米国と日本の女子ツアーで最もフィールドの違いを感じさせるスタッツは何だろう?平均ストロークは日本で今季0人だった60台…

飛距離を生かした竹田麗央(右)と距離の劣勢をカバーした山下美夢有(Yoshimasa Nakano/Getty Images)

米国と日本の女子ツアーで最もフィールドの違いを感じさせるスタッツは何だろう?平均ストロークは日本で今季0人だった60台が、米国では史上最高「68.68」を記録したジーノ・ティティクル(タイ)ら9人もいる。そこは当然注目すべき点だが、もっと数値の差が目立つのは平均飛距離=ドライビングディスタンス(DD)だ。日本の1位・神谷そらの「261.92yd」に対し、米国の1位ジュリア・ロペス・ラミレス(スペイン)は「285.42yd」。気候、芝質などに違いがあるとはいえ23.5ydも開きがある。総勢13人が参戦した日本勢で年間ポイントランク最上位の2位・山下美夢有、2番手の4位・竹田麗央はそんな飛距離の部分で対照的な数値を残しつつ、ともに高いパフォーマンスを見せた。

不慣れな芝に1年目でアジャストした

山下のDDは「245.99yd」。昨季の日本の「236.36yd」(53位)から約10ydアップしたとはいえ、日本勢では西村優菜の「237.79yd」に次ぐワースト2位。全体でLPGAの公式ページにアップされた154人中141位だった。それでいてポイントランク2位になった。同ランク上位20人までを見ると、山下に近い飛距離は7位のキム・ヒョージュ(韓国)の「247.36yd」ぐらいで、ティティクルの「267.78yd」(33位)など14人が260yd超だから、いかにその他のスキルが優れているかがわかる。

飛距離不足をカバーした他のスタッツを見てみよう。「82.7%」(3位)のフェアウェイキープ率で好条件の2打目以降につなげ、パーオン率は「73.5%」で24位ながら、高水準の平均パット数「1.74」(5位)で多くのチャンスをものにする。平均バーディ数は日本勢4番手の「4.1886」で12位だった。特筆すべきはリカバリー率で「65.73%」と4位。日本と違い、様々な芝種がある米国にルーキーイヤーから対応した順応力の高さこそが、多くのピンチをしのいで日本勢トップの平均ストローク「69.81」(4位)をマークした背景にありそうだ。

豪快なショットから高いパーオン率へ

一方、竹田は日本勢で最高の「267.72yd」をマークした。順位は34位と、昨年が日本で1位(263.19yd)だっただけにカルチャーショック級の“後退”だが、グリーンを狙うショットで他の日本勢より短いクラブを持てたと想像でき、パーオン率「77.0%」は2位、“飛ばして乗せる”という王道スタイルで平均ストロークは「70.07」の11位。ポイントランクは4位となった。

ただ、平均バーディ数「3.8178」(39位)は高いパーオン率からすれば物足りなく、多くのチャンスを作りながらスコアを伸ばしきれなかった側面があるとすれば、「1.80」で74位だった平均パット数(パーオンしたホール)の影響が大きいはず。グリーンを外した際のリカバリー率は「60.88%」(18位)と悪くないだけにグリーン上が良化すれば、来季はさらに飛躍する可能性が高い。伸びしろはいっぱいだ。(編集部・加藤裕一)