる。棚橋さんが培ってきたものを、新しい形にもっともっと追求していきたい。プロレスは大きなバトン。いろんな形につなげていきたい」。ウルフはプロレス新時代の主役になる決意だ。

◆ウルフアロン 1996年(平8)2月25日生まれ、東京・葛飾区出身。米国人の父と日本人の母の間に生まれる。6歳から柔道を始め、千葉・東海大浦安高時代は団体で高校3冠。東海大では15、16年の講道館杯を連覇。4年時の17年に全日本選抜体重別でV2と、世界選手権も制した。19年に体重無差別の全日本選手権優勝。21年に東京五輪で優勝。24年パリ五輪7位を経て25年6月に柔道引退を表明し、同月23日には新日本プロレス入団を発表した。練習生の時代から、EVILと乱闘を演じてきた。181センチ、115キロ。

◆主な日本柔道からバトル界転向 65年全日本選手権を制した坂口征二は67年に日本プロレス入門。73年に新日本へ移籍して89年から社長も務めた。世界選手権で4個の金を獲得した92年バルセロナ五輪銀メダルの小川直也は97年2月に格闘家に転向し、同4月の東京ドームでのデビュー戦で新日本の橋本真也を撃破。その後、ゼロワン、ハッスルなどに参戦し、PRIDEにも出場。総合格闘技ではバルセロナ五輪金の吉田秀彦が02年、00年シドニー金の滝本誠がPRIDEに参戦。04年アテネ&08年北京で連覇の内柴正人、北京五輪金の石井慧も格闘家に転向。

【主な大物のプロレスデビュー】

◆輪島大士(元横綱)86年4月、38歳で全日本プロレス入門。米セントルイスなど修行し同年8月、ジャイアント馬場とタッグで海外デビュー。その後の海外遠征後、同年11月にタイガー・ジェット・シン戦で日本デビューし、闘志あふれるファイトで大乱闘劇を展開し、6分足らずで両者反則決着。

◆北尾光司(元横綱・双羽黒)89年6月にプロレス転向。米バージニア州で、鉄人ルー・テーズらに学び同年12月に帰国。翌90年2月、26歳で新日本プロレスでデビュー。クラッシャー・バンバン・ビガロとシングル戦に臨み、ギロチンドロップで勝利

◆小川直也(柔道世界選手権金メダル)アントニオ猪木の創設したUFOに入団。猪木と初代タイガー佐山聡から指導を受け、28歳となる97年4月、東京ドームで当時のIWGPヘビー級王者橋本真也とのノンタイトル戦でデビュー。STO(変形大外刈り)から裸絞めで勝利。