<第102回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間107・5キロ)山登り5区のテレビ中継1号車で生解説した渡辺康幸氏…
<第102回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間107・5キロ)
山登り5区のテレビ中継1号車で生解説した渡辺康幸氏(52=住友電工監督)が、青山学院大(青学大)の黒田朝日(4年)に「おばけ記録」と絶句した。自身が早稲田大(早大)を率いた2008年(平20)以来18年ぶりの往路優勝が見え「夢を見ましたよ、見てしまいましたよ。テンション上がりました」と母校愛を隠せなかったが、終盤に暗転、あの忘れたい記憶を呼び起こされてしまった。
「本当に異次元。乗り物に乗っていないか錯覚しましたよ」という黒田の走りに「山の名探偵」こと工藤慎作(3年)が大まくりされた。「勝ったと思いました、確信しました、宮ノ下(9・3キロ地点)までは…」という高揚感が吹き飛ばされ、苦々しい16年前が脳裏をよぎった。
「自分も、何分もの差をひっくり返された経験がありますから…」。09年。当時の早大は最初からトップで往路最終の5区を迎えたが、東洋大の柏原竜二に「4分58秒」もの大リードを逆転された。この時も監督は渡辺氏だった。
「よみがえりました、あのトラウマが。うわ、またあの衝撃か…と。またトラウマになるぐらい目に焼きついてしまいました。(同じく早大OBで解説の)瀬古さんも急に、しゃべらなくなってしまって…(笑い)」
ただ、こればかりは黒田と青学大を称賛するほかない。「いつものようにラスト1週間で状態が本来の調子に上がってこなかった、と工藤君本人は話していましたし、確かに絶好調の走りではなかったですけど、それでも大会(区間)新ペースだったので。それを上回られましたから」。会見を終えた原晋監督に出くわした瞬間も「あっぱれでした」と率直に賛辞を贈り、たたえていた。
とはいえ「まだ復路がありますから」と、自身による11年以来15年ぶりの総合優勝は諦めていない。「(4区のスーパー1年生)鈴木君は何十年に1人の逸材です。ぜひ来年は『花の2区』を走ってほしいし、工藤君も残ります。2区の山口君は卒業しますけど、いい選手が他にもいますし、ある程度は形になる来年以降も楽しみで、素晴らしい高校生も入ってきます。ただ、まだまだ復路がありますから」と名門の巻き返しを願っていた。【木下淳】