【リヤド(サウジアラビア)28日=藤中栄二】ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)が26年に3…

【リヤド(サウジアラビア)28日=藤中栄二】ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)が26年に3つのミッションに挑む。27日にWBC世界同級2位アラン・ピカソ(25=メキシコ)に3-0の大差判定勝ち。歴代単独1位となる世界戦27連勝で防衛に成功した。25年に年4度防衛成功を成し遂げたモンスターは、26年に<1>東京ドームのメインで史上初の2連勝<2>日本男子初の5階級制覇<3>米老舗専門誌ザ・リングのパウンド・フォー・パウンド(全階級のボクサーを体重差がないと仮定して実力を比較したランキング)の3度目の1位を狙う。

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26年も、井上には大きな「仕事」が待ち構える。5月に24年以来、2年ぶり2度目の東京ドーム大会に参戦が濃厚。所属ジムは会場予約しており、メインを務めるのは確実だ。東京ドームで2度メインを務めたのは元統一ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)のみで1勝1敗。タイソンと並び2度のメインを務めるだけでなく、勝って史上初のドーム2戦連続メイン勝利の記録がかかる。

今年3月、1年後の東京ドームでの対決を約束したWBA、WBC、WBO世界同級1位の中谷潤人(27=M・T)が挑戦者の有力候補となる。26日の前日計量後、所属ジムの大橋秀行会長(60)から「5月にフェザー(級)もありえるから準備して」と伝えられた選択肢があると明かしたが、試合後に傷一つない顔の井上は中谷戦を口にした。

「今日、お互いに勝った。もうやりましょう、と。自分から呼びかけている。さらっと(会長の話が)入ってきたので、話してしまったのが、少し(拡散し)『うわ~』となった。かき乱してすみません。自分としてはやる気はある」

ドーム決戦後の構想として、井上は「来年中にフェザー級を考えている」と明かした。バンタム級に転向した井岡一翔(36=志成)も狙う日本男子初の5階級制覇と競い合う。26年2戦目は11月ごろに計画されている。また会場には103年の歴史がある米老舗専門誌ザ・リング選定のパウンド・フォー・パウンド1位で3団体統一ヘビー級王者オレクサンドル・ウシク(38=ウクライナ)が視察。試合後、サインを求められた。2位井上は26年に3度目の1位奪取にも燃える。

守備的なピカソを倒し切れず「期待に応えられなかったのは正直、悔しいし。倒したかった。ウシク選手が見にきているが、まだまだ。1位にふさわしい選手になりたい」と井上。26年も大きな野望を抱いている。

◆東京ドームとマイク・タイソン 88年3月、完成したばかりの東京ドームの「こけら落とし」としてトニー・タッブス(米国)との防衛戦に臨み、鮮烈なダウン奪取で2回TKO勝ち。統一ヘビー級王者としてWBA5度目、WBC6度目、IBF3度目の防衛に成功した。90年2月にはジェームス・ダグラス(米国)との防衛戦で2度目のドーム参戦。8回に右アッパーでダウンを奪ったが、10回にダウンを喫して10回KO負け。プロ38戦目にして初黒星を喫した。タイソン戦はいずれも5万人超えの入場者数発表だった。