サッカー女子「なでしこジャパン」東京五輪代表のMF塩越柚歩(28)にとって、女王を目指す2026年がスタートする。浦和…
サッカー女子「なでしこジャパン」東京五輪代表のMF塩越柚歩(28)にとって、女王を目指す2026年がスタートする。浦和から東京NB(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)に移籍した今季は14試合8得点でWEリーグ得点ランク2位タイ。チームも3位で2連覇を射程圏にする。冬季中断を経て迎える後半戦。クラブと個人タイトル獲得へ、輝きを増すヒロインに独占インタビューした。
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素顔の塩越は、いい意味でアスリートには見えない。インスタグラムのフォロワー数は7万人を超え、ユニホーム姿だけでなく私服の日常も公開している。「女子力」は高め。インタビューの言葉もまた、一般的なアスリートのようなガツガツしたものではなかった。
「昔から夢を必死に追いかけるタイプではなくて『今』を頑張っていたら代表に呼ばれて五輪に出ることができました。日々の積み重ねが結果として残ったと、そう思っているんです」
浦和の下部組織で育ち、トップチーム昇格後は仕事とサッカーを両立。19年以降は左膝半月板のケガで苦しんだ時期があった。決して順調ではなくても1日、1日を大切にしてきたからこそ、五輪までたどり着いた。
ケガから復帰後すぐの20年に浦和がリーグ優勝を飾り、自身もベストイレブンに選出される活躍。翌21年に日本代表に初招集された。コロナ禍で東京五輪が1年遅れの開催になっていなければ、シンデレラのストーリーは生まれていなかった。
「最初はサブ(控え)のサブみたいな立場でした。瀬戸際みたいな人だったけど、また(代表に)呼んでもらえた、また呼ばれた、みたいな感じになりました」
五輪メンバー発表前最後の試合となった21年6月のウクライナ戦で代表初出場初得点を含む2ゴール。滑り込みで五輪代表入りすると、1次リーグ2試合に先発した。
「初めて代表に選ばれてから練習に付いていくのが必死で、訳が分からず試合が来て『2点も決めちゃった』という感覚。あの五輪は無観客の試合でしたが、代表は特別な場所なんだということを知りました。またもう1回、ここ(代表)でやりたいなあっていう気持ちはありました」
23年アジア競技大会では主将と背番号10を任され、4得点を決めて日本を優勝に導いた。昨年6月に浦和から東京NBへ完全移籍。新天地で迎えた25ー26年シーズンは前半戦全試合に先発した。
「環境が変わって試合で波が出ることが少なくなりました。疲労が感覚的に減って、目の前にボールが転がってくるようになった。今までは(ミドルなど)スーパーゴールと呼ばれる得点だったのが、ほぼほぼ1タッチで入れるようなゴールが多くなっています」
チームは首位INAC神戸と勝ち点6差の3位。得点ランクではトップの吉田莉胡(INAC)と2点差の2位タイにつける。
「私のサッカー人生はお母さんが支えてくれている。小さい頃からずっと送り迎えをしてくれて、試合はいつも見に来てくれているんです」
女手ひとつで育ててくれた母へ-。今を大切にしながら、感謝の思いを伝えたい。
女子サッカー界の新たなヒロインにとって、2026年はこれまで以上に輝きを増す年になるだろう。
◆塩越柚歩(しおこし・ゆずほ)1997年(平成9)11月1日、埼玉県生まれ。川越ジュニアSSから高階イレブンスを経て、浦和レッズレディースのジュニアユース、ユースへ。トップチーム昇格後の16年にU-20W杯(パプアニューギニア)に出場。A代表は21年6月のウクライナ戦で日本代表デビューを果たし、東京五輪メンバー入り。24年10月の韓国戦にも招集された。25年6月に東京NBに完全移籍。身長166センチ。