2025年もいよいよ終わりが近づきました。阪神はぶっちぎりの独走で2年ぶりのセ・リーグ制覇。球団創設90周年を最良の形で…

2025年もいよいよ終わりが近づきました。阪神はぶっちぎりの独走で2年ぶりのセ・リーグ制覇。球団創設90周年を最良の形で飾りました。笑いあり、涙ありの名シーンも数多く生まれました。1年間、阪神の現場を見てきた担当記者が思い出のシーンをピックアップしました。第1回は選手たちが喜怒哀楽を表に出した「感情」編。

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◆「木浪聖也、石井大智にアクシデントの一戦でサヨナラ打」(6月6日、対オリックス=甲子園)

今年も満塁に強かった。9回に石井が頭部に打球を受けて緊急搬送。衝撃のアクシデントにざわめく甲子園で、試合は両チーム無得点のまま延長10回に入った。ピンチを脱出した後の裏の攻撃。1死満塁で木浪が打席に入った。右手1本で低めの落ち球にくらいつき、一塁線を抜くサヨナラ打。「目の前で(石井が)当たっているところを見た。大丈夫かなという思いと、やっぱり勝つことがいい報告だと思った。そこだけを考えてやっていました」と思いを乗せた一打だった。満塁では今季打率5割7打点と何年も続けて強さを見せている。【塚本光】

◆「近本光司、産みの苦しみの1000安打」(6月7日、対オリックス=甲子園)

出場861試合目での1000安打は阪神の生え抜き最速。初代ミスタータイガース藤村富美男の864試合を抜いた。直近の10試合で7安打とペースダウンしていたが、この試合で宮城らから3安打と爆発した。ボードを掲げた時の笑顔と「次は1001本目をすごく大事にしたい」の言葉が印象的だった。【柏原誠】

◆「大山悠輔、反省のガッツポーズ」(8月26日、対DeNA=横浜)

クールな大山が興奮していた。0-2の9回に1点を返し、なお走者を1人置いて守護神・入江から右越えに逆転2ラン。一塁ベースを蹴り、力強く右手を突き上げたのだが…。「ちょっと反省。試合が終わってからするべきだった」とまさかのコメント。優勝を目前にしても一切、気の緩みを見せない虎のアニキ分。ピリッとした緊張のまま優勝に突き進んだ。【柏原誠】

◆「新助っ人ハートウィグが球団初の快挙に興奮!」(8月5日、対中日戦=バンテリンドーム)

7月に入団が決定し、2点を追う7回から来日初登板したが、先頭細川から3連続四球で無死満塁のピンチを背負う。山本を得意のスイーパーで空振り三振、続く石井を三ゴロ併殺で危機を脱出。直後の8回に佐藤輝の逆転3ランで初登板初白星をゲットした。「(佐藤輝の本塁打を)目の当たりにして、興奮したし、楽しかったです」。虎助っ人の来日初登板初勝利は22年ウィルカーソン以来。救援登板では球団史上初の快挙となった。【伊東大介】

◆「藤川監督の厳しさ」(8月30日、対巨人戦=甲子園)

3-2の6回無死一塁で犠打のために代打で出場した高寺が、投飛にしてしまった。試合直後のインタビューで、藤川監督は「『逃げてんじゃない』と」と厳しく指摘。ミスに対してではなく、一塁に走るのを怠り、ベンチ内の奥に下がったことへの苦言だった。翌日、高寺は出場選手登録を抹消されず、バント練習を繰り返す姿があった。指揮官の厳しい“優しさ”が垣間見えた。【磯綾乃】

◆「佐藤輝明、最終戦で青柳から決めたシーズン40号」(10月2日ヤクルト戦=甲子園)

佐藤輝が39本塁打、99打点で迎えたシーズン最終戦。2つの大台が目前に迫っていた中、相手先発は元同僚の青柳。初回に先制犠飛で100打点を達成すると、5回1死二塁から右翼ポール際に大飛球で40号2ランを運んだ。第1打席から割れんばかりの声援と期待が送られた甲子園球場。特に本塁打は39号から4試合足踏み。重圧に打ち勝っての大台到達となった。試合後に語った「平常心を保とうと頑張っていましたけど、本当にホッとしています」というコメントが、重圧の大きさを物語っていた。【波部俊之介】