競馬のGI第70回有馬記念は28日、中山競馬場の芝右2500メートルに16頭が出走して行われ、3番人気の3歳馬ミュージ…
競馬のGI第70回有馬記念は28日、中山競馬場の芝右2500メートルに16頭が出走して行われ、3番人気の3歳馬ミュージアムマイル(栗東・高柳大輔厩舎(きゅうしゃ))が優勝した。クリスチャン・デムーロ騎手、高柳調教師ともに有馬記念初制覇となった。
■C・デムーロ「夢が叶った」
中山の急坂をものともせずに馬群の外をミュージアムマイルが上がっていく。デムーロが「一番強敵だと思っていた」と道中でマークしていたダノンデサイル、そしてコスモキュランダをかわしたところがゴールだった。
デムーロは何度も何度もスタンドに投げキスを送った。1年前はシャフリヤールに乗って、ハナ差の2着に敗れていた。そのうっぷんも晴らして、「ドリーム カム トゥルー(夢がかなった)」。7回目の挑戦での初制覇だった。
ふだんはフランスで騎乗するイタリア出身の33歳。今秋放送されたテレビドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」に胸を打たれたという。馬主だった父の遺志を継ぎ、息子が有馬記念制覇を目指す物語だ。
デムーロは競馬一家に生まれた。父は元騎手で、13歳年上の兄ミルコも騎手だ。あとを追うように馬に乗り始めた。だが、まだ20代だった5年前に、優しく見守ってくれた父を亡くしている。
「ロイヤルファミリーは、自分の人生と重なるところもあって、感傷的になった。有馬記念を勝ちたいと思った」。2010年にヴィクトワールピサで制した兄に続き、兄弟制覇を成し遂げた。デムーロは誇らしげに笑った。(内田快)