怪我に悩まされ、満足のいくプレーを仕切れずにアーセナルを去った冨安。そんな日本代表DFが新天地としたのはアヤックスだった…

怪我に悩まされ、満足のいくプレーを仕切れずにアーセナルを去った冨安。そんな日本代表DFが新天地としたのはアヤックスだった(C)Getty Images

 現地時間12月16日にオランダの名門アヤックスと、日本代表DFの冨安健洋が交わした契約は、賛否両論を呼んでいる。

 議論が渦巻く理由は至ってシンプルだ。イングランドの強豪アーセナルでレギュラーとしてプレーした時期もあった27歳は、豊富な経験と実力を秘めているものの、膝の故障に苦しんだ昨シーズンは出場1試合(約6分間)とパフォーマンスレベルが低迷。今年7月に契約を打ち切る形でアーセナルを退団して以降は無所属のままで、実戦からは遠のいていた。

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 2021-22シーズンを最後にエールディビジ制覇から遠のき、国内での覇権奪還を目指すアヤックスが、冨安を獲得した理由は、「複数のトップリーグで豊富な経験を持つ優れたディフェンダーであると証明した」からである。クラブの公式サイト上でフットボールディレクター(FD)を務めるマライン・ビューカー氏は、戦力の底上げに繋がり得る可能性に言及している。

「タケヒロにはインテリジェンスがあり、両足を器用に使えるディフェンダーでもある。我々はスカウト部門、そしてコーチングスタッフとともに、ここ数週間、彼に関するあらゆる映像をレビューした。そして、今ではクラブの全員が期待に胸を膨らませている」

 それでも“否”が飛ぶのは、やはり満足にプレーできていない冨安の故障リスクを嘆くものだ。

 獲得を推奨し、実現させたビューカーFDは「彼の故障歴も考慮すべき重要事項だった」と説明した上で「メディカルスタッフと本人は綿密な評価を行なっている。試合勘、そして鋭さを取り戻すには時間がかかるだろうが、彼の経験を考えると、すぐに取り戻せると私は確信している」と強調。不安を一蹴しているが、オランダの常勝軍団に“結果”を求める周囲からは冨安に対する疑念が渦巻いている。

「アヤックスはリハビリ施設なのか? 違うだろ?」

 そう辛辣な意見を飛ばしたのは、元オランダ代表FWのルネ・ファン・デル・ギープ氏だ。ニュース局『SBS6』の番組「Vandaag Inside」に出演した往年の名ウインガーは、冨安獲得に対する異論を隠そうとはしなかった。

「実質的に2年間も稼働していない日本人選手を獲得するなんて……。みんな、彼が『タダだ』と言っているが、クラブは彼のために家を探さなければならないし、家具も揃えなきゃいけない。そして場合によっては車も手配しなきゃいけない。それだけ大変なことなんだ。それに、あの選手は、絶対にすぐさまプレーしないだろう」

 冨安の実績を信じ、「(復活を)確信している」というアヤックスの賭けは成功となるのか。パフォーマンス次第で、周囲の喧騒がより強まっていくのは間違いないだろう。いずれにしても、契約満了となる2026年6月まで27歳の真価を問われそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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