高校野球界では2025年も、たくさんのヒーローが誕生した。秋からの新チームにも、2026年度に輝きを増しそうな選手はたく…

高校野球界では2025年も、たくさんのヒーローが誕生した。秋からの新チームにも、2026年度に輝きを増しそうな選手はたくさんいる。そのなかで未来のヒーロー発掘も含め、好プレーヤーを紹介していきたい。

 花巻東(岩手)の赤間 史弥外野手兼投手(2年)は、古城 大翔内野手(2年)と並び、チームを代表するスラッガーとして3番に君臨している。チームは東北大会も制し明治神宮大会へと出場したが、赤間本人のバットは「湿って」いた。東北大会4試合、明治神宮大会2試合で、計17打数でわずか2安打。打率もわずか.118と沈んでいた。相手の厳しい攻めもあったとはいえ、本人は悔しい気持ちばかりだろう。それでも、一振りでスラッガーとしての「意地」を見せたスイングはあった。

 東北大会の準々決勝、八戸工大一(青森)戦で5回に同点に追いつく2ランを左中間芝生席へ運んだ。外角低めへの投球が多く、バットも振らせてもらえないなか、唯一と言っていい失投、外角高めにきた投球を見逃さなかった。豪快にフルスイングした打球が、まさにピンポン球のように飛んでいった。恐るべきパワーを発揮。この試合、この2ラン以外は故意四球も含め4四死球とまったく勝負すらさせてくれなかったが、たった一振りで自身の実力を証明したことになる。

 古城と同様に、木製バットを仕様。パワーを生かすために、テークバックで左肩を内側にややひねり、左足も高く上げる。豪快なスイングを生み出す代わりに、「確実性」を高めるのはやや難しいフォームではあるが、将来性のためにもこのフォームを突き詰めていくことになるだろう。打撃面での成長はセンバツでの楽しみとしておきたい。

 赤間は右スラッガーながら、左投手でもある。珍しいパターンの「二刀流」だが、こちらも本人からすればまだまだ発展途上だろう。球速も制球力も向上する余地は十分残されている。バットとともに、左腕としてのマウンドさばきもセンバツで成長具合を確かめたい。