2026年がスタートした。今年は3月19日に開幕するセンバツからDH制が導入されるなど、高校野球界にとって新風の吹く1年…

2026年がスタートした。今年は3月19日に開幕するセンバツからDH制が導入されるなど、高校野球界にとって新風の吹く1年となる。

 そんな2026年、あまり語られていないが、西暦の末尾が「6」となる年にはある現象が続いている。それは30年以上にもわたってセンバツ、夏の甲子園のどちらかで公立校が決勝進出しているということだ。

 平成から令和にかけて私学の台頭により公立校が上位に勝ち進むのは厳しい時代となっている。それでも「6」の年に限ってはなぜか公立校が躍進しているのだ。

 まず平成最初の6の年となった1996年は、センバツで宇都宮工、岡山城東の2校がベスト8、夏の甲子園では松山商vs熊本工の公立校同士の決勝戦となり、松山商が優勝を収めた。この決勝戦で起きた松山商の矢野勝嗣外野手の奇跡のバックホームは今でも特集されるほどの名シーンである。

 2006年はセンバツで長崎・清峰が初出場ながら準優勝をはたした。ベスト4には岐阜城北、ベスト8に秋田商が勝ち進み、夏は鹿児島工がベスト4まで勝ち進んだ。

 2016年は前年に明治神宮大会で優勝した高松商がその勢いでセンバツ準優勝。夏には鳴門が当時のセンバツ覇者・智弁学園など私学3校を下してベスト8に入っている。

 このジンクスが2026年も続くのか。旋風を巻き起こしそうな期待の公立5校を取り上げてみよう。

センバツ有力な公立2校、世代屈指の右腕擁する市和歌山などに期待

 まずセンバツ出場が有力な熊本工だ。背番号「1」の井藤 啓稀投手(2年)、背番号「4」の堤 大輔投手(2年)の2枚看板を引っさげ、昨秋の九州大会ではベスト4に入った。

 九州大会で好投を見せたのは堤。初戦の福岡大大濠戦、準々決勝の日本ウェルネス沖縄戦と2試合連続1失点完投勝利を収め、センバツ出場の原動力となった。167センチと小柄ながら、130キロ台前半の速球、ベースの手元で鋭く切れるスライダーでテンポよく打者を抑える右投手だ。

 一方、井藤は189センチ82キロの恵まれた体格をした大型右腕で、常時130キロ台後半の速球、スライダーを投げ込む。ただ制球が不安定で、九州大会では1試合登板のみ。打撃も良い井藤だが、九州大会では12打数0安打に終わった。それでも潜在能力は高く評価されており、九州選抜に入り、昨年12月の台湾遠征を経験した。

 打線は3番センター・山口 悠悟外野手(2年)がキーマン。九州大会で12打数8安打を記録し、バットコントロールが抜群。打撃フォームの完成度が高く、最も出塁が期待できる。

 チームは小技をうまく使い、堅実に得点を重ねるスタイルだ。守備も堅く、簡単に失点を与えない。昨年のセンバツ、公立校でベスト8に入った広島商と比較しても実力は遜色ないレベルにある。

 2校目は昨夏甲子園ベスト4の県岐阜商だ。秋の県大会では初戦敗退を喫し、センバツ出場は絶望的だが、甲子園の準決勝で敗退した8月21日からチーム作りする時間もなく、県大会に突入したので、初戦敗退も致し方ないものがある。しかし、戦力を見ると投打ともに前チームの経験者が多く残っていて期待度は高い。

投手では144キロ右腕・柴田 蒼亮投手(2年)が絶対的なエースとして君臨し、豊吉 勝斗投手(2年)、和田 聖也投手(2年)、渡辺 大雅投手(2年)の左腕トリオが控える。計4投手を相手打線のタイプ、相性に合わせて使えるのが強みだ。

 新チームには、4番を任される1年生・丹羽 駿太内野手、三塁・内山 元太内野手(2年)と遊撃・稲熊 桜史内野手(2年)の三遊間、センター・渡邉璃海外野手(2年)が前チームから残る。彼らはスイングスピードが速く、安打を重ねることができる。

 この秋の岐阜勢は東海大会ベスト4の大垣日大の戦いが光ったが、順調にチーム作りが進めば、夏は優勝候補として臨むことになるのではないか。

 3校目は市和歌山だ。世代屈指の本格派右腕・丹羽 涼介投手(2年)の力量は群を抜いている。常時145キロ前後の速球、鋭く落ちるフォーク、スライダー、カーブの切れ味が優れており、2026年のドラフト上位候補にも挙がる。

 打線は昨年のセンバツを経験した三塁・森本 健太郎内野手(2年)を中心に、強く振れる打者が揃う。昨秋の近畿大会では大阪桐蔭に1対8で敗れ初戦敗退をなったが、それでもこのチームの潜在能力の高さを評価する声は多い。近畿地区を取材する記者は「近畿の公立校というくくりならば、市和歌山が一番実力のあるチームだと思います」と太鼓判を押している。課題は丹羽に続く2番手投手の底上げと守備の安定感向上だ。また丹羽も大阪桐蔭相手に8回被安打10、5失点と悔しいピッチングに終わった。

 春の県大会では秋から戦力アップした姿を見せていきたい。

 4校目は四国大会準優勝の阿南光(徳島)だ。同校は中日・森山 暁生、DeNA・吉岡暖とプロ入りした好投手を輩出しているが、今年も好投手2枚を擁する。138キロ右腕・小田 拓門投手(2年)が先発、141キロ右腕・岩代 漣投手(2年)が中継ぎの役割をこなす。小田は吉岡を参考にした投球フォームから速球、変化球を器用に投げ分け、打たせて取る。岩代は右サイドから球威のあるストレートを投げ込む。

 打線は3番・幸坂 泰我外野手(2年)、4番山口 綾仁内野手(2年)、5番篠原 天翔捕手(2年)を中心に外野の間を抜く打球を連発し、着実に点を重ねる。投打ともにバランスが取れている。センバツ出場が有力視されており、活躍が期待される。

 5校目は金足農(秋田)である。昨夏の甲子園でも好投した左腕・斎藤 遼夢投手(2年)がエースとして残る。130キロ台前半の速球、切れのあるスライダーをテンポよく投げ込む。球の出所も見にくく、打たせて取る投球が光る。野手では1年夏から甲子園を経験する遊撃手・武藤一斗内野手(2年)は高い守備力を誇る。前チームから4番に座る鶴田星真外野手(2年)は鋭いスイングで強烈な打球を飛ばし、打線を牽引する。攻守ともにスケールアップして3年連続の夏の甲子園を狙いたい。

 ほかには九州大会ベスト8に入り、21世紀枠でのセンバツ出場を狙う長崎西、関東の21世紀枠の推薦校に選出された上尾、前チームから主力選手が多く残り、秋季近畿大会出場の乙訓、145キロ右腕・諸岡 杜和(2年)が残る昨夏甲子園出場の市船橋の“強い公立”だ。

 全国の公立校が躍進を見せ、2026年もジンクスが続くことを期待したい。