【リヤド(サウジアラビア)23日=藤中栄二】ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)がプロ初の中…
【リヤド(サウジアラビア)23日=藤中栄二】ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)がプロ初の中東決戦で「世界新」を狙う。
27日に33戦無敗の挑戦者となるWBC世界同級2位アラン・ピカソ(25=メキシコ)との防衛戦に備え、到着イベント「グランドアライバル」に登場。現在、世界戦26連勝で元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザーらとトップタイに並んでいる。サウジアラビアから指定された挑戦者ピカソ撃破で27連勝を達成し、単独1位を狙う。
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サウジアラビアの地で、井上が高揚感を漂わせた。リヤドのグローバル・シアターで昨年11月に「リヤドシーズン」とのスポンサー契約で訪問した時とは、違う。ホワイトのジャージーにサングラス姿のリラックスしたスタイルだったが、世界戦を控えた独特の緊張感も交え「自分にとって初めての地。過ごしやすい。パウンド・フォー・パウンド(階級の垣根を越えた最強ボクサーランキング)1位になるのにふさわしい試合をしたい」と口にした。一味違うモンスターが、そこにいた。
現在、世界戦26連勝中。元世界5階級制覇フロイド・メイウェザー、元WBA世界ヘビー級王者ジョー・ルイス(ともに米国)とトップタイで並んでいる世界タイ記録だ。サウジ決戦で勝てば27連勝の世界記録を更新し、単独1位に躍り出る。今月の公開練習で井上は「そんな記録もあるんですね。記録に関して、そこまで気にして試合しているわけではない。そんな記録もあるんだ、というぐらい」と平常心を貫く。特に1930~40年代に活躍したレジェンドのルイスの時代と世界主要団体の数が違うものの、今年は4試合もの世界戦に臨んでいる井上だからこそ達成できる記録となる。
昨年11月、井上は興行を運営する「リヤドシーズン」と推定30億円の複数年スポンサー契約を締結した。今回もリヤドシーズンからの熱烈オファーを受けて参戦が決定。日本とサウジアラビアの国交樹立70周年を記念し、日本-メキシコ対抗戦を軸としたカードが組まれた。井上尚弥の存在が実現させたイベントと言っていい。
井上は「今日は会えなかったけど(自身より身長が約9センチ高い、173センチのピカソとの)体格差は、日本でも対策を練ってきたので、そのボクシングで戦いたい。期待してもらっているのは分かる。サウジアラビアのリングに上がる姿をしっかりと見届けてほしい」と自信の表情だった。
◆リヤドシーズン サウジアラビア政府の直轄プロジェクトで、首都リヤドで開催される一連の娯楽、文化、スポーツの事業&祭典の総称。サッカーで同国強豪アルナスルにC・ロナウドが加入した後、当時メッシがいたパリSGと親善試合を実施。ボクシングではウシク-フューリー戦となる4団体ヘビー級王座統一戦を行い、井上尚弥がアンバサダーとして3年契約を結んだことで日本でも認知度がアップした。米プロレスWWEや米総合格闘技UFCも定期開催。BTSがライブを実施するなど石油に依存する経済からの脱却を目指し、新産業として「エンタメ」を定着させる狙いがある国家戦略の目玉。
○…22日に行われたメディアデー撮影で、井上は試合トランクスを着用した。事前公言した通り、ピンク色のカラーとなっており、シューズも同色で統一しているという。既に日本でもヘアカット時にピンク色のカラーを入れていた井上は「うすピンクに合わせた(ヘアカラーの)色は寿命2日。そこをどう本番に持っていくかは考えている。そこにも注目してもらえれば」と説明。サウジ決戦は、うすピンクでまとめられた「勝負服」でリングに立つ。