先発復帰が見込まれる2026年シーズンに佐々木はひとつステップを登れるか(C)Getty Images ドジャースが2連…

先発復帰が見込まれる2026年シーズンに佐々木はひとつステップを登れるか(C)Getty Images
ドジャースが2連覇を達成するには、ポストシーズン序盤で迎えた鬼門突破が必要不可欠だった。強敵フィリーズとの地区シリーズ。ドジャースのチームスタッフとして選手を支える裏方の1人は「ここで勝てれば、連覇できる流れになる」と気を引き締めていた。シーズン中の対戦成績でも分が悪かった宿敵との戦い。リリーフ陣の不安を抱えていたチームを救ったのは、クローザーに抜てきされた佐々木朗希だった。
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突破へ王手で迎えた第4戦、8回から守護神として登板し、3イニングをパーフェクト投球。2三振を奪った。守護神としては超異例となる2度の回またぎ。25年リーグ本塁打王のカイル・シュワバーら強力打線を圧倒し、サヨナラ勝ちの流れを呼んだ。
試合後、佐々木は穏やかな口調で言った。
「シーズンで何もできなかった分、少しでもチームに貢献したいという気持ちと、あのまま終わるよりはポストシーズンでいろいろ経験してっていう思いがあったので。今は少しずつですけど、そういった感覚はあるので良かった」
メジャー1年目で開幕ローテーション投手として期待されながら、序盤は苦しんだ。5月3日のブレーブス戦でメジャー初勝利を挙げたが、その10日後に右肩痛で故障者リスト(IL)入りとなった。当初は原因について、「これって確証はないので、これから根気よく向き合っていかないといけない状態」と不透明だった。リハビリが後退する時期もあり、表情は晴れなかった。メディアから復帰時期を問われたロバーツ監督の見解は二転三転。9月上旬頃は、マイナー戦で登板している佐々木の投球内容を翌日になっても確認していないこともあった。
日本時代に記録した最速は165キロ。だが、右肩のリハビリからマイナー戦で登板を重ねても、なかなか球速が上がらなかった。95 マイル (約153キロ)前後で、持ち味を発揮できない状態。悩み、苦しむ中で、高校時代の映像を見返し、フォーム修正を行った。9月10日、メジャー挑戦後では最速の100.6 マイル (約162キロ)をマーク。リリーフ起用にロバーツ監督は否定的だったが、ここから一気に風向きが変わった。
佐々木自身も先発へのこだわりがあり、中継ぎへの配置転換には「向いていない」と感じるほど、不安はあった。ただ、チームへ貢献することを第一に、覚悟は決まった。その上で、この経験を来季への弾みとしたい、そんな意欲もあった。「自分のパフォーマンスが出せない中で春先終わってしまった。メジャーのレベルの高さを感じる以前に、自滅するような形で苦しんでいたので、そこはまだ感じられてない部分はありますけど、ポストシーズンで今、そこそこパフォーマンスが戻ってきている中で、これから経験できることが1年目で一番の収穫になるのかなと」。前を向き、自らが成長するための糧とした。
一方で、先発投手として活躍することへの強い思いが薄れることはなかった。ワールドシリーズ前日の会見。中継ぎへの適性を問われた。
「先発でやっていても、中継ぎでやっていても、そこまでパフォーマンス自体は変わらないので。これで球速が2~3 マイル (約3~5キロ)上がるとかだったらそういう可能性もあるかなと思いますけど、結局、先発でも中継ぎでも球速は変わらないですし、今投げているカットやツーシームをしっかり投げていければ、先発でもやっていける。中継ぎの難しさはやっぱり感じます」
昨季は主に、フォーシームとスプリット、スライダーの3球種で勝負した。右肩のリハビリから実戦登板へ向かうまでに、習得を試みたカットボールとツーシーム。162試合の長丁場で、先発ローテーションを守り、長いイニングを投げていくには球数を抑えていく必要がある。そのために、新たに取り組んだ新たな2球種。2年目となる26年シーズン、ドジャースの首脳陣は佐々木を先発復帰させる方針を示している。中継ぎへの配置転換で自信を取り戻して臨む先発ローテーション復帰。苦しみと喜びを味わった1年目の経験を生かし、飛躍の2年目とする。
[文:斎藤庸裕]
【著者プロフィール】
ロサンゼルス在住のスポーツライター。慶應義塾大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。プロ野球担当記者としてロッテ、巨人、楽天の3球団を取材した。退社後、単身で渡米し、17年にサンディエゴ州立大学で「スポーツMBAプログラム」の修士課程を修了してMBA取得。フリーランスの記者として2018年からMLBの取材を行う。著書に『大谷翔平語録』(宝島社)、『 大谷翔平~偉業への軌跡~【永久保存版】 歴史を動かした真の二刀流』(あさ出版)。
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