■マテウス・ジェズスは規格外の「個」 2025年のJ2リーグは、水戸ホーリーホックとV・ファーレン長崎のJ1リーグ自動…

マテウス・ジェズスは規格外の「個」

 2025年のJ2リーグは、水戸ホーリーホックV・ファーレン長崎のJ1リーグ自動昇格、それにジェフユナイテッド千葉のプレーオフ優勝による17年ぶりのJ1復帰で幕を閉じた。今シーズン最後の『J2のミカタ』では、恒例となっているベストイレブン+控え選手8人と監督を選定する(攻撃的MF、FW、監督、控え編)。

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【右MF】郷家友太ベガルタ仙台)37試合出場、2946分

 チーム事情から右MFだけでなく2トップの一角でも起用され、どちらのポジションでも巧みなポジション取りでフィニッシャーの役割を遂行。2シーズンぶりの2ケタ得点(10ゴール)はチームトップで、5アシストはチーム2位。総得点47のほぼ3分の1に絡んだことになる。ディフェンスの局面でもハードワークを怠らない。キャプテンとしての強い責任感を、攻撃でも守備でも十分に表現した。

【左MF】五十嵐聖己(いわきFC)38試合出場、3268分

 左サイドには椿直起(ジェフユナイテッド千葉)を推す声が聞こえてくるが、白星先行の9位で終えたいわきFCで、全38試合に出場した五十嵐を選出。クロス総数はリーグ3位で、チーム2位の6得点、4アシストを記録。右サイドのウイングバックをメインに左サイドでも起用され、田村雄三監督の選手起用と試合中の戦略変更を柔軟なものとした。いわきの選手らしくプレー強度が高く、上下動を繰り返せるのが特徴だ。

【2トップ】マテウス・ジェズス(V・ファーレン長崎)38試合出場、3398分

 J2で規格外の「個」は、昨年を上回る19ゴールを記録して得点王に。高木琢也監督指揮下のチームでは2シャドーの一角を定位置とし、少ない人数でもカウンターをきっちりと成立させ、それだけでなくゴールも陥れるのだから、このブラジル人アタッカーは恐ろしい。利き足の左足シュートは、ノーステップでも破壊力抜群である。18年のガンバ大阪在籍時は本領を発揮できなかったJ1で、どんなプレーを見せるのかがいまから楽しみだ。

【2トップ】渡邉新太(水戸ホーリーホック)31試合出場、2313分

 アルビレックス新潟大分トリニータでキャリアを積んできた30歳は、移籍1年目の水戸でこれまで培ってきた経験と技術を全開放した。2トップの一角から左右へ流れてポイントを作り、サイドハーフやサイドバックの攻撃への関わりをスムーズにした。自身はゴール前で抜群の決定力を発揮し、13得点7アシスト。ケガで終盤は欠場したものの、紛れもなくJ1昇格の立役者だ。

■水戸・森監督は戦力を最大化した

 控えメンバーを選ぶのも、簡単ではない。どのポジションにも、複数の候補者がいる。

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【GK】西川幸之介(水戸ホーリーホック)30試合出場、2699分

 GKではホセ・スアレス(千葉)、笠原昂史(RB大宮)らも勝点につながるセーブを見せたが、優勝した水戸の西川を選出。シュートストップはもちろん、ビルドアップ能力の高さで、他のGKとの違いを鮮明に出した。

【CB】鈴木大輔(ジェフユナイテッド千葉)30試合出場、2518分

 千葉の2CBは鈴木、鳥海晃司河野貴志をメインに構成され、鳥海も30試合に出場している。リーグ最少2位タイの34失点を支えたが、30節から最終節まで9試合連続スタメンを記録し、プレーオフでもチームを牽引した鈴木を選出。35歳の経験者は、精神的支柱にもなっていた。

【CB】菅田真啓(ベガルタ仙台)36試合出場、3154分

 チームは最終節の敗戦でJ1昇格プレーオフを逃したが、4バックのリーダーとして失点を1試合1点以下(36)にとどめた。長身を生かした空中戦は、自陣はもちろん敵陣でもチームの強みとなっている。

【右SB】高橋壱晟(ジェフユナイテッド千葉)37試合出場、3330分

 不動の右SBとして、攻守に高いレベルを示した。ビルドアップに関わりながらクロスの担い手となり、フィニッシュにも顔を出す。右サイドはエウシーニョ徳島ヴォルティス)や真瀬拓海(ベガルタ仙台)らもいるが、プレーオフ決勝で勝利につながるアシストを決めた高橋を選出。

【ボランチ】大崎航詩(水戸ホーリーホック)31試合出場、2718分

 大森渚生の加入で左SBからボランチへコンバートされると、持ち前の運動能力を生かして中盤の大黒柱に。ケガ明けの9節から38節まで30試合連続でスタメン出場し、レンジの広いシュート力やロングスローでもチームに貢献していった。

【MF】カプリーニRB大宮アルディージャ)35試合出場、1864分

 2列目では椿直起、リーグ最多タイのアシストを記録した山下優人(いわきFC)、近藤友喜(北海道コンサドーレ札幌)、2シャドーの一角を担った浅倉廉(藤枝MYFC)らも候補にあがってくるが、RB大宮でいずれもチームトップの11得点8アシストを記録したカプリーニを選出。シーズン序盤は途中出場が多かったものの、終盤にかけて貴重なゴールでプレーオフ進出を後押しした。

【FW】ルーカス・バルセロス(徳島ヴォルティス)32試合出場、2033分

 馬力のある突破で単独でも局面を打開しつつ、ゴール前で決定力を発揮する。自らに相手の警戒が集まると、効果的に味方選手を使うこともできる。シーズン終盤にかけて成熟度を増したトニー・アンデルソンとのブラジル人コンビは、対戦相手の守備陣を大いに苦しめた。

【FW】マルクス・ヴィニシウス(FC今治)

 昨シーズンのJ3得点王は、J2初年度のチームでもマテウス・ジェズス(長崎)に次ぐ17ゴールをマーク。シーズン終盤までJ1昇格プレーオフ出場を争う原動力となった。ゴール前での決定力は際立っており、176センチのサイズながら空中戦にも強い。

【監督】森直樹(水戸ホーリーホック)

 左SBの大崎のボランチへのコンバートが代表するように、保有戦力の最大化でJ1昇格を実現。6月にMF津久井匠海を引き抜かれても、MF齋藤俊輔のプレータイムを増やすことで攻撃をさらに充実させた。夏に獲得したMF加藤千尋の潜在能力も引き出し、戦力を高いレベルで維持した。

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